飛騨高山といったら朝市で、
あれは冬でも何でも
年中無休なんだそうですよ奥さん、
と宮川(朝市が開かれている場所)に
足を運んだわが夫婦。
うーん、やはり盛況なのは
どうしたって夏なんでしょうけど、
でも川沿いにいくつも
漬物屋さんが並んでいて
これはこれで風情のあるものでした。
(しかしあれは売り手の皆様は
相当寒いと思う、
どうかお体ご自愛ください)
「ただ、このお店も漬物を売っていて、
その隣も漬物を売っていて、
そのまた隣でも漬物を売っていて、
これ、お客は何を決め手に
お店を選べばいいんでしょうか」
通りを歩きつつ、そのようなことを
真剣に悩んでいたわが夫(英国人)は、
その後、某お菓子屋さんの
磨き抜かれた接客宣伝術に
(『買わなくていいから味見だけして!』
『美味しいでしょ?私が作ったの!』
『うん、食べてくれたらそれでいいから!
いいのいいの、無理して買ってくれなくて!
美味しいものを食べていい思い出を持って
帰ってもらいたかっただけだから!』)
うまうまとノックアウトされ、結果、
満面の笑みで購入、お店のおじさんと
記念撮影までしていました。
うん、その揺るぎなき
『扱いやすい外国人観光客』っぽさこそが
君の魅力の根底なんだと思うんだ。
「僕、これはいい買い物だと思いますよ!
だって試食に出ていたお菓子は
どれを食べても美味しかったですもの!」
「そうか、よかったな」
「それに僕、ああいう、作り手が
売り手も兼ねているようなお店は、
贔屓にすべきだと思っているんですよ」
「おじさんの顔の載っていた
ポスターの前で写真まで撮れたしね」
「あとほら!おまけで小さなお菓子の袋を
2個もタダでもらえたじゃないですか!
こういうサービス、大好きです!」
「君は本当に簡単な男だな!
可愛らしいぜ、愛してる!」
(朝の7時、ノンアルコールでこの有様)
(わが両親が我々と観光を
一緒にしたがらない理由は
たぶんここらへん)
帰り道、宮川にかかった
鍛冶橋の真ん中で夫はふと立ち止まると
「ところで高山って、
高級なものから庶民的なものまで
何を食べても本当に美味しいですよね。
だから僕のお腹は今こんな感じです」
・・・ああ、なるほど。
「この銅像は僕のような
観光客への戒めですかね?」
まあ腹部に幸せが堆積していったのは
夫だけの問題ではなく、
私も前の晩、湯上りに浴衣を着た
自分の臍から太腿への線を見て
『期待の新弟子』って
言葉が脳裏に浮かびましたし。
「急激な体重増加は
危険だとはわかっているが、
しかしもうひと頑張りしたくなる
罪な味に満ちた町だよな、高山」
私の言葉を聞いた夫は
ホテルのロビーの置物を指差して
「君は今、きっとこんな気分でしょ」
どんな気分だ。
まあでも、うん、そんな気分だ。
朝から3膳ご飯を食べても
悔いのない美食の街、
それが高山なのです。
『こくせん』は夫の職場の
同僚へのお土産になる予定です
「これはね、保守的な舌を持つ
英国人にも受け入れられる
普遍的な美味しさと、異国情緒を
兼ね備えたお菓子ですよ!
僕の職場の休憩室の
人気を獲得すること間違いなし!」
だそうです
皆様も何かの機会に是非お味見を
いえ、別に我々は
『こくせん』の回し者ではありません
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