■トヨタ生産方式、相次ぎ伝授
「トヨタへの感謝が大統領の言動で変わることは全くないわ」。テキサス州北部の慈善団体でシニアマネジャーを務めるサラ・ゴラス氏はこう言い切る。
同団体はスーパーなどで余った食料品を低所得者やシニアに配るが、仕分けなどに時間がかかり、1日の対応は50組の家族が限界だった。「サービスを利用できない家族がいて困っていた」(ゴラス氏)という。
悩みを解決したのがトヨタ生産方式だった。商品を選ぶコーナーなどを5区画に分け、搬入や在庫管理も効率化した。従来の2倍近い家族に対応でき、ゴラス氏は「余った時間を接客や陳列にあて、利用者の笑顔が増えた」と満足そうだ。
同団体を支えたのが「トヨタプロダクションシステム・サポートセンター(TSSC)」だ。トヨタ生産方式を製造業や病院、NPO法人に広げている。
TSSCが生まれたのは92年。日米貿易摩擦で米国製部品の購入拡大を求められる逆風の時代だった。米国生産のトップだった張富士夫相談役が当時「車づくりを学んだ米国に恩返しをしないといけない」と提案。経営コンサルティング会社と違って「一緒に作業をして手を汚しながら改善し、成功体験をつくる」(TSSCの堀之内貴司社長)との理念をもとに、300超の企業・団体に地道にノウハウを移してきた。
この取り組みは他国にも広がる。2016年にオーストラリアで海外2拠点目のTSSCが発足した。トヨタ生産方式の本丸は愛知県だが「海外での苦労の経験とノウハウは米国にある」(堀之内社長)と米国拠点が教育などを支援した。
09~10年の品質問題で味方になったのは進出した地域の従業員や販売店、知事や議員ら地元関係者だった。集中砲火の状態のときにケンタッキー州のベシア知事(当時)らは「トヨタは攻撃的な報道の犠牲になっている」と冷静な対応を求めた。米国経験のあるトヨタ役員は「リーマン後の赤字、品質問題でもレイオフしなかったことを今でも感謝される」という。
疾風に勁草(けいそう)を知る。良品廉価の車やサービスを生み出す努力を重ね、地域貢献を続ける。この原理原則が逆風に負けない強い根の成長につながる。
4月24日(火) 東京セミナー
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