最近・・・
 
ちょっと落ち込んでいた私。。。
 
「落ち込む」という
言葉がこの心情を表現するのに適しているのかわからないけれど
「なんだかな。。。」と
モヤモヤとした感情が心の奥で渦を巻いているというか・・・・
 
 
今年の年明けは緊急手術中に迎え
ラジオから流れるカウントダウンをみんなで聞きながら
術野からは目を離さずに「gesundes neues Jahr!」
 
かなり高齢で術中の血行動態も悪かったため
とても心配しましたが
ゆっくりゆっくり快方に向かい
ようやく一般病棟に戻られたと聞いて一安心
 
そんな症例の一方で
クリスマスホリデー中に救急外来で診た50代半ばの患者さん
とっても素敵な雰囲気の方で
嘘のない温かい人柄が優しい目にも表れていて
年が明けた後も印象にしっかり残っていた女性Aさんでした
 
 
年明けに別の患者さんの回診に訪れたICUの
隣のベッドに挿管された状態の見覚えのあるお顔が
 
カルテに目を通し
それがあの日私が救急外来で診たAさんだったと気が付いた時
「なんで。」「どうして。」と何百個もの質問が頭の中に溢れて
その状況を理解し受け入れるまでに時間が必要でした
 
私がお休みをいただいていた間に行われた手術中に
誰も予測・回避できなかった危篤な合併症を起こし
そのまま30分以上にわたる懸命な心肺蘇生により
心拍は再開したものの重度の低酸素脳症により
生命が尽きるまでのお別れの時間を
いかに苦しさを感じずに過ごせるか・・という方向へ
ご家族との対話の中で治療方針が定められることになりました
 
勤務の合間や当直のあった夜には
私も何度も彼女の元を訪れましたが
常にご家族やお友達が側にいらっしゃっていて
本当にたくさんの人に愛されていた方だったんだなと感激する一方
どうしてそんな方がこんなに早く・・・・という世の中の理不尽さと
この状況で訪問者の方とお話しをする事以外
何もできなかった医療者としての不甲斐なさが
彼女が静かに眠りについてしばらく経った今も
ふとまた頭の中をよぎります
 
 
その後も
全身に転移の進んだ末期ガンで
もう外科的な治療の手段は何も残されていない状況の
まだ私とそんなに年も変わらない患者さんの救急対応に携わり
 
また
同じ原発癌の全身転移で軟部組織の感染症を併発し
敗血症に陥って救急に運ばれてらした60歳男性Bさん
 
他科の患者さんですが
前回入院された時も実は私が救急外来で診させていただいたので
「先生が当直入ってるって聞いてまた戻ってきちゃったよ。
手土産一つも持ってこれてないんだけどごめんね。
前来た時一緒にケーキ食べようって言ってたのにね。」
なんて冗談交じりに苦しい呼吸状態の中
声を絞り出して微笑んでいたこの方も
先日・・亡くなりました
 
「苦しくないですか?」
「痛みはどうですか?」という問いに対しても
いつも「大丈夫です。きっと大丈夫です。」と
最後の瞬間まで闘い続けたこの方。
 
お顔を見に行くたびに
側に奥様が寄り添ってらっしゃって
ご家族の温かさ・・・しっかり伝わっていたかな。。。。
 
 
そんな事があまりに頻繁に続いたので
医療ができる事の限界を強く感じてしまって
苦しさを感じていた近頃でした
 
そんな私の心情を知ってか
先週の当直に一緒に入った内科のI先生が
ICUの夜の巡回中の私を見つけ声をかけてきてくれました
 
「ねぇ。ずっとずっと言わなきゃと思ってた事があったんだけどいい?」
 
「え。。。なあに?」
 
「asahiが10月頃に救急外来で診たXさん覚えてる?50歳くらいの。
頭怪我して救急外来に来た人。
それで問診の中で
その人がちらっと訴えたたまに感じる胸と顎の痛みを聞き逃さないでくれて
心電図とってくれてさ。それで異常個所を見つけてasahiが内科に回してくれた人。」
 
「あぁ!わかるわかる!
心電図でST低下してたからトロポニン値も測るって言ったら
頭打っただけで来てるのになんでそこまでするんだって
看護師さんにコテンパンに文句言われたから覚えてる〜。苦笑」
 
「あの人ね。その後の検査でかなり進んだ冠動脈狭窄が見つかって
すぐに心臓外科に移されてバイパス手術する事になったよ。
あの時asahiが患者さんの言葉を無視して
頭だけ診て家に帰していたら
数日以内に突然死していた可能性が高い症例だったよ。
だから・・asahiが人を1人救ったって言いたかったの。」と
 
 
先週・・・
術中に心臓発作を起こし心停止に至った患者さん
すぐに心臓マッサージ
蘇生処置と同時に急いで術野を閉じ
循環器内科に引き継ぎ行われた心臓カテーテル検査では
3箇所の狭窄部位が見つかったそう。
 
様々な科のみなでリレー形式に繋いで繋いで
幸いにも守ることができた命でした。。。
 
後遺症もなく明日リハビリ病院へ転院されます。
 
 
 
 
チームでどんなに手を尽くしてもこぼれ落ちていってしまう命
その一方で守れた命
この職業について何年か経っていますが
感情が揺れない日は1日としてない。
 
とある医師がこんな言葉を言っていました
 
「医療の役割は患者さんが寿命を全うするためのお手伝いをすること。」
 
なるほど。。。。
この言葉が今の私の心にすっと溶け込んで来た。
 
 
 
「死なせない」という事にばかりに重きを置いて
患者さんを失った事に無力感を感じていたけれど
もしかするとそれは医療の慢心と傲慢さなのかもしれない。
 
よりよく生きるためのお手伝いをするのが医療の本質だ
というこの言葉を理解しようとすると
これからは
目の前にいる患者さんやご家族にもっともっと丁寧に向きあっていける気がする

 

「生きている」という事は
単に心臓が動いているという生理現象だけではなくって
人柄や生き方、夢だったり大切な人々との思い出そんな非科学的な要素がいっぱい
 
それら全てを純粋な科学である医学で守ろうとすることにはやはり限界がある
だからこそ
残りの部分を補うために医療者にはそれを補う人間力が求められてる気がする
 
科学的な部分でも非科学的な部分でも
まだまだ修行不足で半人前にも到底及ばない私だけれど
決められた命の終わりに抗うことはできなくても
いつか来る終わりの瞬間までの時間を大切に生きるための
伴走者としての役割を少しでも担えるように
今できることを積み重ねていこう♪
 
そんな風に思ったこの頃でした。
 
 
 
 
この金曜日。
 
他科の上級医の先生が
「asahiさん。これあの患者さんからあなたへ。今日退院されるよ。」
 
鍛冶屋さんの息子さんが作ってくださったそう。
 
その方は3週間ほど前の当直時に救急外来で診た方。
そのまま緊急手術が必要になって
私も助手としてお手伝いに入った患者さんでした
 
入院された日とは比べ物にならないほどお元気になられて
ご家族の元に戻られることをとっても喜んでいらっしゃて
私も本当に嬉しい.:*:.
 
 
こんな具合で喜んだり悲しんだり
そして普通にお腹も空く日々の繰り返し。
 
 
 
医療の現場は
 
難しくって奥深し。。。。です( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
 
 
 
 
昨日のお散歩で。バルドゥアくんと
1月の後半なのに顔を見せてくれた虹.:*:.
 

 

 

皆さんと
皆さんの大切な人との今日がよき日になりますように