朝鮮王朝期の宮廷を舞台にしたYAミステリー。
王族の診断を担当する医女のペクヒョンは、彼女が医術を学んだ恵民署にて、4人の女性が殺害された事件、その犯人と疑われた恩師を救う為に動きます。
その姿を、身分違いの恋、男尊女卑、親子の確執、宮廷の陰謀などを絡めながら描かれており、ヒョンが捕盗庁の青年オジンと共に行動を共にするようになってからが特に面白かったですね。
何より、ヒョンの考え方や感じ方、家族間の変化の描き方が自然で良かったです。
現代から見れば、女性であるというだけで受ける理不尽さ。
いえ、現代から見ればと述べたものの、実際はいま現在でも程度の差はあれど間違いなくある問題について、ヒョンが特に父に対する抱く愛憎入り混じる複雑な感情が爆発するような場面が印象的でした。
そんな父に従属するだけの存在かと最初は思われたヒョンの母でしたが、ヒョンを信じ、その未来を助けようと見せる姿は意外なものと同時に感動的でもありました。
ところで本書は「ディアスポラ文学」というものらしく、その言葉を初めて知りました。
故郷を離れた移民や難民が、自身のルーツを舞台に異文化理解を提供するような文学とかなんとか。
難しいことは分かりませんが、本書に関してはあまり馴染みない用語も、韓国時代劇が好きな人にはすんなり入ってきそうですね。
そして、書店のPOPにも書かれていた通り、実際、自分も楽しめましたが、大人気アニメ『薬屋のひとりごと』が好きな人は間違いなく楽しめそうです。