本棚を整理してたら絵ハガキのセットが出てきた。


何年か前に、父の絵が地元の大きな展覧会に入選して、絵を見に行ってみんなでうなぎを食べた。


おばぁは出かけるのを億劫がったけど、うちの両親がこんな機会はこれからどんどんなくなるからと半ば強引に連れ出して、みんなでうなぎを食べた。



絵を見た後、おばぁはちょっとしたお土産をダンスの先生に買った。おばぁが「あらぁ、これステキねぇ」と手にとってるものをわたしはてっきりおばぁが欲しいのかと思ったら、それはお土産だった。自分に対して欲のない人だった。買うのは他人にばかりで。


だから、わたしがおばぁにプレゼント🎁しようと思って手紙を書くのが好きなおばぁに絵ハガキをこっそり買った。後で渡すつもりだった。




すぐ渡せば良かった。

何かの折に…なんて小出しせずに、出し惜しみせずに渡せば良かった。そしたらおばぁからハガキを受け取った友達もハッピーになっただろうに。おばぁも友達も、わたしもハッピーになっただろうに。



どうせ出て行くときは、今まで得てきたほとんどのものを置いていくことになる。高価な毛皮のコートも真珠の指輪も、デイサービスにまで持って行ったダンスの写真でさえ置いてった。だったらすぐに渡せば良かった。




〝わたしはとても貴重な体験をしてる〟




うちのひとがそう言った。