乗馬の話。


さて、トロットの次はいよいよ

キャンター(Canter)、

駈歩(かけあし)です。


トロットがトットットットッと

二拍子だったのに対して

キャンターは一段ギアが上がり

ドドドッドドドッというリズムになる。


「先生、我々はいつ

キャンターの練習を開始するのでしょう。

トロットの次はキャンターですよね」


「確かに次はキャンターなんだけど、

その前にもう少し鞍の上で

安定した姿勢が

取れるようにならなくちゃなのよ。

キャンターで

一番大事なのはバランスだから」


先生のおっしゃることもわかるのですが

しかし私はキャンターを早く学びたい!


トロットなんてそこらへんの貸し馬屋さんで

2時間いくらのコースに参加しても

やらせてもらえる歩法なんですもの。


乗馬学校に足を運んだならば

少なくともキャンターは経験せねば!


「どうなんでしょう先生、正直なところ、

私のキャンターまでの道のりは

まだまだ遠いんでしょうか、

初心者が夢を見るな!って感じですか」


「いえ、そこまで遠くはないんだけどね」


そしてその日は突然やってきました。


「さてNorizoさんとそのご主人、

貴方たちがキャンターの練習を

開始したくてたまらないことは

私達も知っています。

騎乗姿勢も安定してきたことだし

じゃあ今日はちょっと

キャンターのさわりを経験しましょう」


わおー!とうとうこの瞬間が!


「ではまずNorizoさん、

ライジング・トロットで速度を上げて。

そしてスピードはそのままで

鞍に座ってトロットを継続。

私から馬に指示を出します、

馬の首のところのベルトを掴んで。

はいそのまま、いいわね、

ではそこで馬の腹を押して!

・・・はい、それがキャンター!」


・・・皆様・・・


キャンターってね・・・


正味の話、怖いですよ・・・


もうね、馬の動きがこれまでと

まったく違うの!


激しいの!


鞍の下で何かすごい機械

突如ピストン運動を開始する感触なの!


そんで馬の走る速度も

段違いに上がるの!


特に私は最初のキャンター経験で

うっかい落馬しそうになりましてね・・・


「どわはふふふふ!な、何ですか、これ!」


「何ですかってこれが

Norizoさんの待ち望んでいた

キャンターですよ?」


これが私の望んでいた

キャンターだとするのなら、

私はこれまで何かを思い切り

勘違いしていたということになります。



スコットランドひきこもり日記-心象画像


その後、夫(英国人)も

私と同じようにキャンターを体験し

この日のレッスンは終了。


「どうでしたか、キャンターは!」


いい年をした大人として

怖いです、とも素直に言えず

「思っていた以上に難しそうです」


「それはこれから

練習していきましょうね、

ご主人のご感想は?」


トロットで大苦戦をしていた夫のこと、

キャンターなんて悪夢だろうぜ、

と思っていたら。


「僕は、キャンター、好きです!」


え?


「すごく楽しいし、面白い!

トロットとは全然違いますね!」


「そうですか、それはよかった!」


いや、ちょっと待って。


乗馬学校からの帰り道に

「おい、キャンターが面白いって

君、それは本気か」


「本気かって、だって面白いでしょ?

君は面白くなかったの?」

「面白さより恐怖が先に来たな」


「え、何が怖いの?」

「何ってスピードも

あの馬の背中の動きも

何もかもだよ!」


私の答えに夫は眉を上げて

「・・・ねえ、君ってキャンターを

いったい何だと思っていたの?」


悪かったなあ!


「僕は君とは逆ですね、

キャンターになってやっと僕にも

乗馬の楽しさがわかるようになりましたね、

スポーツらしくなってきたというか!

キャンターってあれですよ、ほら、

スノーボードに似ていますよ!

あのスピード感と躍動ね!

・・・そういえば君は

そういうのが苦手でしたよね


ええ、スキーでも自転車でも

低速運行を基本としております。


そんなわけで、キャンターを境に

乗馬における私と夫の立場は大逆転


それまでは事あるごとに

「ねえ、どうしますか、キャンターを習得したら

乗馬学校はしばらくお休みにしますか、

やっぱり趣味としては

高くつきすぎですよ、乗馬って」

とか言っていたくせに、いきなり

「僕、このぶんだと

ギャロップ(Gallop)も楽しめそうですよ。

というか、こうなったらやっぱり

ジャンプも少しは習ったほうがいいと

思うんですよね、何事も経験だし」


そんなわけで最近の私は

キャンターに悪戦苦闘中です。


道のり、果てしなし。


私の現在の本音は

「ギャロップなんてとんでもない、

ジャンプなんて恐ろしすぎます」


ええ、弱虫と呼んでくださって結構です


でもなあ、馬はいいんですよねえ


それにしても馬ネタが

1週間以上続いてしまいました

馬嫌いの皆様には失礼いたしました


今後ともよろしく


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