そうと望まぬ人間を

無理矢理に

売春産業に従事させるのは

許されざる行為である。


ここまでは多くの皆様の

同意をいただける主張だと思います。


では。


売春産業に従事したい!

体を売ることによってお金を得たい!

望む人間のことを、我々は

どうやって止めることが出来るのか。


そもそも我々にそうした他人の望みを

否定する権利が果たしてあるのか。


過去にコールガールとして働いていたことを

匿名ブログに書いて人気を集めていた女性が

先日、自分が現在は名門大学に勤務する

科学者であることを告白し世間を驚かせた件

(くわしくは昨日の記事 をご参照ください)。


売春をしてお金を稼いでいた頃のことを

「楽しかった」「後悔はない」と語る彼女を

批判する人々ももちろんいます。


『ガーディアン』紙には

「そりゃ彼女は楽しかったかもしれない、

でも彼女は『例外だ』」

というエッセイ が載っています。


私は彼女がコールガールをしていたこと、

そしてその経験をブログに書いたこと、

現在は大学で働いていることなどに

別に文句はありません。

それはそれで天晴れな経歴だと思います。


ただ、こうした彼女の経歴と、

彼女の才知を通して世に喧伝される

「売春、楽しかったよ!

専門の研究職に就いている

知性派女性として明言します!」

みたいな主張は、

これは危ないな、と思うのです。


彼女が本当に心の底から

『売春を楽しんでいたのか』には

諸説があると思います。


嫌な思いだって色々したと思うんですよ。


でもそこで

「悲しいこともそりゃあったわ」

とは言わない彼女の意地。


まあそれを『意地』と考えてしまう時点で

彼女にしてみたら

「私の言葉を曲解されて不愉快です」

なのかもしれないんですけど・・・

でもどんな仕事をやっていても

辛いことってのは絶対にあると思うんです。


もしも売春をしていた14ヵ月間

「嫌なことなんてひとつもなかった!」

と彼女が心底思っているのなら、

それはそれで彼女はちょっと

可哀想な精神状態にあったのではないか。


ともあれ。


私が危機感を抱くのは、

こうした『売春を通して成功した女性』の話が

世間に浸透すればするほど、

『成功するために売春婦になりたい』と

思ってしまう女性の数が

増えてしまうのではないか、ということです。


実際、彼女は本当に

売春婦として成功しているんですよ。

その生活は、世のちょっと軽薄な女の子達を

憧れさせるだけの魅力に満ちているんです。


顧客が何をして欲しいか、

どんなロマンスを求めているのか、

彼女はその知性を総動員してがっちりと見定め、

そしてその美貌をもって彼らの夢をかなえてあげる。


それは本当に凄い技術だと思うのです。


でもね、売春婦になりたい人間が

皆こんな凄腕になれるかといったら、

それは絶対になれないはずなんですよ。


吉原でいったら彼女は花魁。

性産業界のトップスター。

なりたいからってなれるもんじゃない。


多くの若者がロックスターに憧れて、

皮のジャケットを着て

ギターの練習をするようになっても、

グラミー賞の会場に招かれるようになる人間は

そのうちのほんの一握り、という話なんです。


ロックスターに憧れるのはまだいい。


「お爺ちゃんもな、若い頃は

毎晩ギターの練習をしたもんだ。

ちょっとそこに座れ、

『天国への階段』のさわりを弾いてやる」

とかいう老後は微笑ましい。


でもそこで売春婦に憧れちゃったらどうなるの。


「お婆ちゃんも昔はよく街頭に立ったわ。

雨の日に薬物中毒者に殴られて

午前3時に下水の中で気がついたときは

服と前歯がなくなっていたこともあるの」

とか、そういうことを君は孫娘に言いたいのか。


英国で売春産業に従事する女性の多くは

薬物中毒患者だと言われています。

売春に嫌気がさして薬を求め、

そして薬に溺れ、薬を買うためにまた身を売る。


「職業に貴賎がないとされる以上、

売春婦になりたいという女性に対し

倫理や道徳で

そうした願いを否定するのは難しい。

我々に出来るのは、

売春行為の持つ潜在的なリスクの高さ

指摘することだけだと思います」

とわが夫(英国人)は主張します。


しかしその上で相手が

「客に殴られるかもしれない、

精神的にひどく傷つけられるかもしれない、

性病に感染する確率が高くなるかもしれない、

変質者に殺されることになるかもしれない、

でも、そうしたリスクを理解してなお、

私は売春婦になりたいの!」

と言ってきたら。


「それはもう相手の意思を

尊重するしかありません。

世の中、危険と隣り合わせの仕事は

たくさんあります。

軍の爆弾処理班に入りたいと

友人が言ってきたら、僕は同じように

その仕事の持つリスクを挙げます。

でもそれでも友人が考えを変えなかったら、

僕は友人の勇気を誇らしく

受け止めるべきじゃないですか」


「でも軍で前線を志願するのと

売春のために街角に立つのは違う話だろう」

「違いませんよ、つまりは

情熱は人それぞれ、ということなんです。

エベレストに登りたい、という人を

僕達は止められないじゃないですか。

たとえ死の危険性がどれだけ高くても」


いや・・・でも私は違うと思う。


「違うと思うけど、何が違うのか、

うまく説明できない。

私の中には

『売春はよくないことである』

という確固たる認識があるのね。

でも私は売春をしている人間のことを

非難したいわけじゃない。

しかし、彼らを非難することなく、

『売春は止めたほうがいい』という

主張をすることは、今の私には難しい」


夫に言わせると

私は割とモラリストなのだそうです。


ところでじゃあモラリストとして

言わせてもらいますけどね!


例の博士が

過去に売春をしていたことが悪である、

とか私は言いたいわけじゃないんです。


でもね!


彼女には7年ごしのおつきあいをしている

陸軍士官のボーイフレンドがいたらしいんですよ。

彼は彼女との結婚を考えていたらしいんですよ。

で、彼女は今回のこの告白を

彼に相談することなしに

突然決行したらしいんですよ。


ちょっと待て!


7年ごしって、それはつまり

彼とつきあっているときに君は

コールガールをしていたということか!

しかも彼はその事実を知らなかった上に

彼女のブログに

『男の子(The Boy)』という名前で登場させられて

そんで彼女との性生活について

色々書かれちゃったりしていたらしいんですよ!


(こちらの記事 の下のほうなどをお読みください)


モラリストとして断言する。


彼女が売春をしていたから、という理由ではなく、

つきあっている相手にこんな真似が出来る人間、

という一点において、

私は彼女とは親しくなれないと思います。


それは・・・それはやっちゃ駄目なことでしょ・・・!



ちなみに文章の無断転載も

やっちゃ駄目なことだと思うんですよ


スコットランドひきこもり日記

以外のブログでこちらの文章を目になさった方、

それは無断転載された文章です



次回からはアメブロの

スコットランドひきこもり日記 』にお越しください



なおわが夫は

売春婦の仕事上の安全性を高めるため

英国も売春の合法化に

踏み切ってはどうか、と時々主張するんですが

『ガーディアン』紙によると(こちら をご参照ください)

そういう政策で売春婦の立場が

安全になるかというとそんなこともないんですって



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