最初に申し上げておきますが

私は動物が好きです。

犬や猫への虐待なぞ言語道断、

虐待者への懲罰は当然と思っております。


さて、英国には

「RSPCA(王立動物虐待防止協会)」

という組織があります。

1824年に創立された

英国最大の動物愛護チャリティー団体です。


RSPCAはその活動の一環として

「査察官(インスペクター)」と呼ばれる

専門の調査員を養成しています。

動物虐待の報がRSPCAに寄せられると

この査察官が現地に赴き実態を調査、

虐待の事実が認められた場合は改善を勧告、

時には警察と連携し

飼い主を告訴することまでします。


こうした活動により

いったいどれだけの動物達がこれまで救われたか。

素晴らしい行動だと思います。


しかしここにきて

彼らの行き過ぎ・やり過ぎに対し

批判の声が出ている、というのが今回の話です。


『ファイル・オン・4(File on 4)』という

報道番組をラジオで聴いていた夫(英国人)が

「これはひどい!」

と憤慨していたので、いったい何事かと

BBCのサイト で確認してみました

(今だと実際に放送された音声 も聴けるはず)。


15歳の女の子が猫を飼っていた。

ある日女の子は

猫が尻尾に怪我をしているのを発見した。

女の子は自分の父親にそれを見せ

「獣医に連れて行きましょう」と言った。

しかし父親は数日間様子を見ようと言った。

この件がRSPCAに通報され

RSPCAは父親を

「飼育放棄(ネグレクト)」の罪で告発


・・・えーと。

まあここまでは何となくRSPCAの行動を理解できます。

多少やり過ぎかな、とは思わないでもないんですが。

問題はここから。


告訴された女の子の父親は起訴内容を認めた。

これにて一件落着かと思われたそのとき

RSPCAは15歳の女の子のことも

「彼女には猫の世話をする義務があった」

として同じく「飼育放棄」の罪で告発


・・・どうですか。

相手は15歳の女の子ですよ。

彼女はちゃんと自分の親に猫を見せて

獣医に連れて行きたい、と言っているんですよ。

で、父親はすでに法廷で

「猫を獣医に連れて行かなかったのは

自分の判断間違い、私の罪です」

と認めているんですよ。

この状態で15歳の女の子を

法廷に引きずり出すのに何の意味があるのか。


その後裁判所はこの訴えを棄却

RSPCAはこれを不満として上告

しかし上級裁判所も上訴を棄却。


・・・RSPCAは何故そこまでして

この女の子に犯罪歴を背負わせようとしたのか。

猫好きの、お父さんの言うことを素直に聞く

15歳の女の子の人生を破壊して

RSPCAにどんな利益があるというのか。


番組ではRSPCAの

監督主任(Chief Sperintendent)ウィルソン氏に

インタビューしています。

父親が監督責任を認めて有罪になっているのに

そこであえて15歳の少女まで告訴する理由は何ですか、

そして一度裁判所に訴状を棄却されたのに

上級審にわざわざ訴えて

あくまでも女の子を法廷に立たせようとした

その意図は何ですか、と尋ねられたウィルソン氏は

「未成年の飼うペットの責任が

どこにあるか確かめたかったんですよ」

「法の説明が欲しかっただけのことです」

「今回の決定は重要な先例ですね」


・・・たったそれだけの理由で貴方達は

15歳の女の子を犯罪者扱いしたんですか・・・

この女の子の胸の内を思うと

本当に可哀想な思いがするのは私だけですか。

ちなみにウィルソン氏の口から

この少女への謝罪の言葉はありませんでした


しかしね、このケースに関しては

「不運に不運が重なることってあるよね、

女の子もあんまり気にしないようにね」

みたいな感じで

私は自分を納得させることは可能なんですよ。

しかし次のケースについては

そういう達観の気持ちを抱けない。


ある女性が一頭のシェパード犬を飼っていた。

この犬は治療方法のない胃の障害を抱えていたため

厳しい食餌制限があり、

そのため犬(名前はホリー)が太ることはあり得なかった

しかし彼女は愛情を込めてホリーを6年間飼っていた。

2006年1月、RSPCAが介入、

彼女が犬を適切に扱っていないとして

ホリーを取り上げ、彼女を告訴。

法廷闘争の間、犬はRSPCAの管理下に。

彼女にホリーの詳しい状態は知らされない

彼女とその弁護士は

彼女がしていた以上に「効果的な」

ホリーの取り扱い方などないと主張、

最終的に彼女への疑惑は晴れる


でね、ここからがひどい。


審理終了時、裁判官がRSPCAに

ホリーの現状を彼女に教えるように命令。

RSPCA側の弁護士いわく

「ホリーはRSPCAの管理下で死にました


この一連の出来事について

BBCのインタビュアーがウィルソン氏に

訴訟の是非を問うと

「告訴に踏み切るべき証拠は十分にあったんですよ」

「彼女が無罪になった理由は受け入れられます

―法廷の適切な機能というやつです」


・・・告訴に踏み切る十分な証拠とか

この人言っているでしょ?

でもBBCの調査によると、

RSPCA側は、法廷闘争が開始される前の時点で

すでに獣医の診断書を手にしていて、

それにより「ホリーは適正に飼育されていた」

ってことはわかっていたみたいなんですよ。

じゃあその時点で

告訴を取り下げたらいいじゃないですか?

何故そうしなかったのか?

それはたぶん、その時点で、

ホリーがすでに死んでいたから。


「ホリーはいつ、どこで、

どのような状況において死んだんですか?」

「報告書がないのでわかりません」

「・・・ホリーの病気に配慮した

適切な飼育は行われていたんですよね?」

「報告書がないのでわかりません」

インタビュアーが執拗に食い下がるのに対し

業を煮やしたらしいウィルソン氏は声を荒げ

「あのね、あの犬はもう11歳だったんだ!

年を取った犬は死ぬもんだ、違うか!」


・・・あんたは本当に動物愛護団体の偉い人なのか。


もちろんホリーの飼い主への謝罪の言葉など

まったくありませんでしたとも。


人間誰しも間違いはある。

理想を追い求めるあまり

過剰な行為に走ってしまうこともある。


でも・・・でもな、とりあえず

この件に関しては

お前はホリーとその飼い主に謝れ


今回は憤りのあまり

非常に長い記事になってしまい

申し訳ありませんでした。


ホリーへの哀悼をこめて1クリックを


お願いします


ホリーの家に来た査察官は

「この犬は糖尿病です」という獣医の診断書を見ても

何故かそれを信じなかったらしく、

わざとドアの近くにドッグフードを撒いたりしていたらしい


それは・・・それは悪質な嫌がらせじゃないのか?


お時間のある方はぜひ

BBCの音声配信も聴いてみてください

(まだ消えていないはず)


ウィルソン氏の

「あのね、我々は世界最大の

動物愛護チャリティ団体なんですよ?」

発言とか、聴き所は満載