あるべき物語をなぞる、というのは現代病だと思う。
劇場型政治、劇場型犯罪、コスプレ、なりきり、キャラ作り。
流行のメイクをすること。中学校を卒業したら高校大学と進学し有名企業に就職すること。
インスタ映えする写真を取ってリア充を気取ること。メンタル弱いと卑下すること。
一定の雛形に沿ったカタチを演じ、そのように話し、動く。
作りものめいた生き方、どこかで聞いたセリフ。
それらは本当に自分の言葉なのか。
自分の人生をいきているのか。
あらすじのある物語、先の見えたレールの上を歩いているだけでは?
けれど、誰だってロールモデルを探してしまう。
意識せずにオリジナルの生き方をするには稀有な才能が必要だ。
その中で突出した存在になろうとしたとき、英雄の物語を生きようとする…そのことが罪になるのだろうか?なぜ罪になるのだろうか?
理不尽な悲劇があったとき、ひとは怒りを覚える。
制裁を!
鉄槌を!
そこにうまれるのは争い。
ひとりがひとりを討ち滅ぼそうとしたら、それはもう戦なのだ。
しかし。
何もせず、手をこまねいて、傍観するのもけして正義ではない。
英雄は破壊をうむ。
光と影は必ずセットになっていて、光だけで成立することも、影だけがうまれることもない。
主人公
森崎友理子:ユーリ 小学校5年生 “印を戴く者(オルキャスト)”
あらすじ
優等生で人気者だった中学校2年生の兄大樹がクラスメイトを殺傷して姿を消した。
なぜあのお兄ちゃんが?理由を探るべく大樹の部屋に入った友理子は一冊の赤い本に出会う。
赤い本は教えてくれた。大樹はあらゆる物語の源泉「無名の地」に封じ込められていた「英雄」を召喚したのだと。
友理子は“印を戴く者(オルキャスト)”ユーリとなって兄の行方を追う旅に出るのだった。
英雄:美しく尊い物語。強い光と影をもつ。わかりやすくするために便宜的に善なる部分を英雄、悪なる部分を黄衣の王と呼ぶ。
英雄の書:英雄が破獄すると「虚ろの書」になる。
輪(サークル):人間が認識する世界のこと。宇宙、地球、歴史、空想、諸々の世界の概念。世界を解釈した瞬間にうまれた。
領域(リージョン):輪の内側に存在する世界。現実世界やゲームやアニメやドラマなど1つの設定がひとつの領域。
赤い本:アジュ ユーリと旅をする。魔法でハツカネズミの姿になった。
アッシュ:英雄の書の「写本」を追う狼のひとり。灰の男。『ヘイトランド年代記』という物語の登場人物。
エルムの書:『ヘイトランド年代記』という領域で著された英雄の写本。大樹が手にした。
森崎大樹:ユーリの兄。
乾みちる:大樹と同じ中学校の図書委員。
水内一郎:ユーリの叔父。本好きの変わり者。亡き恋人を復活させようと魔導に惹かれ「エルムの書」を手に入れる。
無名の地:物語の源泉の地。対の咎の大輪が回り、物語を生み、回収する。時間が無く永遠と一瞬が同じ。
万書殿:大きな図書館のようなもの。物語を収めている。
無名僧:万書殿の守人。物語という嘘を生きようとした者が罪人として成る姿。名前も顔も個性も無くなり咎の大輪を回す。無の存在。裸足で黒衣。剃りあげた禿頭、濃い眉、痩せたからだ。千人万人居るが一人しかいない。
大僧正:無名僧のひとりがユーリが話しやすいように個性をだした、おじいさんの姿の無名僧。
ソラ:若い無名僧でユーリの従者になった。
守護の法衣:ハリポタの透明マントのようにからだを覆うと見えなくなる。魔法の力を強化し疲労や空腹を感じさせない。無名僧は無名の地以外ではかたちを維持できないので法衣がなくなるとソラは無になってしまう。
ラトル医師:『ヘイトランド年代記』の美男子。
紡ぐ人:物語をつくる人。お話をする人。嘘をつく人。歴史家。作家。言葉を紡ぐすべての人。
ネタバレ
主人公ユーリの目的は消えた兄(大樹)の行方と兄が同級生をナイフで刺した理由を知ること。
同級生を殺傷した理由→目の上の傷が原因でイジメにあっていたみちるを助けたら、(英雄ぶっていていけ好かないと)自分もイジメにあってしまう。その強い怒りに「英雄の書」との接点ができ、強い力を得、奮ってしまった。英雄的行為は戦(いくさ)の行為でもある。
兄の行方→大樹はあるべき物語(かわいそうな女の子を救う英雄)を生きようとした罪で無名僧になっていた。しかし割り切れない感情のせいで無名僧のなりそこないになり従者ソラになってユーリと旅をすることに。
この旅はユーリが兄を探す旅ではなく、兄であったソラが完全に無名僧になるための旅だった。

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