前回の話

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21:00 かるた大会

 

BBQ後に雪が降り出してキャンプファイヤーが中止になり、屋内でかるた大会を開始することになった。

 

「キャンプファイヤーができなくて残念だけど、こんな時のためにりったん、かるたを持ってきました! みなさん、話題の婚活かるた、知ってるかな? 今夜はこのかるたで盛り上がりましょう!」

 

 

「お、これは莉多子さんがプロデュースしている婚活かるたですね! 最近、婚活イベントで『婚活かるた大会』も登場してますよね。私、ちょっと気になっていたんですよ!」

 

早速、食いつくM田。

 

「いやぁ、莉多子さんは相変らず商魂たくましいですなぁ。わが社でも今度、婚活事業を始める予定なので、いつか莉多子さんとコラボしたいですなぁ」

 

「あら、加山さん、ぜひ!婚活かるた大会はね、婚活にぴったりのイベントなのよ。なぜだかわかる? カモさんなら、すぐわかりそうね」

 

「ええと・・・そうだ!かるた大会では、手と手が触れ合うこともある!手が触れ合った瞬間に恋に落ちることがあるのではないでしょうか?」

 

「その通り!ただし、必ずしも恋が芽生えるとは限らないわ。かるた大会で手と手が触れ合った瞬間に「キャッラブラブ」とときめいたら、相手に恋愛感情を持っている証拠よ。しかし、触れ合った瞬間に思わずチッと舌打ちしたり、ウザッと感じたり、今すぐ手を洗って消毒したくなったら、相手のことが嫌い。手に触れても何の感情もわかない場合は、相手のことを何とも思っていない。だから、かるた大会を通じて、相手のことを本能的にどう思っているのかわかるのよ!」

 

「なるほど!一緒にかるたをすることで本能的に好き・嫌い・何とも思わないをジャッジできるのですね。実に興味深い」

 

「ありがとうカモさん。他のみなさんはなんだかリアクション薄めだけど・・・かるた大会、楽しんでくれるかな?」

 

「いいともーーー!」

 

「おっ、みんなありがとう。では私が読み手をするので、男女に分かれて座ってね。ついでにかるたを並べてくれると嬉しいわ。そうそう、そんな感じでいいわ。では準備はオッケー?今から、婚活かるた大会、始めていいかな?」

 

「いいともーーー!」

 

「ではいきまーす。愛しているって言われたい!」

 

「ハイッ!」

 

すかさず、札を取った翔子。

 

「スゴイ!翔子さん、瞬殺ね。なんかものすごい気迫を感じたわメラメラ

 

「いえ、たまたま目に入ったので・・・」

 

「では次!やっぱりハイスペが好き!

 

「ハイッ!」

 

和歌子が得意げに札を手にする。

 

「和歌子さんも素早かったわね!」

 

「ヘヘッ。これは絶対取りたくて、狙ってたんです」

 

「続いて、本命扱いされたい!

 

皆が一斉に、真剣な眼差しで札を探し始める。

M田も、この札だけは絶対に取りたい!と意気込んでいた。

 

「あ、あれだっ!」

 

M田が札に手を伸ばした瞬間、誰かの手がM田の手に触れた。

 

見ると、ちか子の手だった。

 

「あっ、ちか子さん!す、すいませんあせるこの札、お譲りします!」

 

「いえ、カモさんが先に取ったのだから、カモさんの札ですよ」

 

にっこり微笑むちか子を見て、ドキドキ胸が高鳴るM田。

 

ちか子さんは笑っている。

ということは、私のことが好きなんだなラブハート

 

「あ、すいません。ちょっとお手洗いに行ってもいいかしら。私のことを気にせず、かるたを続けてくださいね」

 

急に立ち上がるちか子。

 

「ええ、わかったわ」

 

莉多子はM田と手が触れた瞬間、ちか子の顔が歪んだのを見逃さなかった。

彼女がトイレに立つ意図に気づかず、ポーッと舞い上がっているM田を哀れに思った。

 

「では、続きまして~また振り出しに戻った~(泣)

 

シーーン

 

先ほどとはうって変わり、誰も本気で札を探そうとしない。

 

「え、みなさん急にどうしちゃったの?ほら、そこにあるわよ。翔子さんの近く」

 

「・・・え、どこかしら」

 

白々しい反応の翔子。

 

M田もすぐに札の存在に気づいたが、見て見ぬフリをした。

せっかく、ちか子さんといい流れができているのに、

ここで振り出しに戻るわけにはいかない!

 

誰も札を取ろうとしないので、

「じゃあ、俺が・・・」

最終的に札を手に取ったクス男。

 

クス男さん、やはり大人だわ。

ということは、誰も取りたがらない札を狙えばいいのね。

 

「では、続きまして~、昔はもっとモテたのに・・・

 

シーーーン

 

誰も積極的に札を取ろうとせず、

やれやれといった表情で手を伸ばすクス男。

 

その瞬間、和歌子は手を伸ばした。

 

札の上で、重なり合う二つの手。

見つめ合う二人。

 

「ヒューヒューラブラブ

 

二人を冷やかす、加山。

 

「加山さん、そのリアクション古いわよ・・・。お二人さん、いい感じのところ申し訳ないけど、どっちの札にするか決めてくれる?見た感じ、クス男さんのほうが早かったけど、じゃんけんで決めてもらってもいいわ」

 

「この札、やるよ」

 

ぶっきらぼうに札を渡され、うっとりした眼差しで受け取る和歌子。

 

「ハイハイ~。だんだん盛り上がってきましたね。それでは続いて、老化する前に結婚したい!

 

一斉に本気モードで札を探し出す参加者たち。

この札を手にしたのは翔子だった。

 

「翔子さん、強いわね。では次~、いつまで続くの、この婚活

 

シーーーン。

 

誰も札を取ろうとしないパターンが再来。

やれやれ、と動き出すクス男。

と、同時に伸びる手。

 

これは・・・先ほどと同じパターンか!?

 

と、思いきや!

 

クス男の手をがっちり捉えたのは翔子であった。

 

しまったガーン

クス男は血の気が引いた。

ねっとりした熱い視線を感じ、慌てて目を逸らす。

チッと舌打ちする翔子。

 

「ハイハイ、ケンカしないでねー。では次ー、そうなんだ~で場は繋げる

 

「ハイッ!」

 

いつの間にかトイレから戻っていたちか子が札を取っていた。

 

かるた大会は思いのほか盛り上がり、莉多子は満足した。

 

「では、これが最後の札です。いきますよー。私、来年こそ結婚します!

 

残り一枚に、全員が一斉に手を伸ばす。

 

最後の戦いを制したのは翔子だった。

 

「いやぁ、翔子さん強いわねー。特に最後の札に対する執念を感じたわ」

 

「・・・いえ、たまたまです」

 

参加者が取得した札を数え始める莉多子。

 

「では、婚活かるた大会の優勝者を発表します!今回の優勝者は20枚の札を取得した翔子さんです~!いやー、圧勝でした。スゴイわ!翔子さん、元かるた部だったとか?」

 

「いえ。ただ、視力と反射神経に優れているだけです」

 

「優勝者の翔子さんには景品として、私の新刊をプレゼントします!この本、結構好評なのよ♪」

 

 

「ありがとうございます」

 

「えっ、景品が出るならもっと本気出せばよかったー」

 

がっかりする和歌子に、貴子が一言。

 

「和歌子、ドンくさいから本気出しても勝てないわよ」

 

「一枚も取れなかった貴子に言われたくないわよ!」

 

「コラコラ、姉妹でケンカしないの!合宿参加者は特別に20%引きにしてあげるから、もし本が欲しかったら言ってね」

 

「ハーイ」

 

「ではみなさん。今夜のイベントはこれで終了です。各自お部屋でゆっくり休んでね。明日は8時から朝食の予定なので、それまでに起きてね。では、解散~!」

 

ぞろぞろと部屋に戻る参加者たち。

 

和歌子はチラリと腕時計に目を落とした。

22:45、もうすぐUMA2が始まっちゃう!

 

部屋へ向かう和歌子を追い越しざまに、

クス男がそっとつぶやいた。

 

「じゃ、部屋で待ってるから」

 

コクリとうなずく和歌子。

 

クス男は不敵な笑みを浮かべながら、自分の部屋に向かっていた。

 

あの女は必ず来るぞ!

 

しかし、部屋の前に思いがけない人物が立ちはだかっていて、ギョッとした。

 

部屋の前で待ち伏せしていたのは、翔子だった。

 

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