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こちらは昨日つぶやいてた内容なんですが、
かずのすけ@kazunosuke13
最近こういう記事をちょくちょく見るんですが、悪いことは言わないので天然油脂(オリーブ油やラズベリーシードオイル、アーモンド油、椿油など)でUV対策なんか絶対やらない方が良いですよ…。紫外線吸収作用は確かにあってSPFの数値は出るけ… https://t.co/yjYNUl12BU
2019年07月13日 12:57
数年前からちょくちょく小耳に挟んで挟んではいたものの
さすがにこれを信じる人もそういないだろうと思ってあんまり真に受けてなかったんですが
最近かなり質問されるようになったので色々調べていました。
なんでも「オリーブ油」や「ラズベリーシードオイル」や「ツバキ油」などの
「天然植物油脂」が日焼け止めの代用として使える!
というような話がWeb上などでまことしやかに囁かれているということです。
しかも最近だとこれを実際の商品に採用しているオーガニック系化粧品メーカーもあるのだとか…。。。
いや、
はっきり言いますが
天然の油脂は日焼け止めの代わりになんか絶対にならないですよ!!!
100%NGです。
という内容を今日は詳しく話してみましょう。
◎そもそも「油脂」って?油脂の「酸化」とは?
これはもううちのブログでは何度も何度も説明しているのですが、
まぁ化粧品の勉強をしようと思ったらこれは初級編の基礎知識として絶対に知っていた方が良い内容です。
(あとはシリコーンもあるのですが、シリコーンは厳密には油とは違うのでここには入れてません。)
油脂は1番下に書いてあって、
定義的には「動植物が生体内で生成する油(脂)」ということになっています。
で、この三つの成分は実は化学構造は凄く似ているんです。
ただし成分の安定性を左右する部位の構造がそれぞれ違っていて、
簡単に言うと、「油脂」はこの中で特に安定性が低い構造を持っているのです。
(この構造を持つことが油脂の必要条件でもある)
さらに、油脂には「不飽和脂肪酸」や「二重結合」という分解性を左右する別要素があり、
同じ油脂という種類の中でも安定性の高い低いがあります。
この辺の話はとても難しいので、気になる方は以下記事をご覧下さいね!
▶オイルの酸化安定性を見破るには 【不飽和脂肪酸】と【二重結合】について
まぁ色々うんちくを述べましたが、
スキンケアにおいて「油脂」というのはとても優れた成分であることは事実ですが、
基本的な考え方として【安定性が高くない油】であるということを必ず知っていて欲しいのです。
そしてこういった安定性の良くない油分が最も避けなければならないものの一つが、
『紫外線』
です。
紫外線というのは非常に強力な「酸化反応」を起こす光線として知られています。
「酸化」は油脂にとって最も注意しなければならない弱点で、
油脂が酸化反応を起こすと肌を酸化させたり刺激要因になる『過酸化脂質』や、
量が増えると肌に炎症を起こす『高級脂肪酸』を生成してしまいます。
こういった酸化劣化を薬学的には『変敗』と言うそうで、
このような反応は生体内でも起こっていて色々な悪影響に直結すると考えられています。
人の肌の上にあるだけでも常在菌の酵素や空気中の活性酸素などで酸化されたりするのですが
(人の「皮脂」も油脂が多く含まれているため、酸化した皮脂を長時間放っておくと肌荒れしてしまう)
紫外線に晒されることでさらにこの反応速度は急速に促進されるため、
油脂類を皮膚に塗布して紫外線を積極的に浴びるのは美容化学的には絶対にNGということになります。
これは、どんな油脂であっても絶対にオススメしません。
◎なぜ「油脂が日焼け止めの代用になる」という情報が生まれたのか?
しかし現実に「油脂は紫外線防止効果がある!」みたいな情報は少なくありません。
どこのサイトとは言いませんが、
こんなことが書いてあるサイトがあって、
しかもここには↓こんな表まで載せられています。

しかもこれらには一応参考文献まで紹介されていました。
科学にあまり詳しくない人が読めばまぁ信じてしまうのも無理はないような記事内容です。
ここには「ラズベリーシードオイル」にはSPF50~28の効果が!みたいなことも書いてありまして、
最近そのためにラズベリーシードオイルのみで紫外線防止している日焼け止めを作っているオーガニック系の化粧品メーカーまで出てきているんです。
これ、なぜこんな情報が出てくるのかというとですね。
実は上記のようなSPF換算値みたいなものは実際に計算すれば出てくるのは確かです。
(ラズベリーシードオイルについてはかなり怪しいですけど)
というのも、
油脂に紫外線吸収作用があるのは事実だからです。
ただし!
じゃあ日焼け止め効果があるということじゃないか!と思う人もいるかもしれませんが、
それは違います。
なぜ油脂には紫外線吸収作用があるのに日焼け止めに使えないのかというと、
油脂は紫外線を吸収することで上記で説明した「酸化反応」を起こしているからです。
例えば一般的に言われてる『紫外線吸収剤』という化学成分があるのですが、

これは紫外線を吸収しても、熱エネルギーなどの別のエネルギーに変換するという特殊な化学反応を起こします。
そのため、比較的肌への負担が少ないというのが吸収剤の凄いところなのです。
これに対して油脂は、
紫外線を吸収した結果酸化反応を起こして過酸化脂質等を発生してしまうため、
確かに紫外線吸収効果自体はあるものの、
その後の化学反応が肌に有害なのです。
だから実際に、吸収効果を持っていたとしても日本だけでなく世界各国で油脂類を紫外線防止剤として正式に認めている国はありません。
ちなみに日本においては紫外線吸収剤はその安全性を厳しく判定してして
十分な効果と安全性が認められたもののみを化粧品基準の【ポジティブリスト】にまとめる決まりになっています。
↑の別表第4に載っている成分が正式に認められている紫外線吸収剤です。
メーカーも本来は紫外線吸収剤としてはここにある成分しか使ってはいけません。
(ここにある成分以外を使うメーカーはかなり怪しい企業です)
結論として、
油脂は確かに紫外線吸収効果を持っているのは事実なのですが、
肌荒れリスクを増やしてしまうため日焼け止め代用は出来ないということです。
実際、単に「紫外線吸収効果」を持っている成分って他にも色々あります。
全般的に光で変質してしまうタイプの成分は同じように紫外線を吸収して化学反応を起こすので
紫外線吸収効果だけは持っています。
でもこういう成分は肌に負担になってしまうから紫外線防止剤には使われないのです。
◎油脂の「SPF」表記は本物なのか?文献を見てみた結果…
ちなみに、上の文献やデータについてですが、
実は結構怪しげなデータであることが分かりました。
少しこの種明かしをしていくと
まず「ラズベリーシードオイル」が最大SPF50という情報について紹介されている参考文献を見てみたのですが…
※1: B. Dave Oomah et al. Characteristics of raspberry (Rubus idaeus L.) seed oil. Food Chemistry 69. 2000.
※1の文献が以下なんですけど
▶https://www.researchgate.net/publication/215523935_Characteristics_of_raspberry_Rubus_idaeus_L_seed_oil
僕がザザッと読んだ限り、どこにも「SPF28~50」とか書いてないんじゃないですか…?(^^;)
なんかラズベリーシードオイルの脂肪酸組成とか吸光波長とかの実験はあるみたいですが
厳密なSPF試験データなどは何もありません。
これを読んでなぜこの記事の筆者がSPF28~50と断定したのかははっきり言って謎です。
(よくよく読むとそういう記述があるのかしれないけど…少なくとも実験データはない)
それよりもラズベリーシードオイルって脂肪酸組成が驚きで、
英語で科学表記だから分かりにくいかもしれませんが、
簡単に訳すと
一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」が約12%、
あと多価不飽和脂肪酸の「リノール酸」が54.5%、「リノレン酸」が29.1%含まれています。
実は油脂ってこれらの「不飽和脂肪酸」というものの含量が多いほど
酸化しやすく、これに従って紫外線吸収効果も高くなるんです。
ラズベリーシードオイルってつまり計96%近くが不飽和脂肪酸で、
そのうち特に酸化されやすい多価不飽和脂肪酸の内訳が83%以上です。
これは油脂学を多少学んだ人が見ればかなり不安定な油脂だなと感じると思います。
(ちなみに同じく不飽和脂肪酸系油脂のオリーブオイルでも多価不飽和脂肪酸は10%くらい)
こんなの肌に塗ったら、
そりゃ確かに紫外線吸収はするだろうけど、
ガンガン酸化するだろうなと容易に想像できます…。。。
次に、さっきのSPFの表なんですが…
これは↓の文献に載ってたのですが
元データをGoogle日本語訳したものがこれです。
「分光光度計で計算されたSPF」とあるのが分かりますか?
そもそもSPF試験って具体的な試験方法があって、
ちゃんとした数値を出すには実際に人間の皮膚使ってやらなければならないんですよ。
これは分光光度計という機械で測った「吸光度」というものから簡易的にSPFを予測計算する方法があるのでそれで出している偽の数値なんですよね。
実際の所、
吸光度は数十秒で測れてしまうため、
換算式ではある程度の数値を出せるかもしれませんが
実測試験のように何十時間も試験時間を要する場合(SPFは約20時間かかります)
光安定性の低い油脂だと途中で構造が壊れていってしまうため
実測試験ではこのような数値はまず出せません。
つまり上記のデータは実際使用においてはなんの参考にもならない意味の無いデータなのです。
同じように、
もし同様の計算式を使って文献1の吸光度から「ラズベリーシードオイルはSPF28~50」という数値を出していたのだとしたら、
これも全く参考にするべきではないでしょう。
ちなみにこの文献だと「精油」のSPFとかも出しちゃってますけど、、
これ多分原液を使った吸光度試験の結果なので、
本来0.数%とかしか入れない精油で日焼け止めなんか絶対作れないので注意してくださいね…(-_-;)
(精油の成分も光安定性の低い成分が結構入っています)
◎「無害なケミカル」よりも「有害なナチュラル」に注意
こういう情報を出しているサイトとかって、
「紫外線吸収剤や界面活性剤などは危険な成分だから、肌に害の無いナチュラルな成分で対策しましょう!」
みたいな論調でこういうのを紹介しているのですが
これは本当に間違った情報ですし、こういう内容を書く人はその行いと不勉強を恥じて欲しいと僕は思います。
世の中には確かに健康に害をなすような化学成分がないとは言いません。
でも、化学的に作られている成分にはほとんどの場合それが誕生した正答な理由があります。
例えば今回の「紫外線吸収剤」という成分は、
天然に存在する油脂などの成分では肌に害の少ないUV対策が出来ないから、
その問題を解決するために作られたものなのです。
天然のものを使用してはダメだからこれが作られたし、利用されているんです。
誰も人の肌に害をなそうとして吸収剤を作っているわけではないし、
それを配合しているわけでもないんです。
肌に負担の無い天然成分で可能であればそれは当然着手しているでしょう。
(現状酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤を使うのが最も低負担です)
もちろん吸収剤が敏感肌に適した成分か?というとそれはまた別の話になりますが、
少なくとも肌の弱い人であっても油脂を塗って日差しを浴びるよりは吸収剤を使った方が確実に肌への害は少ないです。
これ以外にも「無害なケミカル」を無駄に恐れて「有害なナチュラル」に手を染める人っていうのは一定数いますし、
凄い有名人とかたまに医者とかでもいるんですけど…
しっかりと勉強して、正しい情報の取捨選択ができれば
こういう情報に右往左往することはなくなると思います。
最近では雑誌とかでもちょっとこういう情報が紹介されるケースが増えてきているらしいので、
本当に注意して欲しいと思います。
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