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美味しんぼ (38) (ビッグコミックス)
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「栗田さんが言ったけれど、ラーメンは異常な食べ物なんだ。日本人の心をつかみ、感溺させてやまない。
それはラーメンが、我々日本人の過去を、語り掛けるからではないだろうか。」
「日本民族は、どこから渡ってきたのか。」
「一杯のラーメンが、語るのではないか。」
(p197)
このブログの「ブックレビュー」では、ラーメンに関わる漫画の話もしようと思ってます。
「グルメ漫画」を語る中で、「美味しんぼ」の存在は欠かせない。ラーメン店の中にも、この漫画を並べているお店が少なくない。この漫画は飲食店以外にも様々な影響を与えているが、今回はラーメンを語った第38巻「ラーメン戦争」についての話に絞ります。38巻は1993年に刊行され、連載時期は前年だったと思われます。
基本的には1~2話でストーリーが完結する「美味しんぼ」にあって、9話かけてこの巻全てを埋めている「ラーメン戦争」。基本的なストーリーは、売れないラーメン店「金銀亭」を立て直す中で、ライバルの屋台「流星一番軒」と対決していくというもので、映画「タンポポ」を思わせるシーンがいくつか出てくる。
そんな中で、ラーメンを「麺」「スープ」「具」に分けて語る為に登場するのが、それぞれのエキスパートの3人。「ラーメン三銃士」というネーミングがバズって、コラージュを作るための「ラーメン三銃士ジェネレータ」まで作られた(笑)。
それはともかく、麺では「かん水」の必要性を問い、スープでは「化学調味料」について問いかけを行っている。ただ、この2つの問いかけに対する答えは若干強引な感じを持つ。麺は登場人物の「好み」で「無かん水麺」になり、化学調味料では、ラーメン側の弁護が「日本の食物はほとんどが化学調味料まみれですよ」と、身もフタもない。(もっとも、美味しんぼにおける徹底的な「アンチ化学調味料」の姿勢は、その後のグルメブームを牽引する潤滑油になったともいえる)
「新横浜ラーメン博物館」が開館する前年でもあり、「ラーメン=東京風醤油ラーメン」という前提で語られている。もちろん、この漫画の舞台が東京である事もあるとは思うが、ご当地ラーメンという要素はここでは見当たらず、具を語る中でメンマは当然に採用され、チャーシューも「やっぱり煮豚」となっている。
勝負のカギを握るのは、グルタミン酸を含む「醤油」で、魚醤に対抗して長期天然熟成した大豆醤油で勝利をおさめているのも、「醤油ラーメンの勝負」という時代性によるものなのかもしれない。また、スープの味は中華風と和風でまたがるべきと定義し、ラーメンに洋風の上品さを求めた、最初の味は受け入れらなかった。これも時代の違いというか、ラーメンを食べる人全体のパイが小さければ、許容されるラーメンの幅も狭くなる、と考えられるだろう。
冒頭の引用部は、栗田が問いかけた「ラーメンって異常な食べ物だと思うの」に対する、山岡の答えである。一杯のラーメンにそこまで語らせるのは大げさかもしれないが、ここまで大上段に振りかぶったからこそ、美味しんぼの人気、ラーメンの人気が高まったとも思える。
さて、今回の話をする中で「化学調味料」が出てきましたが、化学調味料に関する検証としては、関西の賢兄であるひえたろうさんのブログが参考になります。
「化学調味料関係のとりあえずのメモ(その1)」
エントリは「その12」まで続く長文ですが、お時間がある時に是非読んでみてください。
