サブタイトルが「恋路」というだけあっていくつもの恋模様が描かれた回。
秀吉が寧にいちいち報告したり相談したりする場面が、今後のこの夫婦と豊臣の世を暗示している。
寧にとっては秀吉のこういうところが腹立たしくも憎めないんだろうな。
長い付き合いの正室でありながら、子をもうけることができず、若さを失っていく女の悲哀は『源氏物語』の紫の上を思い起こさせる。夫から愛され信頼もされている。そこには疑いの余地もない。
しかし後から現れた身分高い若い女へ寵愛がうつり、挙句に子を成されてしまう、その切なさ。
紫の上も寧も怒りや悲しみをヒステリックに発散するには賢すぎ、優しすぎた。
だから、若い女にうつつを抜かして「お前に対する気持ちとは違う。わかってくれるだろう」なんてぬけぬけと甘える夫にアドバイスまでしてしまう。
惚れた弱み。現在の自分の立場。政治的な配慮。
微笑みの裏でどんどんと澱が溜まっていき、破滅の予兆となる。
茶々の闇が滲む回でもあった。
武具倉庫で血の匂いを嗅ぎ、信繁にしなだれ掛かる。
親しい者はみな秀吉に殺された。
無邪気に振る舞う茶々が、このときばかりは真顔。笑みの無い顔でその秀吉に側室になれと言われたと告げる。側室になるべきか、どうか。
言葉を濁すしかない信繁。
結局のところ、茶々に選択肢などないのだ。
これまで彼女の思い通りに運命が動いたことなどなかった。今回だって茶々に拒否権なんてない。せいぜい秀吉の作る豪奢な籠の中で放埓に振る舞うフリをするだけ。
このあと茶々と密会の噂をたてられ、再三「隙があったからだ」と言われてしまう信繁。
煮え切らない態度はじつにカッコ悪い。スキだらけ。
いったんは片桐且元がテキトーな噂を鵜呑みにしたアンポンタンってことで収まったこの噂、茶々のうっかり発言でまた窮地に。
さすがに聞き捨てならない秀吉。
激怒、激怒!
怖すぎ。
が、問い詰める途中で急に信繁無視して茶々を口説くモードになる。
武具など血なまぐさいものはもう見せたくなかった。
今まで見てきた忌まわしいものの何倍も美しいものを見せる。
死ぬときに日の本いち幸せな女だったと言って欲しい。
青年のように情熱的に口説く秀吉に、茶々は側室になることを受け入れるのだった。
こうして見てみると、秀吉が激怒したのは口説き文句の効果を高める演技だったのかも。
カタチだけでも男が口説き、女はそれにほだされる、というプロセスは大事なのでしょう。
権力者が力づくでモノにしたわけではない、情が通ったのだ、という建前をお互いが信じる口実が必要なのだから。
さて、こちらはそんな口実もプロセスもないふたり。


完全無欠の政略結婚。
まったく嬉しそうじゃない。
信幸が追い出されそうな病弱妻こうを愛しているらしいのが、ほほえましくもかなしい。
稲姫役の吉田羊がちょっと前のドラマ『ナオミとカナコ』に出てくるコワイお姉さんのイメージがあって、見てるとゾワゾワする。
吉田羊って美人だけど顔がコワイ。
茶々の顎くいに不吉な予言。
「わたしたちは同じ日に死ぬ……」
茶々から貰った山吹の押し花、信繁の宝物になるのかと思いきや、きりがパクり!
茶々の毒気にあてられた後ではきりのお転婆が可愛く見える。
山吹の押し花、呪いのアイテムみたいだったからね。
次回真田丸20話「前兆」
秀吉に悪口が落書きされたり流行歌になったり。
ここから秀吉、豊臣の崩壊が始まる。
うーん、晩年の秀吉、痴呆がはじまってたのかな…?
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