城田憲子さんが出された本を、ぜひ皆さんに読んでいただきたいと思い、ご紹介させていただきます。(少しネタバレありますので、これから読もうと思っていて知りたくない方は、この記事、スキップしてください。)
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日本フィギュアスケート 金メダルへの挑戦
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今日、一気に読んでしまいました。長い歳月、日本のフィギュアスケートの発展に関わって来られた城田さんの胸の内が、率直に語られています。
城田さんが見つめてこられたのは、日本のフィギュアスケートの未来。その発展には世界でメダルを獲得できる選手を育てることが必要だったんですね。
この本は、そのために「この子は!」と思った選手をメダリストへと導いてきた過程、そこにおける城田さん御自身の葛藤や失敗、経験や成功の物語が詰まっています。
城田さん御自身が試行錯誤の連続で、反省と挑戦を繰り返しながら、荒川静香さんのトリノ五輪金メダルにたどり着かれたんですね。
話は御自身がスケートをされていた時代まで遡って始まります。「メダルなんて獲れるわけがない」と思い込んでいらしたのは、城田さん御自身でした。そこから現在に至る心境の変遷。
伊藤みどりさんから始まる才能あふれる選手たちの才能をどのように見出し、開花させていったか・・・。
失敗した経験は必ず次のメダリストを育てるときに活かされてきた・・・。そして荒川さんの金メダルへと繋がったのです。
本当に面白くて一気に読みました。
メディア対応についての話も興味深かったな。城田さんの経験の中でいろいろなノウハウが確立されてきているのだなと思いました。
アルベールビルでの伊藤みどりさんのお話も興味深かったです。あの時の取材の過熱ぶりもすごかったんですね。
公式練習を終える度に怒涛の取材を受け、コメントを求められ続け、伊藤さんがそうした中で段々言葉少なくなっていってしまい、力を発揮し切れなかった・・・。ここで城田さんは反省されます。
「もし私たちが、少しずつでも彼女をマスコミに慣れされる策をとっていたなら?(中略)むしろ記者たちを味方につけるぐらいのコミュニケーションが選手とのあいだではかられるような場を用意できていたなら?・・・もっと違うかたちでの展開が生まれていたかもしれない・・・」
その他にもいろいろ興味深いお話が満載だったのですが、城田さんは選手がメダルを獲るために必要なことすべて優先してこられ、そのためコーチを変更したり、半ば強引な決定もあったかもしれないけれど、すべてが結果に結びついてきたのですよね・・・。
強引と言っても・・・礼を尽くしたものだったのです。説得に時間をかけ、言葉を尽くし、コーチの元を去る選手の心の負担を軽減しようと努力をされていたのです。
メダルを獲るために必要なことを、あえて憎まれ役をかってでも選択してこられた。特にコーチの変更はお互いの感情的な部分の解決が難しいこともあったりしますから、そこでも心を配ってこられたんだなと・・・。
印象的だったのは、トリノで金メダルを獲り、優勝会見に向かう荒川さんに城田さんがかけた言葉です。
「タラソワだけでなく、長久保先生、キャラハンをはじめ、これまでにあなたを支えてくれた指導者の名前を全員挙げて、この人たちがいたから優勝できたということをしっかり伝えなさい。それが一番の恩返しだから。」と言って、城田さんは荒川さんに師事してきた歴代のコーチの名前を書いたメモをそっと渡されたそうです。
勝負前日、荒川さんがいない場所に衣装をスタッフに持ってきてもらい、願いを込めて金の糸をスカートの脇に縫ってもらったそうです。
出番を待つ荒川さんに城田さんがかけた言葉・・・。
「あなたのために滑ってね。私でもない。連盟でもない。日本のためでもない。あなたのためのオリンピックだから。」
村主章枝さんに関するところも心に響くものがありました。
「正直に言えば、私が村主にしてあげられたことはほとんどないと言わざるを得ません。」
「村主の人間性に甘えて、荒川に力を注いでいた連盟、つまりは私のやり方について村主がどう思っていたのか、本人に聞いてみたことはありません。」
城田さんによると、村主さんは「自分が、自分が」という選手たちが多い中で、「日本のフィギュアスケートのためになるなら」という大きな視点を常に持ってくれていた素晴らしい選手だったそうです。
村主さんにそんな思いを抱いていた城田さんはその後、思いもかけない事件に巻き込まれてしまいます。「日本スケート連盟に不透明支出があるのではないか」という朝日新聞の報道です。
この大騒動で城田さんは連盟を去ります。でもその後、連盟を通して「城田さんの力を借りたい」という要請をしてくれたのは、他でもないあの村主さんと織田君だったのですよね。このあたりは大きく報道されていましたから、まだ記憶に残っている方もいらっしゃると思いますが・・・。
「村主にしろ織田にしろ、私が強化部長をつとめていた時期に一番目をかけていた選手という訳ではありませんでした。むしろどちらかといえば、荒川や髙橋にあたったスポットライトの陰になってしまった部分があることは否めません。それなのに二人は私の力を信じ、必要だと言ってくれたのです。」
あの時、連盟には逮捕者も出ていますから、城田さんの身の潔白がどこまで世間に正確に伝わっているのか少し疑問なのですが、もしまだ誤解が続いている方がいらしたとしたら、この本を最後まで読んでいただきたいと思います。
城田さんの当時の状況がよくわかります。選手をメダリストに育てあげるために、これほどまでに身を粉にして働いてこられた方が、当時、連盟の理事という立場であっても、経理関係にまで気を配るキャパが御自身になかったであろうというのは容易に想像がつくと思います。
結局、城田さん御自身は潔白が証明され、逮捕も起訴もされませんでした。でも、連日メディアで騒がれ、中傷され、世間を騒がせた責任を取ろうと辞任された城田さんは、当時、どれほど深く傷ついたことでしょう。本当に想像を絶する出来事だったと思います。
こんな経験がおありだからこそ、城田さんには注目される選手たちの気持ちが痛いほどわかるに違いありません。
この本は最初と最後が結弦くんのお話です。初めて聞く内容もありました。ぜひ、皆さんに本を読んでいただきたいので、この部分には触れないでおこうと思います。
城田さんは今、この二十五年を経て連覇に挑む瞬間が訪れてくれたことに、この機会を手繰り寄せてくれたすべての選手たちと関係者に感謝の気持ちを抱かれているそうです。そして・・・
「この気持ちを抱かせてくれるに至った長い道のりこそが、羽生結弦の勝利を信じる心に繋がっています。」

横浜市広報課ツィッターより
私はピョンチャン五輪は努力が報われる大会になると思っています。なぜなら、結弦くんの努力も、城田さんの努力も、私利私欲のためのものではないからです。
結弦くんの姿に、多くのファンが自身の人生を重ね合わせて応援しています。それが重荷とならないように、結弦くんを守る力となるように、プラスの念を送り続けていきたいと思います。
すべてが結弦くんの努力が報われる方向へとつながっています。絶対にそれは揺るがないことです。結弦くんと城田さんはじめチームの皆さんの努力は、必ず報われます。
アマゾンでももちろんですが、こちらのリンクからも新潮社に感想を送ることが出来ます(↓)。
http://www.shinchosha.co.jp/book/351421/
本当にぜひ皆さん、読んでみてくださいね。
それから、バレリーナの寺田翠さんのツィートです(↓)
神です!前から凄いと思ってましたが世界選手権のフリーはあまりにも芸術的で愕然としました。今のところ人の演技を観て感動して泣けたのはパリオペのダンサーと羽生選手だけです笑とりあえず100文字じゃムリ笑! #peing #質問箱 https://t.co/ASYH9kS8EY pic.twitter.com/qdSm98dRCd
— 寺田翠 (@midoriktu) 2018年1月21日
