3日間の検査入院の予定でした。
入院中の母から、毎日電話がありました。
「暇なのよ。ご飯不味いし。」
「入院中なんだから我慢しなよ。元気になったら、美味しいもん食べに行こうね。」
そんなたわいのない会話が、元気な母との最後になるなんて…
「今日、カテーテル検査の予定だったんだけど、明日になったみたい。入院が延びちゃったよ。」
病院側にどんな事情があったか分かりませんが、今思えば、この時から予定通りではなく、不穏な空気が漂い始めていたのです。
カテーテル検査は以前にも受けた事があるので、母も軽い気持ちで検査に臨んだと思います。検査後、私の携帯が鳴りました。しかし、それは母からではなく、滅多に連絡を取り合わない弟からでした。
「お母さんが脳梗塞になっちゃったよ。」
「えっ?ただの検査なのに、脳梗塞って何?」
私には弟が言っている事が、全く理解できませんでした。しばらくして、母から着信がありました。
「ほら、何かの間違いだったんだ。」
そう思い、安心して電話に出ると、電話口から聞こえてきたのは、母の泣き声でした。そして、辿々しい話し方で一言
「お母さん…脳梗塞に…なっちゃった…」
後日、先生からの説明で
「カテーテル検査で血栓が脳に飛び、脳梗塞になりました。稀に見る合併症です。」
と説明がありました。
「血栓が飛んだ場所が悪く、今は目も見えづらいし、話もしづらいけれど、リハビリで少しづつ改善すると思います。」
目が見えない?母の気持ちを考えると、すごく悲しかったけれど、この時はまだ、
「リハビリでどこまで回復できるか分からないけど、母の足りない所は私が補おう。いっぱい親孝行するから、早く元気に退院して欲しい。」
そう思っていました。