ほめられても受け取ることができない。
私はダメだという
『思い込みタヌキ』
普段はあまり姿を見せないので
意を決してたぬき退治に出かけました


ちょうど一年前に出会った後輩の後輩だという
将来有望のイケメン君
突然誉められた事でびっくりして逃げ帰った私は、
自分の中に重大な
『思い込みタヌキ』を見つけました
こんな所にこんなおっきな
タヌキがいたなんてびっくり
不意討ちされないように、
今度は着替えて
ちゃんとメイクして
出かけました
生演奏してたりする、夜景も綺麗な
素敵なお店に案内してもらい
始終かたまっている私
回りには外国人ばかりで
彼は流暢な英語で挨拶らしき言葉をかわしつつ
店員さんにさらりと席の希望を伝えたよう
訳もわからず言われるがまま
慌てて席を移動する私
ますます景色の綺麗な席でしたが
写真を撮る余裕なんてなし
固まる私とは裏腹に
スマートなエスコートを続ける後輩君

『いつか連れて来たいと思ってたんですよね』
『今日も綺麗ですね』
『年なんて関係ないです』
でた
でた
でたーーー

待ち構えていたたぬきが、
それはもうぞろぞろと
『そりゃ~今日は綺麗にしてきたからそう言うだけで
』
『親子だと思われてるかもしれないのに
』
『もしかして、すっげー浮いてるかもよ
』
『場違いもいいとこだ
』
それはもう沢山の罵声と共に
お前はだめだタヌキが大暴れ


ほんと、普段はどこに隠れてるんでしょうか
結局すっぴんでも綺麗にしていても、
褒め言葉を受け取れないのね
口では
「ありがとう、ありがとう

」
と言いながら、私はずっとその居心地の
悪さに逃げずに浸っていました

う~
やっぱり穴があったら入りたい
帰ろう


すると帰り道に彼が
『今日は無理をさせてすみませんでした』
とあやまるではありませんか

な、な、なんということでしょう
タヌキ退治に夢中になりすぎて
上の空だったようです
「ち、違うんです
ごめんなさい
ちょっとこーゆータヌキ的な事情で

」
慌てて緊張していた事を説明すると
うなずきながら黙って聞いてた彼は
にっこり笑って
『そーゆーところが素敵だと思いますよ
』
と、おっしゃるではありませんか
な、なんということでしょう


その時私はしっかりと見たのです
大きなタヌキがしょんぼりと
小さく肩をすぼめて出ていく
寂しそうな後ろ姿を
大きな荷物を持っていました…
二度と帰って来ないつもりでしょうか
今までずっと、憎んでてごめんね
あなた本当はいい人だったのね~
私が調子にのって、後々
傷付かないように警告してくれてたんだよね
それに…
自分にダメな所があるかもしれないって
不安になる気持ちって、
あっても良かったんだね
こうやって、ただ一緒に
いてあげればよかったんだね
たしかに、とても居心地は悪かったけど
でもだからって、
逃げたり叩いたりされたら辛かったよね
ほんと、ごめんね
これからは、たぬき退治じゃなくて、
ただ、たぬきさんに出会いに行こう
どんなたぬきさんにも、
たぬきさん側の事情があるみたい
だいたいはご本人を守る為。
それか、過去の経験によって作られた
単なる思い込み

皆さんも是非、怖がらずに
タヌキさんに出会ってみて下さいね






