知人友人親類縁者が
なかなか遊びに来てはくれない
スコットランドではありますが、
さすがにそこは
子を思う親の心のありがたさ、
わが両親は何度かかの地に
遊びに来てくれてはいるのです。

が、前回滞在時の終わり、
わが父(イメージ武将:石田三成)が
ぽつりと独り言のように申したのは
「でも、スコットランドに来るのは
お父さんはこれが最後かな。
もう年だし、何より移動が辛いから」

そ・・・そう・・・

確かに成田もしくは羽田から
乗り継ぎ空港たとえばパリまで約12時間、
そこで2時間ほど時間をつぶし、
疲労がたまったところで
エジンバラ行の飛行機に乗り、と考えると
確かにこれは体力的にきつい道程かもしれない。

「親の老いに向き合うべき時期が
私にも来たということだろうか」
と肩を落とした私に夫(英国人)が
「妻ちゃん、君のお父さんのアレは
単なる言い訳ですよ、だってあの方
この間ウズベキスタンに旅行に
行っていらしたじゃないですか。
年齢的に衰えを感じる人が
旅行先に選ぶ場所じゃないですよ」

そう言われたらその通り!

「父よ、スコットランドの何が不服だ」

問い詰める私に父はしぶしぶ
「スコットランドはいいんだよ。
お父さん嫌いじゃないよ。でもさ、
飛行機が退屈なんだよ。
席から動けないから体は痛くなるし」

まあその気持ちは
わからないでもないんですけど
「確かに飛行機は退屈でしょうけどもさ
・・・わかった、なら次回はお父さん、
シベリア鉄道で大陸横断して
スコットランドにいらっしゃいよ」

「・・・シベリア鉄道?」

「あれ、確か旧ソ連圏ということで
ベルリンまで線路が来ているでしょ。
ベルリンからICE(独系高速列車)乗継で
ユーロスターに乗れば鉄道ファン垂涎の
列車旅が楽しめますよ。
電車なら窓の外の景色が眺められて
退屈ってことはないだろうし、
車内や駅を歩くこともできるから
座りっぱなしも避けられるだろうし」

「シベリア鉄道で大陸横断って
日数的にはどのくらいかかるのかなあ」

「特急に乗ればそれほどは
かからないんじゃない?
いや、私もよくは知らないけど」

もちろん私は
冗談のつもりでございました。

今回実家に里帰りした私が
父の机の上に無造作に置かれた
『地球の歩き方:シベリア鉄道』を見て
どれほどの戦慄を感じたか、
皆様どうかお察しください・・・!

藪(やぶ)を突(つつ)くのが
これほど怖かったことはない、と
その件に関しては『見ないふり』を
決め込んでいたところ、
ある日父が真面目に何か
書類のようなものを読んでいたので
「何それ、何読んでるの」

「これ?シベリア鉄道を使って
スコットランドに行く場合の見積もり
旅行代理店から届いたんだ」

瓢箪から駒、口は災いの元、を
身を持って理解した冬の東京です・・・!


正直シベリア鉄道旅行が
安全なのか危険なのか
それさえ推測できない程度に
私の理解を超えた展開でございます

父の冗談・・・なのかな

でも冗談で見積もりはとらないよな

しかしここで真意を問うてしまっては
その答えを聞くのが嫌過ぎる

親を思う子の心の闇に満ち溢れた私に
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