【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
***
高野山に向かっていた。
とうとう私は高野山に向かっていた。
本当は伏見稲荷大社に行くつもりだったけど、
台風の影響で登拝ができないことを昨日知った。
「これって、きっと今は伏見稲荷じゃないってことなんじゃ……」
そう思った時に浮かんだのは『清高稲荷大明神』
私の「My神様」! 一番大切な神様。
その神様がきっと何かを伝えたいって思っていらっしゃる。
ということは……
絶対に会える!!!
……………
高野山も台風の影響で、またも鉄道が使えないため代替バスの中にいた。
9月の高野山はすでにひんやり。
やはり下の街とは空気が違う。
蓮華谷というバス停で下車し、私は朱の鳥居を目指す。
そして朱の鳥居をくぐってくぐって清高稲荷大明神のいる森に行く。
子狐眷属たちは久しぶりの我が家に、
競うように朱の鳥居を駆け上がっていった。
そして境内に出た。
台風の被害で倒れた古い鳥居を利用して、
また新しくビオトープが作られようとしていた。
手水舎もすぐに修理されたらしく、
いつも通りに鎮守の森の水が迎えてくれた。
菊「………」
子狐眷属たちの姿が見えない。あれ? どこ行った??
拝殿を超え、本殿前でキョロキョロと探す私。
いや、そんな風にバタバタと探しても!
集中しないと、清高稲荷大明神は姿を現さない。
……集中集中集中集中集中……
無理ッ!!!
どうにも待ちきれなくて落ち着くこともない私を
子狐眷属たちが森から呼んだ。
子狐1「ママーーー! こっちこっち!」
菊「!?」
子狐眷属たちのいる、鎮守の森の方に進むと……
そこに
そこに
菊「…………」
清高稲荷大明神(以下:清)「……来たね。待っていたぞ」
菊「………お待たせしました………」
貴族のような帽子にヒノキを飾り、高野山の僧のような姿の神様。
手にはピンク色の蓮の花。
なんともおっとりとしたその印象……
清「もっと待たされるところであったな。
伏見に行こうとしていたであろう?」
菊「(……バレバレ💧)」
清「お菊」
菊「お菊?!」
清「……稲荷界では "菊" と名前に付けば
もれなく "お菊" と呼ばれる。慣れよ(笑)」
菊「あー はい。……光栄です」
穏やかに笑いながら
清高稲荷大明神は木漏れ日の中、ゆっくりと続けた。
清「……お菊は、なぜ私のところにいつも来る?」
菊「?」
清「私なんかのところに(笑)と言えば、意味が通じるか……?」
菊「………」
清「突然、あの日現れたな。驚いた。急に眷属を磨きだしたな」
菊「………あ。勝手にすみませんでした……」
清「あの日、お菊はこう祈った。
ここに人が来ますように。手水舎ができますように」
菊「……はい」
清「両方叶えたぞ。北岡家が社務所を開け、
我が鎮守の森の小川から手水舎も作ってくれた」
菊「はい。最高の形で叶えてくださいました……」
もうだめだ。泣く。
……感動。
そしてそして
清高稲荷大明神さまもかっこいい……✨(ラッキー……)
清「(照)そうか。ありがとう」
菊「エ。お見通しですか。すみません!」
清「そこでだな、あのー…… お菊に頼みたいことがあるのだが」
菊「早速ですか! なんでしょう♡」
清「今のままでも十分なんだ…… 十分なんだが………… 欲を申すと……」
菊「欲?(神様なのに??)」
清「……………も、申してもよいか?」
菊「え、あ、ハイ。どうぞ(めっちゃ神様、低姿勢!)」
清高稲荷大明神は、唇を噛んで
一旦間を置いてからこう続けた。
清「…………ワイワイと自由な祭りも見たいのだ」
菊「……ま……つり? ですか?」
清「うん」
菊「……あー。お祭り……お祭り、いいですね……」
清「11月に毎年、大餅投という大祭をしてくれていてな」
菊「11月? ですか?」
清「……そこで、できないかな? こう……ワイワイとした
たくさんの者で作り上げるような "賑やかなお祭" 」
菊「エ。……今年??」
……む、無茶ぶりですか!
と思いつつも、清高稲荷大明神の
控えめながらも期待に満ちた表情を見ると……
神様ってこういうことを人に頼んでくださるんだっていう、
ちょっとした感動……?
菊「……えーと、11月ってもう2ヶ月ほどですが、
どうして今年にしたいのですか……?」
清高稲荷大明神は一瞬、目線を下に落とし
そしてゆっくりとまた、その目線を私の目に合わせた。
清「……もっと力が欲しいのだ。私自身に」
菊「………」
清「私のことを想って、たくさんの者が力づけようと参拝に来てくれた。
人のその美しい心のおかげで、
私も眷属の心も清らかになることができた。
私は今、人の愛を感じて幸せだ」
菊「……はい」
清「だから人に返したい。今度は返したいのだ」
菊「…………」
清「庶民のつくる祭りはみんな笑っているであろう? 歌ったり踊ったり。
そういう熱くて高いエネルギーを受けると、
私や眷属にもそれが反映される。
そうすると、今度は強い力を人に渡せるようになるのだ」
菊「………はい」
清「渡したいんだよ。もっと強く。
もっと強く応えたいのだ。
祭りは人と神の力を融合し、循環させる一番の ”場” なのだ……」
菊「…………」
清「……お菊が忙しいなら断ってもいいぞ」
菊「忙しいけどやります(キッパリ)」
清高稲荷大明神は、フッと笑った。
清「実はお菊がその手のことを苦手としているのは知っている。
でもお菊には素晴らしい仲間がいるのも知っている。
皆で私に新しい力を起こさせてほしい。
必ずそれ以上の縁を与える」















