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ラーメンの本
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味の評価は、結局人それぞれ、自分自身の舌で確かめて、身勝手な判定をくだすより手がない。だから、うまいラーメン屋についても、地方に行ってその土地の人に聞いてみると、聞く人ごとに評価が違ってくるし、つくり方についても、これまた、さまざまだ。それでいいのだと思う。だからこそ、ラーメンは誰にでも親しまれているたべものなのだ。
(p5)
ラーメン本のレビューをする際、「元祖ラーメン本」といえるこの本の紹介は欠かせない。1975(昭和50)年に出版したごま書房の新書「ゴマブックス」の一冊。現在は絶版で、Amazonだと高価な中古品が販売されているが、私は高輪台にある「味の素食の文化ライブラリー」で借りて読んでいます。なので、今月下旬まではこの図書館の書棚にはありません(笑)
著者の大門八郎氏は作家兼編集者。「食べ歩き評論家」を名乗り、食べ物関連の書籍を数冊上梓している。1973年に出版した「東京食べ歩き地図」で「東京ラーメン五傑」を選んだ映画監督の山本嘉次郎氏や、マルチタレントの元祖として知られる徳川無声氏に連れられて食べに行ったという記述もあり、永六輔氏がこの本に解説文を寄せている。余談だが、プロデューサーの「だいもんしゅんすけ」氏が彼の息子を名乗っているが、大門八郎氏は「だいもん」ではなく「おおかど」と読む。
この本は見開きの右側を「大日本ラーメン地図」として、全国109軒のラーメン店・中華料理店を文章だけで紹介。地図と店頭の様子もイラストで表現している。1975年という時代、一人の選者が選んだ事もあってか、地域の偏りは否めない。北海道が札幌・函館だけだったり、山形・広島・熊本から1軒も選ばれていないのは、情報がくまなく瞬時にやり取りされる現代の考えからは想像できない。
また、味は札幌では「味噌」、九州では「豚骨」がメインになっているが、やはり醤油味が基本。「丸長@目白」や「丸信@荻窪」も掲載されているが、つけそばについては全く言及されていないのは、つけ麺ブーム以前だった時代を感じさせる。
そして、見開きの左側には「おいしいラーメンの作り方」として、スープや麺のレシピ、様々なラーメンのバリエーションを紹介している。とはいえ「ご当地ラーメン」という言葉がなかった時代、ラーメンのバリエーションは中華料理のそれであり、具が入手できる店として、中華街の店を紹介しているのも時代を感じさせる。
40年前のラーメン情報を読んで想像力を広げるのもよいが、「まえがき」の引用部分を心して読みたい。評価も作り方も様々。だからこそラーメンが誰にでも親しまれてきた。流行のラーメンが、画像やレシピと共にあっという間に全国に拡散される現代、ラーメンが誰にでも親しまれる料理になっているか、改めて考えたい時代にきているのではないだろうか。

