ある夜、地域猫達のご飯の匂いに誘われて、おずおずと遠目に様子を伺いに来た茶トラ。
夜の暗がりの中、その毛色が黄金の燃える様な夕陽の色に見えて、オレンジと名付けご飯をあげる事にした。
後ろ脚がびっこ引いてる気がした。
程なくしてうちのちーちゃんが脱走し、
真冬の極寒の中、捜索と捕獲作業で一週間程費やした時、捕獲器を借りてるついでにあまり面識のないオレンジをTNRする事にした。
ちーちゃんの捕獲でヘトヘトだったけど、気合い入れて連チャンを試みた。
オレンジの脚のびっこは私の知らない仔猫の頃に交通事故とかで骨折し、自然に癒着したのではないかとの事。誰か助けてあげる人間が居なかったのが悔しい。
脱走ちーちゃんの捜査中に、通りの向こうの仮設倉庫の様な殺風景な場所、壁と壁の隙間でオレンジとおぼしき茶トラが寒さを凌いでいた。それが何ともうすら寂しい光景だったので、うちの側においでと願った。
時々、脱走したちーちゃんが隠れていた同じ場所に現れるようになったオレンジ。そこをねぐらにすれば、真冬でも意外と暖かくて、毎日最低限、お腹いっぱい食べさせてあげられるので引っ越して来て欲しかった。
オレンジと対面したであろう、ちーちゃんはキズひとつなく、オレンジにはうちの子を虐めないで居てくれて有難うという感謝の気持ちでいっぱいだった。
巨体のボス猫モチを追いかけて、モチの息子ヘミボンにマウント取ってた茶トラ。
びっこ引いて脚が悪いのに凶暴な印象だったけど、数カ月後にオレンジとは別の
茶トラが存在する事が判明した。別の茶トラを見たのはそれきりだった。
茶トラ=ヤバイ奴のイメージが刷り込まれていたのは私だけでは無く、地域猫達もオレンジをみると、誤解して場が騒然となる事もしばしば。
違うんや。誤解なんや。この茶トラは穏やかで優しい子なんや。
オレンジは地域猫達に威嚇されながらもめげずに、僕は喧嘩しませんアピールを粘り強く試み、キジボンと並んでご飯を食べる様になり、ヘミボンにも毛繕いして貰える様になり、ノリにも鼻挨拶して貰える様になった。
この夏はオレンジにとって
寂しくない良い夏だったのではないか。
冒頭の写真は数日前、昼間にオレンジと一緒に居た時のもの。耳掃除と汚れた毛を拭いてブラッシングして、固まった鼻くそをほじくり出してあげた。ちょっと迷惑がられた。友人に支援物資で貰った真っ赤なショールをかけて、カイロを挟んで暖かくなって来たら目を細め始めた。マタタビに反応したので、指先に粉末を付けてあげると3回程舐めてご機嫌そうな顔つきをしてくれた。
今日もオレンジは来なかった。
昨晩12:30頃、水飲み場で冷たい水に咳き込む様な鳴き声が聞こえ、外に出たけどオレンジは居なかった。少し、微かだけど風の中に死臭が混じって居た。
今日は北風が更に強めの臭いになって来た。猫の別離の挨拶の匂いだろうか。
不信心者だけど、いつもの儀式でマタタビ線香焚いてあげようか、明日オレンジの使ってた毛布類を片付けようとか、何かして気を紛らわそうとしている今日この頃。
パジャマのまま急いで外に出るも、オレンジが居ないのが悔しくて、このままジョギングに行ったろかとか本気で考えたりする。行動がおかしい。ジョグに行ったら行ったで道端にスズメちゃんが死んでたりしようもんなら踏んだり蹴ったりになるのでやめた。今年の春、実際にスズメちゃんを埋葬したが、オレンジの居ない今は懸命では無いと言い聞かせてサボる。
沈んだ気分で、今日の防犯カメラを確認する気も起こらず、見ても昨日と同じくオレンジは映って無いだろうし、これっぽっちも期待してないけど、虐待ジジィのチェックがてら見てみたら、痩せた猫がしゃがれ声で何度か鳴いてフレームアウトする動画が撮れてた。
オレンジ生きてるがな!
猫、強いがな!声も弱々しくは無い。寂しそうなのが切ない。
昨日の夜の動画だけど、会いに来てくれたんや。(※ 暗闇で黒猫達の個体の判別が付きます。密接に付き合ったオレンジを今は見間違える事は無いです。)
浮いたり沈んだりの気分で忙しいけど、チャリの荷台に登れなくても地面で休めるように、オレンジの匂いがするタオルとクッションを敷いておいた。もしすれ違いで会えなくても、私がオレンジを忘れてない事が伝わります様に。チャリの荷台も毛布完備。家の中にはケージ完備よ!いつでもOKよ〜!
で、他の地域猫がそこに座り込む気がしないでも無い。
明日オレンジが明るい昼間にでも現れます様に。神様有難う。もう少しの時間でも、オレンジにより良く生きる時間を下さい。
