「タジク族にはこんな言葉があります
『財産がなくても貧しいとは限らない
友達がいないのは間違いなく貧しい人だ』」
(下巻,p43)
実写映画が3月に公開されると聞いて、書棚の本を改めて読み直しました。2014年に講談社のサイトで公開され、2015年に単行本として発行。単行本のカバーを外すと、ウェブ公開時に寄せられた読者からのメッセージが並んでいます。
ストーリーは、ラーメン店「清蘭」の老店主「紅」と孫「茉莉絵」、その友人「コジマ」、料理評論家「赤星」の4人を中心に繰り広げられる。麺茹での腕が立った妻を失った紅、コジマに裏切られた茉莉絵は人生に絶望したが、すんでの所で引き戻される。赤星は新疆ウィグル自治区で遭難し、タジク族の遊牧民に見つけられて彼らと旅を共にする事になる。

病院で紅から与えられた清蘭のスープに感動した茉莉絵は、食に関する抜群なセンスを持つコジマと和解して2人で修業する事に。赤星はタジク族の人達から様々な事を教えられながら、日本への帰国を果たすが、「清蘭」への想いが耐え難く…。
これ以上の詳細は、漫画か映画で確認してもらえればと思いますが、茉莉絵とコジマの友情、赤星が抱いた不思議な気持ちが、ストーリーを貫いています。引用部は、日本留学経験を持つ遊牧民、カシムが赤星に語った一言。この作品が「友情」をテーマにしている事を象徴する一コマです。
![]() |
ラーメン食いてぇ!(上) (モーニングコミックス)
Amazon |
この単行本には、読み切り短編が収録されています。上巻には、エリートサラリーマンと息子の転変と関係の変化をまとめた「傘がない!!」、下巻には、宇宙人を目撃した若者が人生の目的に目覚める「宇宙人かよ!」。どちらも、突然の出来事から自分の人生を立て直していく人間讃歌として描かれていて、そのスタンスは、「ラーメン食いてぇ!」にも共通しています。
![]() |
ラーメン食いてぇ!(下) (イブニングKC)
Amazon |
「ラーメン食いてぇ!」の舞台「清蘭」にはモデルがあります。作者である林さんの父が、高崎市にあった人気店「清華軒」を経営していたそうで、ラーメンの作り方などはお父さんに取材したようです。「清蘭」の外観は明らかにそっくり(ちなみに、茉莉絵とコジマが走った駅は高崎駅ですね)。
ただ、ご主人は今は亡くなったそうで、「清華軒」も休業中。お弟子さんが独立していてそちらでも食べましたが、「清華軒」で塩ラーメンを食べてみたかったな、という気分にさせられるストーリーです。


