最近はレゲエにも目覚めたらしい
デスメタル好きの階下の住人
(前回の記事はこちら )。
好きな音楽を聴くときの
スピーカーの音が
非常にうるさいことを除けば
隣人として
特に問題があるわけではありません
(自分に言い聞かせています)。
毎晩夜遅くまで
パーティーを開くわけでもなし、
共同玄関にゴミを放置するでもなし。
窓から身を乗り出しての喫煙は
なるべくなら
遠慮していただきたいところではありますが
まあこれは都市生活者としては
こちらも我慢すべきことなのかな、と。
それこそ上の階に住むこっちの足音が
彼らにとってどれくらい耳障りか、とか
我々もわかっているようで
わかっていないはずですから。
「むしろ今時の若者としては
常識を踏まえたほうの子達だと思う」
と夫(英国人)などは評しております。
そんな彼らの部屋から本日
喧嘩をするときのような
男の喚き声が
聞こえてきたからさあ大変。
「・・・これは、
新手のデスボイスの練習か?」
「練習にしては
響きが切羽詰っていますけど・・・
あ、また何か怒鳴っています」
「どうしよう、通報すべきか?」
「いや、でも
物の倒れる音とかはしませんし・・・」
よく考えたら我々は
下に住んでいる人たちの人数とか
男女比とか、
正確なところは何も知らないんですよ。
「夫よ、あれだよな、
下に住んでいる子達は
メタル好きの男女・・・だよな」
「女の子なんて見たことあるんですか?」
「煙草を吸っているところを
上から見たんだけど
ひとりは長い黒髪の持ち主だったぜ」
「ああ、あの子は男の子です、
ちょっとぽっちゃりした子でしょ?
一度廊下ですれ違いました」
ひそひそ情報を交換しているうちに
バン!と大きな音を立てて
階下の居間の窓が開けられました。
どうやら階下の男性は
窓の外に向かって何かを叫んでいる様子。
「・・・何だこりゃ。
背中越しに喧嘩をしているのか?
しかし男が一方的に
何か言っているみたいだな」
「妻よ、僕にいい考えがあります」
「何だ」
「僕達も窓を開けませんか?
彼の言葉がよく聞こえるように」
「お前・・・恥を知れ。いいアイディアだ」
というわけでこっそりこちらも
居間の窓を開けまして(ひどい夫婦だ)。
ついでに下を覗き込んでみましたところ、
窓際で騒いでいるのはモヒカン頭の持ち主で。
「おお、いまどきモヒカンとは。
あ、彼は耳に携帯電話をあてているぞ。
喧嘩の相手は外出先の長髪君かな?」
「・・・いえ、違います。
わかりました、これは痴話喧嘩です」
「え?痴話喧嘩?その割には
Fから始まる卑猥な単語が
3秒おきくらいに聞こえてくるが?」
「大丈夫です、よく聞いてみてください、
声の大きさとFワードの多さが尋常じゃないだけで
彼の言っていることは他愛無い愛の告白です。
もはやこれは痴話喧嘩でもありません」
で、耳を澄ましてみましたら。
「だからよおー!俺がさっきから
くそったれに何回も言ってるじゃねえか!
俺にはくそったれにお前だけなんだよ!
お前をくそったれに愛してんだよ!
くそっ、どうしてこんなくそったれなことを
くそったれに何度も繰り返してるのに
俺のくそったれなお前はわからないんだよ!
お前を愛してるんだよ、くそったれ!
信じろよ、信じてくれよ、くそったれえー!」
・・・階下の子は、
楽器の腕と声の質は悪くないが、
あれだな、たぶん作詞の才能はないな。
「で、彼の電話の相手は誰なのかしら」
「ガールフレンドじゃないんですか?」
「いや、相手はやはり長髪君で、
彼らは同棲しているゲイのカップル、
という可能性もあるじゃないですか」
「・・・これ以上の詮索は
隣人としての倫理の範疇を超えています、
もう止めておきましょう」
いずれにせよ階下のモヒカン君の
恋の成就を願いたい私です。
そんでデートとかでなるべく外出しろ、
最近私はお前らのせいで
レゲエまで嫌いになり始めたんだよ!
最後の最後に本音が出てすみません
の1クリックを
↓
バナーがお好きな方はこちらから