アイヌ料理なるものを食べてみたいと思い
屈斜路湖畔にある
「丸木舟」というお店に行きました。
そしたらそこの食堂のテーブルの間に
シャツにステテコ、それにアイヌ帽着用の
おじーさんが転がっていました。
シャツ・ステテコにアイヌ帽ってどうなのか、
とか思いつつ店内を見回していたら
この「丸木舟」というお店では
どうやら毎晩アイヌ音楽のライブがあるらしい。
夜にまた来てみようじゃないかと
夫(英国人)を誘うと、どうも乗り気でない様子。
「このスピーカーの大きさは
僕を怯えさせるに十分な迫力です」
夫は耳が弱いのでナイトクラブなどは鬼門。
そして確かに
お店に設置されているスピーカーは
威風堂々たる面構え。
「・・・でも、アイヌ音楽なら大丈夫じゃない?」
「大丈夫って君・・・
さっき、アイヌ音楽をちゃんと聴いたことは
人生でまだないって言っていなかった?」
「言ったけどさ、基本的に民俗音楽でしょ、
そんなに耳に痛い音がくるとは思わんな」
もそもそと討論していると
例のステテコおじーさんがそばに来て
「何、どうしたの」
いや実はこれこれこういう次第で、と説明すると
「そうか、じゃあ夜は来ないほうがいいよ」
・・・ちょっと待ってくれんかステテコ氏。
「いや、私は来たいんですよ」
「でも彼は来たくないんでしょ?
別にさ、来たくない人に
無理して来てもらっても悪いしさ」
「いや、夫は来たくないっていうのじゃなく、
耳への悪影響を心配しているだけで」
「いやあ、うちの音は結構すごいよ。
耳が悪いんじゃあきっと駄目だ、
来ないほうがいいよ、うん、きっと」
ところで人間
ここまでけんもほろろに応対されると
逆に何としても
ライブを観たい気になるのが不思議です。
夜8時半の開演にあわせ
8時ごろにお店に行きました。
ステテコ氏は
きれいなアイヌ服を着て客席をウロウロ。
「あれっ来たの」
「・・・来ましたよ」
「へえー・・・じゃあそこに座りなよ」
そしてしばらく裏手に引っ込むと
またふらりと我々のそばに来て
「スピーカーの音量ちょっと下げたから。
それでも耳が痛かったら言ってね」
ステテコ氏・・・
さては貴方も噂のツンデレ系か・・・?
ちなみにこのステテコ氏こそ
一部でカリスマと呼ばれる
アト゚イ氏その人なのであった
(アト゚イと書いて「アトゥイ」と読む)。
続く。