シャッターが完全に下がり、マルカンデパートの歴史は幕を閉じた。その瞬間、大学生たちから「このままじゃ終わらねぇぞ」「若い力を見せよう」との声が。ひとつの時代が終わり、新しい時代が始まった瞬間だった。
(p124)
「ラーメン本」という括りで語る事に少々の迷いはあったが、私の好きなラーメンが食べられる大食堂の、閉店と再生の記録をまとめた1冊。
岩手県花巻市で、2016年6月7日に閉店した「マルカンデパート」が、2017年2月20日に「マルカンビル」として再開業するまで、正確には、マルカンデパートの閉館が報じられた2016年3月からの、様々な人達の動きを追った記録になっている。地元の女子高生が署名活動に立ち上がり、ネットを活用したクラウドファンディングや、グッズ販売などの活動が行われました。
この本で一番強調されているのが、マルカン大食堂が花巻市民の間でいかに愛されているか、一方で「マルカン食堂がなくなったら花巻はどうなる」といった地元の切実感。花巻のランドマークであるとともに、市民が気軽に足を運ぶ場所になっていたからこそ、耐震工事を含めたリノベーションを行って、マルカン大食堂を復活させることができた。6階の大食堂をそのまま残しつつ、2階から5階のフロアについてはリノベーションを先送りし、目標である「大食堂の復活」を成し遂げたあたりの記述は、職業を問わず参考になるのではないだろうか。
クラウドファンディングにせよ、大規模なリノベーションにせよ、成功への秘訣は、いかにそれが愛されているかにかかっているのではないだろうか。それは、本書の随所に掲載された、写真に写った花巻の人々の笑顔で証明されている。地方創生や町おこしが強く語られる2017年だが、地元への愛着なしでは、どんな薔薇色の計画でもきっと動かない。
最後に、マルカン大食堂の話。私は2回訪問してますが、煮干がきいた東北の王道スタイルを感じる「中華そば」は、大食堂の中でもかなりの人気メニュー。あんかけを乗せた「マルカンラーメン」も、ピリ辛程度だが飽きない程度の味付けに野菜も色々入って美味しかった。
名物の「ソフトクリーム」は、十段確実に巻けるスタッフは2人だけという話や、トレイに中華そば5杯を乗せて運べるウェイトレスがいる、という話を本書で読んで、「そうだよなぁ。食堂にも職人技ってあるよなぁ」と思ったり。
…ああ、こんなこと書いてたら、またマルカン食堂に行きたくなってきた(笑)
ので、2010年に「マルカンデパート大食堂」を訪問した時の写真を貼っておきます。
十段巻きで知られる、箸で食べる「ソフトクリーム」
「中華そば」
同行者が食べた「カレーライス」



