粗筋などは他のサイトに譲るとして,ここでは東えりかの解説の一部と,「約束の地で」の一文を引用.
「拳銃や刃物は登場せず、殺し合いもヤクザの抗争もない。あるのは生活に倦んだ毎日だけ。それは私たちの普通の生活に近いだけに、かつての自分や友だちの姿に物語を重ね合わせてしまう。
あの震災から日本人の意識は間違いなく変わった。相原徹もその家族も、周りの友だちもきっと生き方を見直しているだろう。この小説に続いている、現在とそして未来は暗いものではないと思いたい。」(東えりか 解説)
「未来は無限に開き,かつ閉じている」(『約束の地で』)
「普通の生活」.そこに漂う倦怠感.八方塞がりかもしれないこの先.職もなく景気も感じられない地.そこに生まれ,育ち,離れられない人生.
倦みながら続いて行く日常.
原発によって齎されるものでさえ,そんなリアルの一部なんだろうと思うと,胸が締め付けられる.
ラストシーンの敦賀湾の日の出は,「光あれ」という縋るような無自覚の,しかし渾身の祈りを受けて輝いている.
救いは,ないかもしれない.しかしあるかもしれない.
生は,にもかかわらず続いていく.
