ラーメン才遊記のレビュー、第三回になります。

第1期:清流企画での活躍期(1巻~3巻)
第2期:ライバルと切磋琢磨期(4巻~7巻)
第3期:芹沢とゆとり、それぞれの決着(8巻~11巻)<今回>

 

 

「ラーメンって、今までのワクワクを集めるより、これからのワクワクを生み出すものなんじゃないでしょうかっ!?」
(第11巻,p150)

 第8巻では、「なでしこラーメン選手権」の二次予選が行われ、突如登場した「お色気要員」の西園寺由真が抜群の創作力を見せる。彼女と共に決勝進出を決めた汐見ゆとりは、Bブロックで優勝した石原麻琴、喜久沢友恵とも交友を進める一方で、母ようこの挑発で「優勝できなければ清流企画を退職して、母を継いで料理研究家になる」と宣言してしまう。ゆとりはそれを「けじめをつけたい」という気持ちの現れとも表現している。

 

 

 一方で、芹沢も一つのけじめをつける。「らあめん清流房」の「濃口らあめん」にそっくりのラーメン店が、突如全店舗の目の前に現れる。かつての部下だった男が、芹沢を潰すために攻撃的な出店を仕掛けてきたのだった。芹沢が本来提供したかった「淡口らあめん」に対しては、「発見伝」の最終巻で「淡口らあめん・極」を投げかけたが、「濃口らあめん」は牛脂を加えて鮎の煮干しが感じられないものの、売れているメニューという事で欠陥を抱えたままの状態だった。その弱点を突く形で現れた、かつての部下に対し、徹底的に鮎を強調した「濃口らあめん・解」をぶつけてはねのける。この部分のストーリーでは主人公のゆとりは大きな役目を果たさないが、「発見伝」の前日譚にあたる「スープが冷めた日」から芹沢に課せられていた宿命を解決させた出来事になった。

 

 

 そして、ゆとりは「なでしこラーメン選手権」で準優勝。優勝できなかったから料理研究家になれと迫る母と、優勝に値するラーメンを出せたから清流企画を辞めないと言うゆとりとの、親娘ゲンカが「ワクワク・ラーメン対決」というテーマで行われる。


 ここで、母のようこはラーメンの本質を「フェイク」という言葉で表す。手打ちではなく、製麺機で打たれた麺、化学調味料で旨みを増幅したスープ、背脂やニンニクで加えられたインパクトが、ラーメンという食べ物を「ワクワク」にさせているという解釈で。逆にゆとりは、これからのワクワクを提示した「水らーめん」を出し、審査員を驚かせて圧勝する。

 

 

 その結果に納得しないようこに対し、審査員達が「ワクワク」とは過去の定義ではなく、未来へのビジョンであると説くが、その本質が、麻琴から投げられた冒頭の引用文。ラーメンの魅力を80年代に解析した母に対し、「ゆとり世代」である若者が論破した形になっている。芹沢もそれを補足するが、最後にようこから「ラーメンの定義」を問われた芹沢が、「フェイク」の言葉を使って返した言葉がこれ。
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 最後は、ゆとりがラーメン好きになったきっかけのラーメン店に、芹沢を連れていく。そして芹沢は、その店を「本物のラーメン屋」と評する。「才遊記」のストーリーが生まれたのは、やはりここだったんだ…、という気持ちを抱いた、連載時の最終回を読んだ時の事を思い出しました。

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