2020年、中2の夏休みの始まり。
島崎みゆきは、幼馴染の成瀬あかりから、コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通ってTV中継に映るから観ていてくれと頼まれる。
凡人を自負する島崎は、天才成瀬の言動に振り回されるのを楽しむかのように、一緒にTV中継に映ったり、M-1に出場する。
凡人を自負する島崎は、天才成瀬の言動に振り回されるのを楽しむかのように、一緒にTV中継に映ったり、M-1に出場する。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
冒頭の成瀬あかりのセリフで一気に引き込まれると最後まで一気に読ませるほど、成瀬あかりという、天才で天然で変人なキャラクターの言動に目が離せなくなります。
読みながらクスクス、ニヤニヤ笑ってしまうような描写もあるんだけど、成瀬の周りの登場人物たちの内面はどこか胸が痛くなり、切なくなる場面も。
それにしても舞台となる滋賀県、大津市、そして膳所、琵琶湖、競技かるたなど、地元愛が詰まった描写には、その場所を知らない読者でさえも、まるでその様子が目に浮かぶようです。
特に最初の章に登場し、途中の章でもフューチャーされる、閉店する西武百貨店について。
隣の県に住む福井県民、特に嶺北地方の住民にとっては、福井にある唯一の百貨店(こちらも西武なのですが)が存続するかどうかが揺れている今(ニュースでは存続しそうな感じですが)、まさに他人事では無い話題として、可笑しく感じつつもチクチクするようなものを覚えたりもしました。
そんな中で、成瀬の親友、というかM-1にまで一緒に出る事になる相棒の島崎の、その存在の大きさに気付かされる最終章には、成瀬が今まで覚えなかった感情に揺らぐ様子、そして「それを口に出したら終わってしまいそう」と感じる姿に共感すると共に思わず涙。
そして、その後の展開には爆笑(笑)。
二人の絆が強さが確かめられた最終章は実に爽やかで、二人のこの先、そして天下を取った成瀬の物語も見たくなります!
