むかーしむかし、男女混合雑魚寝した日の朝、センパイが言った。
「昨日、おれのいびきうるさかったよね ごめんね」
その場にいたみんな
「えー ぐっすり眠っててわかんなかった〜」
「みんないびきとか歯ぎしりとかしてるから誰がとかってないですよ〜」
ほんわかと和やかな雰囲気。
当時は気づいてなかった。
───いびきがうるさかったのって、おそらく……
今も昔も慢性鼻炎。
鼻が詰まっていて口呼吸。
いびきの犯人は、わたしだ。
センパイは素知らぬ顔で泥をかぶってくれたのだ。
うら若き乙女であった当時のわたしにこの悪癖を指摘してくれる人間はおらず、無意識無神経に寝ていたが、老化し肥え太って悪化した現在ほどではないにしろ、昔からいびきはかいていた。
親からものちに伝えられた。
ridiaはずっといびきがうるさかった、と。
ウッチャンナンチャンのウッチャンとMr.Childrenの桜井和寿を足しっぱなしにしたような柔和な優男だったセンパイはめちゃくちゃモテていたが、顔面だけでなく、こういうところがモテる男なのだろう。
「〜ちゃんの彼氏がうらやましいな」とか「タイミングが合えば立候補したかった」とか、完全に冗談だとわかるように、それでいてとびきり甘い声でさらりと言う人だった。
絶妙に線引きがうまくて、冗談を本気にするような子や、フリーの子には言わなかった。
女の子だけでなく老若男女に紳士的で親切だった。
そりゃあモテる。
うん十年ぶりに思い出した。
あのときはありがとう、センパイ。






