「ラーメンほど熱狂する信者のいる食べものはない。そのラーメンバカたちを魅了するには、作り手もそれ以上のラーメンバカじゃないといけない」
(富田治)
2018年はラーメンに関する映画が3本公開されますが、その中で唯一の「ドキュメンタリー」。縁あって映画試写会に伺う機会を得ました。企画・制作は映像制作会社の「ネツゲン」。同社代表の大島プロデューサーが指名した重乃康紀氏が監督を務め、一年以上、「中華蕎麦 とみ田@松戸」での撮影を敢行しましたが、狭いためにカメラマンしか入れず、監督は近くの店で時間を潰していたというエピソードも試写会では披露されました(笑)
(©ネツゲン)
93分の映画は主に三つのパートで構成されています。まずは、とみ田の一日に密着。朝から休みなく働く富田店主やスタッフの姿、朝から整理券を求めて、国境を越えて感動する食べ手の人たちを映しこんでいます。閉店後もひたすら店を磨き上げ、23時過ぎまで明かりの落ちない名店の姿が印象的です。
(©ネツゲン)
次のパートでは、「中華そば 井上@築地」「鯛塩そば 灯花@曙橋」「らぁめん 一福@初台」「中華そば 葉山@牛込柳町」「福寿@笹塚」の各店舗と、作り手たちの声を紹介。それぞれのラーメンに懸ける想いが感じられますが、撮影後に焼失してしまい休業中の「井上」の姿が残されているのは、哀しいながらもせめてもの慰めにも思えます。その後、日本のラーメンの歴史に関するトリビアがアニメーションで紹介されますが、この部分は事実関係の考証が雑というか、簡便に済ませすぎているのが残念な所です。時間の都合もあるかと思いますが、もう少し補足した方がいいのではと思う点もありました。
(©ネツゲン)
最後のパートの舞台はとみ田に戻り、「らぁ麺屋 飯田商店@湯河原」と「Japanese Soba Noodles 蔦@巣鴨」の店主と3人で、とみ田10周年記念の限定ラーメンに向き合う姿をまとめていました。徹夜組だけで200人が並んで打ち止めになった伝説の一杯ができるまでを紹介する中で、富田店主の家庭での様子が映っているのは貴重ですね。
(©ネツゲン)
プロデューサーはこの映画を「エンタメ・ドキュメンタリー」と呼んでいました。社会問題を問いかける作品が多い「ドキュメンタリー」とは異なり、楽しさを世界に伝えたいとの事。海外に広まりつつあるラーメンですが、やはり日本のブームは海外でも驚きをもって受け止められているようです。タイトルの「ヘッズ」とは、「マニアを越えた」という意味の英語のスラングとの事。食べ手の「ラーメンヘッズ」を念頭に置いた発言が、冒頭の引用部にあたります。
(©ネツゲン)
この映画は、日本のラーメンブームの一面を映しこみつつ、それはまだ一面でしかないかな、という気もします。とみ田をはじめとした「ラーメンヘッズ」達の仕事ぶりは、食べ手、作り手共に見てほしいと思いますが、まだまだ情熱溢れる作り手がいます。次回作を期待したい映画でもあります。
(©ネツゲン)
映画の公式サイトは「こちら」。映画は1/27(土)から、関東では「シネマート新宿」「シネルーブル池袋」「MOVIX亀有」「千葉劇場」、愛知「名演小劇場」「ユナイテッドシネマ豊橋18」、大分「別府ブルーバード劇場」で公開。2月以降も各地で公開予定です。
また、とみ田の公式サイトは「こちら」。改装の為にしばらく休業していた「中華蕎麦 とみ田」ですが、1月25日(木)から営業再開との事。ただし、映画公開初日の1/27(土)は、舞台挨拶の為に臨時休業との事です。
