高齢者等の終身サポート事業が拡充へ

 

先日行われた保健福祉委員会で、

「高齢者等の終身サポート事業」に関する新たな取り組みについて報告がありました。

 

 

近年、身寄りのない高齢者や、将来に不安を抱える方が増えています。

入院するときの手続きであったり、亡くなった後の手続きを頼める人がいない、
日頃から見守ってくれる人がおらず、いたら安心だ。というお声など、

こうした不安に対応するため、

練馬区では今年4月から社会福祉協議会による終身サポート事業「そなえ・あんしん365」を開始しています。

【権利擁護センター】終身サポート事業と終活登録事業を開始します|練馬区社会福祉協議会

 

さらに7月には、区・社会福祉協議会・民間事業者団体が包括連携協定を締結し、支援体制を強化しました。

自治体・社会福祉協議会・事業者団体の 3者が高齢者等の終身サポートを目的として協定を締結するのは全国初。

 

練馬区の報道発表資料:

【令和8年7月6日】【全国初】 身寄りのない高齢者等の終身サポート体制を強化 ~区・社会福祉協議会・事業者団体が包括連携協定を締結しました~

 

 

終身サポート事業とは

 

終身サポート事業の主な支援内容は、

日常生活の見守り、入院・入所時の手続き支援、亡くなった後の死後事務支援などです。

これまでは社会福祉協議会の対象要件に該当しない方は利用できませんでしたが、今回の協定により、条件に応じて民間事業者のサービスへつなぐことが可能になり、支援の選択肢が広がることとなります。

 

現在の利用状況として、

相談者は実人数183名(延べ280名以上)、終身サポートの相談は約70名、契約手続きに入っている方は2名、積極的に検討中が4名とのこと。

現時点では相談者の多くが高齢者で、障害のある方の相談はまだ少ない状況とのことでした。

 

 

 

個人情報の取り扱いは?

 

終身サポートでは財産や個人情報を扱う場面があり、個人情報の取り扱いについても取り上げられていました。

区は、社会福祉協議会と事業者間のやり取りを確認できる仕組みとなっており、利用者保護の観点から必要な働きかけを行うとしています。

 

 

 

万が一事業者が廃業したら?

 

終活相談から死後事務まで長期間となることも考えられており、その間に万が一終活事業者が廃業した場合はどうなるかという質疑がありました。

区からは、協定に参加している団体内で他の事業者へ支援を引き継ぐ仕組みを整えており、継続してサービスを受けられる体制を確保しているとの説明がありました。

 

 

 

課題は?

 

課題としては、

現在の「そなえ・あんしん365」は、一定以下の収入・資産などの要件があり、すべての要件を満たしていなくてはならず、

支援を必要としていても対象外となる方がいます。

(委員会提出の参考資料より抜粋)

 

社会福祉協議会では現時点で身元保証は行っておらず、その支援を希望する方は民間事業者につなぐ仕組みとなっています。

また、国では終身サポート事業に関する法整備が進んでおり、練馬区でも制度の見直しを検討していくとのことでした。

 

 

高齢化や単身世帯の増加に伴い、頼れる家族がいないという課題は今後さらに増えていくと考えられます。

今回、民間事業者との連携によって支援が広がることとなりますが、

利用者が適切な事業者を選べる情報提供、個人情報や財産を守る体制、事業者への継続的なチェック、制度の対象外となってしまう方への支援といった点を引き続き丁寧に確認しながら、誰もが安心して暮らせる仕組みづくりにつなげていきたいと考えています。

 

また、この事業については、障害をお持ちの方の相談はほとんどいません。

現在の終身サポート事業は、「頼れる親族がいないこと」と「本人が自らの意思で契約できること」などが利用要件となっていることが関係しているのではないかと考えられます。

親御さんが健在であったり、本人だけで契約することが難しい障害のある方は、対象にならないケースがあるとのことです。

これまで、障がい児者の親御さんからのお話では、親が元気なうちに親なきあとを見据えて生活や貯蓄などを整えていると伺います。

他の委員からの質疑でもありましたが、親がいるから対象外ではなく、今のうちから備えられる仕組みが必要ではあると考えます。

区としては、今回のこの事業だけで対応するのではなく、さまざまな制度を組み合わせて支援していく考えを示しました。

例えば、成年後見制度を活用や、地域福祉権利擁護事業、知的障害や精神障害のある方については、後見人が契約を支援しながら終身サポート事業につなぐことなど、「制度の合わせ技」で支えていくとのことです。

 

成年後見制度については費用面などへの不安から利用が十分に進んでいない現状については、区も課題として認識しており、今後は制度を紹介するだけではなく、

「どのような場合に、どの制度を利用できるのか」を分かりやすく案内し、終身サポート事業と成年後見制度を組み合わせながら、「親亡き後」の支援につなげていきたいとの考えが示されました。

 

「親亡き後」は、多くの障がい児者のご家族の方々が長年抱えている大きな不安と課題です。

だからこそ、親御さんが元気なうちから将来の備えについて相談でき、必要な制度につながる環境づくりが重要だと感じました。

終身サポート事業だけで全てを解決することは難しい状況であれば、個々への対応や、制度があっても知っている人だけが利用できるというのではなく、まずは必要な方へ必要な情報が届くようにし、利用に至るように、周知や相談体制の充実についても取り組むべきと考えます。