本のお題を出されたら答えるよね。
朗読したい本ね!
1冊めはすぐに思いついた。
メロスは激怒した。必ず、かの 邪智暴虐 ( じゃちぼうぎゃく ) の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。
「かのじゃちぼうぎゃくのおう」って言いたい。じゃちぼうぎゃく。走れメロスでしか見たことない。じゃちぼうぎゃく。好きだ。
「セリヌンティウス」も語感がいい。声に出したい。
文章にリズムがあって気持ち良い。単語のひとつひとつもパズルのピースがぴったりはまるように自然。とても完成されていて、吟遊詩人が唄い語るような物語だと思う。
2冊めは古典から。
春はあけぼの。 やうやう白くなり行く山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。 夏は夜。 月のころはさらなり、やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。
やっぱり、学校で暗記させられることはある。
情景も美しいし、声にだして読むとまろやかで柔らかく、耳に心地よい。
枕草子は長いから、朗読は冒頭の四季の部分だけね。
3冊めは芥川龍之介。
しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着(とんじゃく)致しません。その玉のような白い花は、御釈迦様の御足(おみあし)のまわりに、ゆらゆら萼(うてな)を動かして、そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好(よい)匂が、絶間(たえま)なくあたりへ溢(あふれ)て居ります。極楽ももう午(ひる)に近くなったのでございましょう。
これはラストシーン。
ここが読みたい。 冒頭とさいごの穏やかで高貴な描写!
頓着をとんちゃくと読まずとんじゃくと読ませる繊細さ。
カンダタのいる地獄との対比といい、上品な文章といい、朗読したくなる。
4冊めはオノマトペの楽しさ。
二 疋 ( ひき ) の 蟹 ( かに ) の子供らが青じろい水の底で話てゐました。 『クラムボンはわらつたよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』 『クラムボンは跳てわらつたよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
「クラムボン」っていう名前の語感が良い。
「かぷかぷ笑ったよ 」って言いたい。
題名も内容も平易な文章なのに謎だらけなのもいい。
そもそも宮沢賢治はわかりやすい話ってないか。
朗読 宮沢賢治名作選集6「やまなし」「オツベルと象」「雪わたり」 [CD]
5冊め、最後は詩。
大漁
朝やけ小やけだ 大漁だ 大ばいわしの 大漁だ。
はまは祭りの ようだけど
海のなかでは 何万の いわしのとむらい するだろう。
詩は声にだして読むことが前提のようなところがあるから、詩という詩はすべて朗読に向いているようにも思えるけど、なかでもこれ。
金子みすゞの「大漁」は短い詩のなかに喜怒哀楽がぜんぶつまっている。
起承転結もある。リズムもいい。とんでもない。

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