宗教勧誘は

スコットランドの秋の風物詩とばかり

思っていたんですが、

この春の陽気に誘われて

彼らも新たなる餌食というかお仲間を求め

花の季節の旅を決意した模様です

(スコットランドにおける宗教勧誘者のお話は

以前ここ とかここ とかここ とかで書いています)。


お部屋の掃除をしていたら

慎ましく玄関の扉を叩く音が聞こえました。

ドアスコープを覗きましたら

か弱げな老女二人の姿が。


掃除機の音をさせていたため

いまさら居留守もわざとらしいか、と思った私は

チェーンをつけたままドアを開け

「何の御用ですか?」


ドアの隙間から私の顔を確認するなり

二人組の片方の女性が

チャイナ!チャイナよ!」

それを受けもうひとりが満面の笑顔で

「ニーハーオ!」


仕方ないのでこちらも満面の笑顔で

「はいっ!不正解ー!

とドアを閉めようとしたら

老女二人が本気で取り乱した様子

「ああっ!ごめんなさいっ!

ごめんなさい、悪気はなかったの、

ごめんなさいっ!」


少し彼女達が可哀想になった私は

この二人相手なら力勝負になったら勝てる

と見越した上でドアを開けました。


「こんにちは、

というわけで私は中国人じゃないですよ」

「ごめんなさい、で、どちらの方なの?」

「日本です」

「あらー!ほらっ、日本、日本の方よっ!」

仲間にわき腹を突かれた老女がまたも笑顔で

「コンニチワー!」


・・・駄目だ・・・

ここで笑ってしまっては私の負けだというのに・・・


「思いがけない笑いをありがとうございました。

さて、で、何の御用ですか?」

「私たちは聖書の勉強を・・・」

「オーケイ、わかりました、

時々貴方のお仲間が我が家を訪ねてくるので

話の概要は存じ上げております」

「あらっ?本当に?その人、

何ていう団体名を名乗りましたっ?」

「あ、そうですね、そこを確かめないと

貴方達だって自分のカルトと他のカルトを

一緒にされたら悲しいでしょうしね、

団体名は『○○』ですよ」

「ああー、それは確かに私たちの組織です!」


・・・あれっ?

私の『カルト』発言はスルーですかっ?

やっぱり私のジョークって

英語だといまひとつ切れ味がないなあ・・・


「じゃ、どうも、そういうことで」

「あのー、貴方、

全然そういうことにご興味はないのかしら?」

「興味・・・というより私は仏教徒ですから」

「あ・・・そうですか・・・」


すごいなあ、

この『私は仏教徒』宣言は

対宗教勧誘者戦において

これまでのところ抜群の防衛力を誇りますよ!


ドアを閉めようとした私に老女が最後の反撃。

「お宅の旦那様も仏教徒ですか?」

「うーん・・・無理矢理分類すれば

キリスト教徒に数えられるかとは思いますが・・・」

「あら、じゃあ是非旦那様と

お話をさせていただきたいんですけど!

今日の夜とかご在宅かしらっ?」


「・・・貴方のためを思って忠告しますよ、

うちの夫のユーモアのセンスは糖分ゼロです。

あの破壊力時に私の想像力を凌駕します。

あんな男と宗教論争をしたら

貴方、間違いなく心に傷を負います

(あたたかみのある笑顔で)」

「おほほほほ、大丈夫ですわ、

私も英国人ですもの、

ビターなユーモアには慣れておりましてよ?

(輝かんばかりの笑顔で)」

「そうですか(ウインクなどして見せて)、

では私は警告はしましたからね

(笑顔を消して冷酷なまでの真顔で)」


私の最後の言葉に

静かに怯えていた様子からすると

たぶん彼女達は

戻ってこないとは思うんですけどね・・・


というわけで宗教勧誘には

やはり居留守が一番、という基礎を

学び直した出来事だったのでした。



でも英国の宗教勧誘者は

引き際があっさりしていて楽なんですよ

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それにしてもああやって定期的に

勧誘者が巡回してくるってことは

ああいう行動にそれなりの

成果があるってことなんでしょうね


勧誘者が老女、というのは

私の経験では初めてのことだったんですが

これが新興宗教界の最新のトレンドなんでしょうか