わが夫(英国人)はフランスの空港
シャルル・ド・ゴールのことを
『チャールズ・ド・ゴール』と発音します。
欧州言語の互換性って面白いなあ、と。
さて。
エール・フランス航空で
成田からパリに向かいますと
シャルル・ド・ゴール空港の
2Fターミナルが到着ターミナルとなります。
で、私なんかは
そこから同じくエール・フランスで
英国スコットランドに飛びたいわけですが
その場合は
2Eターミナルに移動しなくてはならない。
私の目指すゲートは20番台なので
「ターミナル2E」の「ゲート21-47」という
表示を頼りに進みます。
するとちょっとした通路の後に
階段がありまして、それを下りると
そこにバス乗り場があります。
しばし待つとバスがやって来て
わが身を「ターミナル2E」の
「ゲート21-47」に運んでくれるのです。
昼間のフライトなら
これで何の支障もありません。
問題は、深夜便を使った場合です。
成田21時55分発の
エールフランス便がパリに到着するのは
現地時間の午前4時ごろ。
ターミナル間を結ぶバスは
運行を休止していましてね・・・
私の経験によりますと
バスの運行が再開されるのは
朝の6時です。
ターミナル間の移動時間が
約15分というところ。
朝一番のバスに乗ってターミナル2Eに入って
時計を見れば6時15分。
そしてターミナル2Eのセキュリティーチェックは
いつ行っても長蛇の列という、この事実・・・!
まあまず30分はかかりますね。
でね、パリ発エジンバラ行きの
エールフランス第一便の搭乗時間は
6時45分なんですよ。
どう計算しても移動時間に余裕がないという。
セキュリティーチェックが終わってから
ゲートまでの道のりは、
わたくし毎回必ず軽快な小走りです。
実際何度かゲートが閉まってから
登場口に走りこんできて
必死の嘆願を係員に繰り返している
お客の姿とかも目にしております。
あれは絶対乗り換え設定に
何か間違いがあるとしか思えないんですよね。
シャルル・ド・ゴールの地理に
多少慣れた人でも
搭乗ゲート到着がギリギリになるんですから、
はじめてあの空港を利用した人なんか
そりゃ間に合わないんじゃない?という。
シャルル・ド・ゴールの方向表示というのが
また特殊なんですよ。
『ゲート21-47 ↓』と
頭上に表示されていた矢印が下向きの場合、
我々の感覚だとつい
下の階に移動する
階段を探しちゃうじゃないですか。
違いますから。
『↓』は、『そのまま直進』の意味ですから。
ええっ!そのまま直進は『↑』でしょ!
矢印は上向きでしょう!
とか涙目で抗議しても、
フランス人は気にしてくれませんから。
閑話休題。
シャルル・ド・ゴール空港内の移動が
どれだけ難しいかわかっていただけたら幸いです。
で、今回私は考えたんですよ。
それにしてもこの移動方法設定は
少しおかし過ぎないか・・・?
『趣味:クレーム』の欧州人
(なんというありがちな偏見でしょう)が
日の出前のバス乗り場で
黙然と2時間を過ごせといわれて
唯々諾々と従うとはとても思えない。
これはもしや、
徒歩での移動ルートが存在するのでは?
わかりやすい表示がないだけで!
というわけで、まずは
ターミナル2Fの乗換え案内デスクにいた
係員に質問。
「すみません、ターミナル2Eの
20番台ゲートに行きたいんですけど」
「えーと、バス乗り場はですね・・・」
「バス以外の移動方法はありますか?」
「もちろんありますよ」
「どうやって移動すればいいですか?」
「表示どおりに進んでください」
「・・・表示どおりに進むと
バス乗り場に行ってしまうんですが・・・」
「あ、そうですね。そのですね、
バス乗り場に下りる階段を下りないで
まっすぐ行くと、また表示がありますから」
その指示通りに動いてみたのですが
・・・『バス乗り場に下りる階段』は
ある意味廊下の突き当たりでね・・・
この階段を下りずに
逆に上ってしまえばいいのかしら・・・?
仕方ないので一度バス乗り場まで下り、
そこで暇そうにあくびを噛み殺していた係員に
「あのーターミナル2Eに行きたいんですが」
「じゃあここでバスが動くのを待ってください」
「バスを待たずに歩いて移動する方法はありますか」
「・・・ありますけど。何、わざわざ歩きたいの?」
「歩きたいんです。で、どうやったら
歩いて移動できるんでしょうか」
「君が今来た道を引き返すと
警官の詰め所があるから、そこを左に行くんだよ」
「・・・警官の詰め所・・・なんて
ここに来るとき目にした覚えがないんですが・・・」
「ちゃんと気をつけていれば目に入るよ」
「・・・わかりました。ところでターミナル2Eまで
歩くとどれくらい時間がかかりますかね」
「20分くらいじゃないかな」
なるほどね、と来た道を引き返してみるも
・・・ない、絶対に『警官の詰め所』なんてない。
私の英語力と視力の問題なのか、それとも
係員の英語力と親切心の問題なのか・・・
しかしあれだ、どうせ時間だけは山ほどあるんだ、
駄目だったら引き返せばいいさ!とここは割り切り、
例の階段で上階にのぼってみました。
目の前に広がるのは長大な廊下。
行き着く先が・・・さだかには見えない、という・・・
まあ他にすることもないので
スタスタとその廊下を突き進みます。
頭上に光る行き先表示が
「ターミナル2E」なのは心強いとして
「ゲート51-76」なのが不安なんですが
ほら、いい運動にもなるしね!
そのうち「ターミナル2E」に到着。
しかしゲート案内は相変わらず「51-76」のみ。
やはり20番台ゲートに向かうには
素直にバスを利用したほうがいいのかしら?
と諦めかけたそのとき。
「ゲート21-47」という表示が目の端に!
ユリイカー!
あとは笑顔で標識に従って移動するのみ。
「ゲート51-76」を横目に閑散としたフロアを抜け
自動ドアをいくつか通り、
すると「ゲート21-47は階下」の表示が!
よしよし!と笑顔で
エスカレーターに乗り込んだのはいいんですが
・・・あの・・・なんか、
ものすごく薄暗いフロアに出てしまいましたが・・・
他の階は人気はないとはいえ
それでもそこは国際空港、
頭上に蛍光灯が
これでもかと輝いていたのですが、
なんか・・・その・・・本当に暗いんですけど・・・
そんなほの暗い空間の底で
ひとりのアジア系のおじさんが
静かにモップで床掃除をしているという・・・
何これ。ホラー?サイコ・サスペンス?
映画『ジェイコブズ・ラダー』に
こんな場面があったような気がしますけど!
周囲を見回すと
フロアの中央には「ゲート21-47」との表示が。
しかしここは絶対に搭乗口ではない。
何だろう、この妙に天井の高い
そして縦長な地面の一角は・・・
・・・私、もしかして寝ぼけているのかしら・・・?
あまりにシュールな周囲の有様と
こちらを眺めるモップ掃除のおじさんの
変に茫漠とした表情に恐れをなした私は
もう一度エスカレーターに乗って
上の階に戻ってみました。
さあ、落ち着いて状況を整理してみよう!
しかし蛍光灯の光に満ちた上階で
さきほど目にした風景の意味を判断しようにも
・・・あれは本当に何だったのか、としか・・・
目をこすって見直した
下りエスカレーターの表示には
しっかりと「ゲート21-47」と書かれています。
いや、でもあれは絶対にゲートじゃないから。
そう思いながら表示をさらによく見ると
・・・これは・・・電車のマーク?
もしやと思い、もう一度勇気を振り絞って
エスカレーターに乗ってみました。
相変わらず幽暗な空間ではありますが
ふと気がつけば
縦長な床の片側に電車らしきものが停車しています。
やはりここはプラットホームなのか!
この電車でゲートへ移動できるのか!
・・・でも案内表示がいまいち親切じゃないなあ
本当にこの電車でいいのかなあと
車内案内を見ようと電車の中に足を踏み入れた瞬間。
私の背後で閉まる電車のドア。
本当に何なんですか
このサイコ・スリラー的展開は。
私の恐怖を他所に
電車は音もなくプラットフォームを滑り出しました。
ご丁寧に無人運転実施中です。
というか、これ、一歩間違ったら
かなり悪質な犯罪を誘発する状況だと思うんですけど。
他に乗客がいなかったからよかったようなものですけど。
・・・というか、私はどこへ連れて行かれるんですか・・・
まあこの電車が乗って正解というやつで
次の停車駅はズバリ
「ターミナル2E、ゲート21-47」でした。
やはり私は方向感覚が鋭いな!
といい気になって
セキュリティー・チェックを受けようとしたら
「手荷物検査は朝の5時半からでーす、
それまで時間潰しててー!」
とか係員に言われちゃいましたけど。
読書などして時間を潰そうにも
売店はおろかベンチだって
近くにはない環境でしたけど。
で、その日の第一利用者として
セキュリティー・チェックを済ませたのはいいとして
そんな朝早くにはターミナル内のお店も
全部閉まっていたりはしたんですけど。
どうなんでしょうね、この探検は
挑戦する価値が果たしてあったのでしょうか。
そして次回から
私はターミナル2E20番台ゲートへ
どうやって移動するのが得策なんでしょうか。
うーん・・・まあ時間ギリギリで
セキュリティーに走りこむよりは
多少退屈でも
早めに移動を完了していたほうが
精神衛生的には上策ですかね・・・
しかしあのプラットホームは
あまり再利用したくはないのだが・・・
以上、シャルル・ド・ゴールの冒険でした。
何故こんな長くなってしまったのだろう
2回に分けるべきだったかしら
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なお文中で『電車』と書いたのは
あれ、正式名称は何だろう
『モノレール』、それとも『シャトル』・・・?
非常に揺れのない
快適かつ静謐な乗り物で
それがますます私の
『ジェイコブス・ラダー』感を高めてくれました
「ゲート21-47」表示を見たときの
私の気持ちは
「生還できてよかった」でしたよ
エコロジー精神も大事ですけど
もう少しホームを明るくしてくれると
利用者は嬉しいと思うんですけど、どうかしら!