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フードツーリズム論―食を活かした観光まちづくり
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フードツーリズムを活かした観光まちづくりにより、全国的な認知度と評価を得て、一定の期間持続的に、「地域の食」を目的とした入込観光客数を拡大、維持している地域を見ると、「まち」自体をひとつの商品として取り組みをした成果と思われるところが多い。
(p212)
「地域の食」を観光と結びつける「フードツーリズム」に関する論考の書。全国のラーメンを食べ歩きに出向く私も、「フードツーリズム」の関係者であることは間違いないので、図書館の書棚に手を伸ばしました。著者はJTBでの経験から販促、マーケティングの職を歴任し、大学で教鞭を取っている方。
前半は「フードツーリズム論」として、歴史的展開や現状や類型に関しての分析が行われている。日本では1964年の東京五輪と1970年の大阪万博から活発化した旅行のスタイルが、B級グルメが話題になった1990年ころから拡大していった流れが触れられている。
庶民のグルメツーリズムの対象としては「伝統郷土食」「現代郷土食」「発掘型B級グルメ」「開発型B級グルメ」の4つが紹介され、「B-1グランプリ」開始後に急増した「開発型」については、「多くの旅行者を呼ぶ、観光資源と呼ばれるようになるのは数が少ない」という指摘もされている。
後半は「フードツーリズムと観光街づくり」として、具体的なグルメ観光地を「Produce(食の資源)」「Place(場所)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」の観点で焦点を当てている。「庶民派グルメツーリズム」の例として「喜多方ラーメン」を取り上げている他、「庶民派」と「高級」の両者が対象になる「マルチグルメツーリズム」として、「札幌」「名古屋」の例が紹介されているが、前者ではメディア、後者ではブログなどインターネットでの発信が観光価値を高める「マーケター」の役割を果たしたとしている。
フードツーリズムが「観光まちづくり」に役立つきっかけになるとしつつも。過当競争や人材育成などに課題があるという問題点も指摘している。何よりも「食という観光資源」は「将来の価値が保証されるとは限らない資源であり、存続がかなり危うい脆弱な観光資源」という位置づけは重要である。ラーメンフリークが食べ歩くラーメン店の多くは個人店で、いつ閉店してしまうかも分からない。だからこそ行く機会も増えるのだが、この観光資源を次世代に渡していく努力が、これからの観光施策に求められていると考えられる。
