
- 著者:ジョン・ギルストラップ
- 『若き逃亡者』 (新潮文庫)
叔父により無理矢理入れられた少年拘置所で、身を守ろうとして悪逆な監督官を死なせてしまった12歳の少年ネイサンは拘置所を脱走するが、正当防衛とは思わない警察とマフィアが雇った殺し屋から追われるハメに。
ネイサンは忍び込んだ留守宅のラジオで自分が一方的に断罪されてるのを知り、自らトーク番組に電話をして真実を話す。
トーク・ジョッキーの"ザ・ビッチ"はネイサンの言葉に真実を感じとり擁護に回るが、ネイサンには着実に警察の包囲網と殺し屋が迫っていた・・・。
12歳の少年ネイサンが、大の大人達を相手に裏をかいて逃げ回る様子も面白いんですが、何よりも、誰一人と信じられない状況に陥った少年に対して同情しつつも応援したくなるような、子供でありながらも自らの矜持をしっかりと持つような〈男〉であるところにネイサンの魅力があります。
読んでいて誰からも凶悪犯として扱われるネイサンが可愛そうになってきますが、トーク・ジョッキーの"ザ・ビッチ"のようにネイサンを信じるようになってくれる人物の登場が救いですね。
そしてスピィーディーに且つスリリングに展開し、最後まで緊張感が持続する様子に夢中になり、最後まで一気に読ませます。
印象の残るのはネイサンが忍び込んだ留守宅で、家から去る時に掃除や洗濯を済ませて行く姿。
健気な少年に共感し、応援したくなる事請け合いのサスペンス小説です。