『シェフ探偵パールの事件簿』 ジュリー・ワスマー | 固ゆで卵で行こう!

固ゆで卵で行こう!

ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

港町ウィスタブルでレストランを営むパールは副業として私立探偵を始め、初めての依頼人を迎えるが、その依頼は牡蠣漁師に貸した金が返ってこないので調べて欲しいというもの。

しかしその漁師はパールの友人ヴィニーでもあった事から依頼を断り、ヴィニーに会いに船に向かうも、ヴィニーを死体で発見し・・・。



実在する英国のリゾート地ウィスタブルが舞台で、オイスターフェスティバルで賑わう町の情景が実に鮮やか。


そして登場する料理がこれまたどれも美味しそう!

主人公のパールはかつて警察官を目指していたものの、警察学校で訓練中に出会った甘いロマンスの結果、妊娠し、その夢を断念した過去が。


その後、女手ひとつで一人息子を育ててきたものの、その息子への愛、強すぎ問題が発生(笑)。

大学進学により親離れする息子チャーリーと会った際の別れ際に振り返り、その様子を目で追いかけながら、振り返ってくれない事に寂しさを抱いたり、チャーリーの、美しいだけでなく優しく料理も上手な恋人に嫉妬する様子には、読んでいるこちらもなんだかいたたまれない気持ちに(笑)。

とはいえ、渋々(?)ながらもチャーリーの恋人の事を認めるようになる様子や、パール自身が老眼鏡を必要な事を自覚して動揺したりなど、その日常も微笑ましく描かれています。

 

特に母親とのユーモアたっぷりなやり取りも実に可笑しく、思わず、ふふ、と笑ってしまう事も。

また、ロンドンからなにやら心に深い傷を抱いてこの地に赴任してきたマグワイア警部に対して、最初は対抗心めいたものを持っていたのが、気付けば互いに心が惹かれる様子も。


二人の仲の進展も気になるなど、こういった人間関係がうまく描かれているところや、観光地ではあるけれどパールたちにとっては故郷であり生活をする場であるウィスタブルの活気ある様子が見どころです、

事件そのものは、思いがけず苦い結末が待っていたので正直驚きましたが、家族の絆、そして強い心を持っている様子が印象的でした。

さて、シェフ兼探偵となったパールの今後の活躍、是非ともシリーズ2作目以降も見せて欲しいところなんですが、このシリーズはTVドラマとしても人気らしいですね。


そのドラマ版も見てみたいもんです。

 

 

 

 



あ、それから先日、ニュースで本書の舞台となるウィスタブルについて流れていました。


下水処理がきちんとされていなくて、牡蠣が取れなくなっているとか。


本書を読んだ後だけにタイムリーなニュースでしたが、心配ですね…。