7月の空が澄んだある暑い日。
近くに流れる川沿いに、
桜並木がありました。
4歳の晃と散歩に出た私は、
一本の桜の木に、
何やら子供たちが群がっているのを目にしました。
近所の子達と、見かけない2人の男の子でした。
どうやらクワガタを見つけたらしく、
近所の子が、晃の姿を見つけると、
「晃!虫かご持ってきて!」と、興奮しています。
晃は、慌てて虫かごを取りに、家へ駆け戻りました。

その見慣れない2人の男の子は、
どうやら川向こうの隣の学区の子達のようでした。
その川は、流れも早く、深い川で、
その両側に植えてある桜の木は、
低い柵の向こう側にありました。
一匹見つけると、
他の木にもいるかもしれないと思った子供達は、
それぞれ細い木の棒を持って桜並木の木を
片っ端から調べ始めました。
1人が、「いた!」
と声を上げると、他の子達が群がり、
次こそは自分が見つけて自分のものにしようと、
躍起になって探し始めました。

そして、その見慣れない子達は、
あろうことか、木の裏側を見ようと川の柵を乗り越えて
クワガタを探しているではありませんか!
「危ないから、柵を越えちゃダメだよ!」
と、注意しても、
全く聞く様子はない二人組。
「はいはい、大丈夫だから」
と言っては、
次から次へと柵を越えて木の裏側にまわる子供達。
危険なのでその子達がクワガタ探しをやめるまで、
うちに帰りたいけど、その場を離れられないでいる私。
そんなことが何日か続いたある日、
うちの学区の近所の子が、
用水路に落ちて死亡する、
という痛ましい事故がありました。
数時間前に、
1人で用水路近くでサッカーボールで
遊んでいるところが目撃されていました。
靴が揃えておいてあったので、
ボールを流してしまい、
取ろうとしたのではないかということでした。
身近にそんな事故があったこともあり、
夏休み前だったので、
言うことを聞いてくれない子の学校へ電話して、
その子達の名前は伏せたままで、
川の柵を越えないように、
今一度学校の方でも指導してくださいと、
お願いしました。
クワガタをあらかた取り尽くした事もあり、
それからその子たちはぱったり現れなくなりました。