【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
そしてその子狐眷属の故郷、
高野山の清高稲荷大明神にお参りに行った際に
「お祭りをしてほしい」と無茶ぶりをされた私だが……
***
<→ 前回 【菊と稲荷】神様、不機嫌モード? の続きです>
稲「すごく失礼だけど。意味、わかる?」
産土神社の稲荷大明神は瞬きもせず、真顔で私の顔を見て言い放った。
菊「(O_O)!!」
稲「……(ため息)僕が眷属に似ているのではなく」
菊「あ」
稲「“眷属” が “僕” に、似ている。それが筋ですよね?」
菊「………………そう……です(ガクブル。。)」
稲「……狐中心に神を語る。💧
なぜ人は いつもいつもいつも! 稲荷神を "狐" 経由で見るのか」
菊「…………(どうしよう。空気重い。っていうかマズい方に熱いッ。。なんか話題を!)」
不機嫌モード突入しそうな稲荷大明神に、思い切って聞いてみた。
菊「あの……稲荷大明神さま。
眷属さまの方が似てるってことは……
眷属さまは稲荷大明神さまの"子ども"なんですか?」
稲「…………………」
菊「…………………」
稲「………それちょっと、面白いな」
菊「♡💧」
稲「では逆に質問しよう。 "眷属" とは何か?
産土っこ(←私のこと)は知っていますか」
菊「手下? 子分??」
稲「……間違いでもないけど、まあまあ祟られそうな答えですね」
菊「キャーーー!!!!」
子狐「さすがタヌキ顔♪」
菊「それ今、関係ない!!!💧」
図書館前なのに(焦)ワイワイと騒がしい私たち……
稲「そうですね。戻りましょう」
菊「(考えてることすぐバレるな……)稲荷大明神さま、なぜこちらに?」
稲「図書館が好きなのだ。普通に本を読みに来ています」
菊「……さすが学問の神様の境内にいらっしゃるお稲荷さま✨」
芦屋私立図書館 打出分室は、本当に打出天神社の真横。
この位置関係もまた、ちょっと「神」!
稲「……お酒とお赤飯を? それはありがとう。
さっきの "呪い" というのは冗談です(笑)」
留守番されていた眷属さまがお供えの件を伝えてくれたみたい。
……お供えが効いて冗談扱いになったんだろうか(苦笑)
稲「稲荷神らしいでしょう? 現金で」
菊「(苦笑)」
稲「眷愛隷属(けんあいれいぞく)」
菊「恋愛眷属?♡」
稲「眷愛隷属。略して "眷属"になります」
菊「!!! 略語……なんですか?(しかも爽やかにスルー)」
打出天神社境内の稲荷社に戻った途端に、
稲荷大明神は饒舌に話し出した。
稲「もともとは血筋の繋がった一族や妻のような身内のもの、
さらに配下や家来のように親しく従う者のことを指します。」
菊「……人に対応する言葉? なんですか??」
稲「そうですね。もともとは仏教用語で、仏や菩薩に付き従う者のことです」
菊「はあ……」
稲「そして神に対して使われる場合、正式には "眷属神" と呼びます」
菊「そっちの方がかっこいいですね✨」
稲「眷属神とは神の使い。神使の事です」
菊「あー 狐さんだけでなく、兎や龍や烏など……色々いてはりますよね」
稲「そうです。狐だけではありません。
でもこの国には稲荷を祀る所が多い。国中にあります。
そして大抵、そこには狐の眷属像も置かれています……。
だから "稲荷=狐" と、刷り込まれてしまう文化的・社会的・風俗的要因があります」
稲「 "眷" という字。この漢字の意味を知っていますか?」
菊「? ……存じませぬ」
稲「かえりみる。振り返ってみる。身内。仲間。
そして恋い慕うというような意味もあります」
菊「………」
稲「この意味からどんなことを想像しますか?」
菊「……大切な存在? ちゃんと付いて来てるかなーみたいな……」
稲「はい」
菊「……なんだか。愛情を感じます」
稲「そこですね」
菊「?」
稲「眷属を従える神は、眷属のことを愛しています」
菊「………」
稲「そして当然、眷属も神を愛し、尊敬し、
その意志に従い、その存在を守ろうとします」
稲「だから眷属はその神が軽く扱われたり、悲しむようなことをする相手を
徹底的に懲らしめようと動くこともあります」
菊「………」
稲「稲荷神は目に見える形で豊かさをもたらすし、
目に見える形で仕返しもします。
だから怖がられてしまう。
……でもそこには何か理由があるはずなんです」
稲「見えない世界に頼るのであれば、
見えない世界を大切にしなければいけません。
それは当然です」
稲「産土っこが最初に言った、眷属は子どもなんですかという問い。
それは確かにそういう部分もありますね。
子分、手下とも言っていましたが、
そこに愛があるのが神と眷属との関係性です」
稲「神は眷属を育てたいし、眷属も神格を上げたいと努力しています。
だから産土っこもその子狐たちが育つように……
清高稲荷大明神の想いに応えてあげてください」
菊「……………はい」
さらさらと風が流れるように話し終わると、
稲荷大明神は返事をした私を見て、にっこりと微笑んだ。
稲「最初の話に戻りますが。
眷属が僕に似ているのは、僕への愛ゆえです。
一生懸命、僕に近づこうとする眷属たちのことを
僕もまた愛しく思います」
菊「……稲荷大明神さま、私……なんか全然わかっていませんでした。
お稲荷さまって…………」
めっちゃ「愛」が強い存在なんですね。
そう言おうとしたけど、照れて言えなかった。
それにどうせ……
「その通りです。ありがとう」
生まれた時から見守ってくださっている産土神様には、お見通しだから。












