部屋に着くなり、怒りに任せて旅行バッグを床にたたきつけた貴子。
「ほんとにアイツ、ムカつく!あたしのこと全く覚えてなかったのよ」
「貴子、落ち着いて。5年前に一度会っただけし、もうすっかり忘れちゃってるわよ」
「あたしにあんなヒドいことしたのに!」
「あんな男に引っかかった貴子も悪いわよ。私だったら絶対に相手にしないもの」
「和歌子とあたしは男の趣味がまるっきり違うもの」
「もうあんな男のことは忘れて、合宿を楽しもうよ」
「忘れられるわけないじゃない。復讐してやりたいわ!」
「怖いこと言わないでよ~」
「ところで和歌子、例のアレ持ってきたの?」
「もちろんよ、せっかくここまで来たんだもの」
テラスの喫煙スペースで、電子タバコをふかすクス男。
ふらっと、ハブがやってくる。
「おっ、隣いいですか?」
「どうぞ」
「最近、喫煙者は肩身が狭いので仲間がいて嬉しいっスよ。クス男さん、ですよね?誰かいい女いましたか?」
「いや全然。ババアばっかりじゃん・・・」
「うわー、キツいっすねー。でも一人20代の大学生いましたよ」
「あいつ、本当に20代なのかな?なんか俺と同じニオイがする・・・」
「えっ、どういうこと?」
「ただ、女子大生よりも気を付けたほうがいいのは翔子って女だよ。俺、前に婚活パーティーであの女に会ったことあって」
「あぁ、あの見た目はゴージャスだけど、根暗そうな女?確か婚活パーティーの女王っていう噂を聞いたことあります。なんでそんなに人気なのか、さっぱりわからない」
「あいつ、催眠術が使えるんだよ。だから絶対に目を合わせないほうがいいぜ。俺、うっかり目を合わせてしまって、気づいたらあの女の名前を書いていたんだ」
「うわっ、怖え~~
」
山小屋一階のラウンジで歓談する加山とM田。
「いやぁ、今回の女性陣は美女揃いですなぁ。わざわざ来た甲斐がありました」
「実は、ちか子さんは私がお誘いしたんです。だからその・・・」
「ははぁ。ちか子さんはM田さんがアプローチ中だから、狙わないでほしいのかな?」
「まぁ、そんな感じです」
「安心してください。私はもう50なので年の離れた女は話が合わないんです。40前後のいい感じに脂の乗った女がタイプなんですよ。ワインと女は熟したほうが美味い!」
「なるほどですね。えっ!?今、窓の外を何か通り過ぎたんですけど!」
「えっ!?」
「ほら、あそこ」
「うわっ、何だあれ!?」
「もしや、伝説のリカティかもしれません!」
「リカティ!?まさか本当にいるなんて!」
「リカティは婚活の神様と呼ばれているんです。目撃できた我々はすごくラッキーですよ!」



