<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
そしてその子狐眷属の故郷、
高野山の清高稲荷大明神にお参りに行った際に
「お祭りをしてほしい」と無茶ぶりをされた私だが……
***
菊「天気ー!!! めっちゃいいね!」
雲ひとつない青空の下……
私は母校の役員シゴトで、駐輪場受付&整備でここに来ていた。
ここはそう。西宮神社♪
母校がこの近くで、運動会の本日、駐輪場としてスペースをお借りしているのです。
(えべっさん、ありがとうございます!)
子狐1「セミまで鳴いてるよー!」
子狐2「木陰があって良かったねー」
菊「この天気の良さ……木陰なかったら倒れるわ……」

真新しい建物の前で、自転車を詰めて並べ直したりしながら、
この建物の中のことを考えていた。
菊「この前のお祭りの時は、ここにお神輿が並んでいたんだね……」
そしてそのお神輿たちが眠りにつくために仕舞われていったのが、この建物だった。
菊「……お神輿、すごかったなあ……」
えびす大神(以下:え)「お神輿、すごかった?」
ふと気がつくと、そこにえびす大神の姿があった。
え「やあ、ごくろうさん♪」
菊「わ。おはようございます!……朝からお散歩ですか?」
駐車場は本殿からは離れているので、突然のえびす大神の登場に驚いた。
え「うん。ぐるっと回るといい散歩になるねん」
菊「境内、ほんと広いですもんね……それにこの立派な倉庫」
え「大事な神輿を守る場所やからね。しっかり建ててくれて有り難いな(ニコニコ)」
大事な神輿か……
そういえばこの前のお祭りまでは、
あんまりお神輿のことなんて考えたことなかったけど。
地元の中学生も担いで町を巡行した、朱色の布団神輿。
朱色のものより大きくて強烈な存在感を放っていた、黒い布団神輿。
そして神様を海上渡御にもお運びした、品格のあるお神輿。
さらに……
日が暮れてから戻ってきて、神前での奉納演舞? が凄かっただんじり。
ライトアップされた本殿の目の前で踊る、若衆とだんじりの一体感といったら……
お囃子と相まって、最高のシーンをそこに刻んでくれた。
菊「そういえば……! だんじりって正面を上げたり下ろしたり、
そして最後は本殿の前で何分にもわたって、ぐるぐる回転していましたよね?
布団太鼓も上げたり下ろしたりしていたし……
あのお神輿の持つ独特の躍動感に、今回は見惚れっぱなしでした……✨」
え「重たいのに、ほんまみんな頑張ってくれたよね!
2年振りやもんなー。盛り上げてくれたわ(笑)」
えびす大神は青空の下をトコトコ歩いて、木陰に移動した。
え「あれ、なんであんな風に神輿を動かすか、知ってる? 重いのに」
菊「存じませんけど……見てる方のテンションはめっちゃ上がりますし♪
担いではる方々も、大変だからこそ? のテンションなのか盛り上がりますよね」
え「そうやんね。みんなのテンションがめっちゃ上がる。
その時、神のテンションってどうやと思う?」
菊「神様のテンション? ですか??
……もちろん……盛上がられるのでは??」
え「そ! 正解!
こっち側のテンションもどんどん上昇! ってなるやん?
目が醒めるっていうかね、よっしゃー!
このみんなの為にがんばるか!ってなるねん!」
菊「人と神様が一緒になって、エネルギーが上がるんですね」
え「そうそう。それ魂を振るって書いて
"魂振り"(たまふり)って言うねんけど、神威が上がるんよね♪(笑)」
えびす大神は今日もめっちゃ嬉しそうに語ってはる!
まだまだお祭りのテンションが残ってはるみたい。それ氏子的に嬉しい♡
え「神輿巡行も、あれ町を回ることで穢れを祓って行ってるねん。
あんな重いもの担いで、町中回ってくれてね……
それって、僕らのこと信頼してくれてるからやん?
神様ここに乗ってるから、運びますねん! っていう気持ちが嬉しいよね✨
さらに振ってくれたり、回してくれたり。めっちゃ重いのにやで!」
菊「回りすぎて、目が回るとかないんですか??」
え「あるよ! 想像して!!
回りすぎてふらふらなったらもう……爆笑してまうやん??
それ! その爆笑! 神の爆笑!!✨
もう強烈に浄化してそうやろ?」
もう止まらん!みたいにご機嫌が加速している西宮のスター神様(笑)
菊「お話し聞いてるだけで笑ってしまいます(笑!)
えびす大神さまは本当にいつもご機嫌ですねー✨」
えびす大神がひときわ嬉しそうな顔をした。
え「だって嬉しいやん! 神輿の数は増えてきてるし、担ぎ手もちゃんといる。
それは本当に……ありがたいことやねん。
今日の運動会で走ってる子らの中から、また神輿を担いでくれる子も出てくるしね。
僕はそれもほんまに楽しみなんよ」
この神様はいつも町のみんなと一緒になって笑いたいって、はしゃぎたいって、
そんなシーンばっかり考えてはるんだなあと。
私はニコニコしっ放しの我が町のスター神様を見て、
早くまたこの中に静かに眠るお神輿たちが輝き、
躍動するシーンの中にいたいと思った。
この西宮の神様たちと一緒に。
《続く》
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