夫(英国人)は何故か

日本の皆様に

『優しくされる』男です。


いかにも異国人な風体をしつつ

人畜無害そうな雰囲気が

決め手なのでしょうか。


あと、夫の不器用さゆえ

律儀な礼儀正しさも

一部の日本の皆様の

サービス心を射抜いている模様。


挨拶の時のお辞儀とか、

「一度足を止めて、真っ直ぐ立って、

そこから頭を下げる、顎は引く」

基本を教えたのは私なわけですが、

ほら、そこは自国文化への甘えというか

つい何かの拍子に足を止めないまま

軽く会釈してその場を

済ませちゃうことってあるでしょ?


しかし夫にはそれが出来ない


ゆえに、誰に対してであろうとも、

「こんにちは」もしくは

「ありがとうございました」の

挨拶をしたい場合は、いったん

その場に直立不動の姿勢になり、

両手の指先を太腿に

まっすぐあてた状態から、

静かに深々と頭を下げることになる。


喫茶店やお土産物屋さんで

「まあ―!ちゃんとしてるわねえー!」

の称賛の声を受ける夫の姿を

私は何度目撃したことか。


(たいていの場合私はその時

中腰の姿勢でお店を

出ようとしていたりなぞして、

非常に恥ずかしい思いをしつつ

再び店内に戻り頭を下げ直すことに)


(またこれが

一部の方々の笑いを誘ってもう)


まあそれはいいとして。


今回、高山の『古い町並み

(くどいようですが地名です)』を

宵の時分に散歩した我々は

横丁のところで

観光協会的な半纏を着たお兄さんに

写真を撮ってもらったのです。


スコットランドひきこもり日記-夜の写真って難しいよね


「ありがとうございました」

言いながら笑顔で

お兄さんからカメラを受け取る私。


(つまりちゃんと頭を下げていない)


(いや、でもフレンドリーさでは

人後に落ちない自信はあった!)


(本当にすみません)


「いいよ、いいよ、どういたしまして。

カメラ、ちゃんと撮れているか確認して」


写真はきれいに撮れており、

それを見た夫はその場にすっと背を伸ばすと

「キレイデス。アリガトウゴザイマシタ」

そして優雅かつ丁重に深々とお辞儀。


これが半纏兄貴の

おもてなし心に火をつけた!


「いやあー!いいよいいよ!

お客さん、観光、どこから来たの?

フェアユーカムフロム?」


「ワタシハ、イギリスノ、ヒトデス」


「イギリスの人かあ!じゃあ、はい、これ、

提灯、サービス!持って歩いて!」



スコットランドひきこもり日記-風流風流


いや、持って歩いてってお兄さん。


突然差し出されたロウソク入りの

手提げ提灯を前に思わず動きのとまる我々。


「あの次の角の所に

また同じ半纏を着た奴がいるから、

そこで返せばいいから!」


「あ、ありがとうございます」


ご厚意に感謝して提灯を片手に

しずしずと冬の高山を歩く、という。



スコットランドひきこもり日記-提灯のイメージ写真とご理解いただければ


お兄さんが言ったように

次の角の所に

また違う半纏兄貴がいたので

「あの、これ、お返しします。

あちらの角の所にいらっしゃる

半纏姿の方が貸してくださったんです」


「スゴーイ、ヨカッタデス。

アリガトウゴザイマシタ。

トーッテモ、タノシカッタデス」


百貨店の新人研修で模範になるような

最敬礼の姿勢を取るわが夫。


これがまたこの半纏兄貴の

歓待心を刺激しないわけがなかった!


「いやいや、そう!楽しかった?

そう、よかった!じゃあ次はこれ!

番傘!次の角まで差して歩いてね、

またそこに半纏姿の人がいるから!」


番傘 茶【あす楽対応】


この冬の発見:

わが夫は番傘の似合う男であった。


挨拶の時、私もこれからは

ちゃんと足を止めたいものだと思います。


挨拶の時しっかり足を止めている貴方も

・・・いかん、止めていない、という貴方も

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