頂上 (5800mくらい)
バラフキャンプ(4673m)
ムエカキャンプ(3068m)
時間が刻々と過ぎていくのに、なんだかまだネバーエンディングジグザグの途中だ。
そしてこの登りで、はじめてストックを使った。 この砂地の登りは、ストックがないとかなりしんどい。
普段はストックは使わない私だが、この登りにストックは必須であった。
なんだかどんどん寒くなり、ペットボトルのポカリスエットもどんどん冷たくなる。飲むと、胃に冷たい液が入るのがなんとなくわかる気がする。
だがまだ凍らないので、今日は比較的寒くはない日なのではないか。
私はいつもこのような登りの日は、お菓子を食べまくるのであるが、なぜか今回はお菓子を食べる気力がなかった。
今回なんだかつらかったのは、登山中に栄養補給がきちんとできなかったからではないかと思う。
せっかく大量にチョコ、キャンディを持参したのに、1個も食べれなかった。
この延々と続くのぼりには、みんなやられていたらしい。
この登りの途中、なんで自分がこんなアフリカくんだりまで来て、こんな苦しい思いをしているのか、自分の行動が理解できなくなっていた。
何かの拷問のようであった。
けれどもここまで来たからには、やはり頂上に行きたいという気持ちだけが、体を動かした。
そして、キリマンジャロに行くと言いふらしてきた人たちの顔もなんとなく浮かんでくる。
なんだかまわりが明るくなってきた。
おお!夜明けが近い。
今まで暗闇を登ってきて、周りの暗闇に飽きてきていたので、この変化はうれしいと誰かが言っていた。
おまけになんだかむちゃくちゃきれいだ。
雲海の境目がうすら赤くなってきている。
周りがなんだか明るく判別できるような状態になったら、なぜかみんながヘッドライトを消してくれた。
これは何か一つの儀式か。とRちゃんが言っていた。
そして、エドワードがステラポイントまであと15分、頂上までは50分くらいと言った。
この時ばかりは、彼の言葉が神の言葉のように聞こえた。
眠さ、疲れ&わけわからない感じになり、記憶もところどころないが、この最後の砂地の登りで、Rちゃんがストックを1本貸してくれた。
わたしは、よっぽどひどい登り方をしていたのだろう。
なんだかジグザグ登りが終わっている!
おお!ここがステラポイントか!
空が真っ赤になり、近くにマウィンジーの山が見える。
そして頂上へと続く道も。
だが、頂上へ続く道は、今までのジグザグに比べるとそれほどきつくはなさそうだ。
だが、もうエネルギーのほとんどを使い果たしているので、この緩やかな道すらもなんだかきつい。
他のみんなが先に行ってしまったのに、それについていけずに、とろとろ歩いていた。
記憶がさだかではないのだが、誰かが背中を押したり、引っ張ってくれている。
おお、ありがとう。なんだかとてもありがたい。これはたぶんマイコではない方のポーターだったのだと思う。
そして、周りの景色が死ぬほどきれいなのに、カメラを取り出す気力もない。
たぶんこれを撮らなかったら一生後悔するだろう景色なのに、もういい、と思った。
とすると、エドワード登場である。わたしのザックからカメラを出してくれた。
けどシャッターを押す元気がない。
”エドワード、、お願いだからこの景色撮っといて。”
と彼にカメラを託して、歩くことに専念することにした。
頂上までの道は、ものすごい景色の連続であった。
まず朝日がこのうえなくすばらしい。そして、巨大な氷河たち。
いろんな国でいろんな氷河を見てきたが、実は氷河にはそれほど感動を覚えることはなかった。
だがしかし、ここの氷河はすごかった。こんな氷河は初めてみた。
歩いているときは、極度の疲労と眠さで、わけわからなくなっていたのであるが、朝日に輝く氷河が、この世のものと思えない神々しい美しさを放っていたのはなんとなく記憶に残っている。
こんなすごい景色の中にいながら、写真なんてどうでもいいと思ったのは、初めてだ。
”あの氷河は7年くらい前までは、この道ぐらいまであったんだ”
とかなり遠くの氷河を指差し、エドワードが言ってたような気がする。
そうか、どこでも変な気象で、氷河が後退しつつあるんだ。
それにしてもこのステラポイントから頂上までの道は、すばらしかった。ぜひこの時間に、元気のある状態で歩きたかった。
この時間帯の記憶は、本当に定かでないのだが、たぶん頂上への到着はわたしはかなり遅いほうだったと思う。
やはり記憶が定かでないが、やったー!とみんなでハグしたのをなんとなく覚えている。
そして、写真も撮った。
いろんなWEBサイトでみたウフルピークの写真だ。
これで、もう今日1日のエネルギーを使い果たしてしまった。
本日のエネルギーを使い果たしたにも関わらず、これからまずバラフに戻り、それからまた別のキャンプに行くのだ。
今思い返すとウフルピークからステラポイントまでの道のりの記憶がない・・・。わたしはどうやってステラポイントまで戻ったのだろう。
ステラポイントからは、登ってきた道とは別の下り専用の道を行く。
ジャスティンが、マイコに続け~と叫んでいたのをなんとなく覚えている。
この下りもかなり曲者だった。ものすごい砂地の下りだ。
それなのに、なんだかみんなものすごいスピードで下っていく。
取り残された私には、ジャスティンがついてくれた。
そしてしばらく下ってから、みんなで休憩をした。ポーターがジュースとお菓子をくれる。
なんだかこのマンゴージュースが本当においしかった。
それからまた砂地の下りになるのであるが、なんだかどうしてもみんなのスピードで下りることができない。
おまけに寝てないので、なんだかふらふらする。一歩間違えると、体ごと転がりそうなので、もういいやと思い、自分のペースで下りることにした。
そしてジャスティンは、私の後についてくれた。
せっかくなので、何か話しながらでも下りたいのに、話しかける元気も残っていなかった。
無言で、ひたすらこのひどい砂地をとろとろ滑り下りた。
日が昇ってきてからは、気温も上がり、なんだか暑い。まずマフラーをはずし、ダウンを脱いで、ザックはまだエドワードが持っていたので、自分の体に巻きつけたりしていた。
そして、下りている最中エドワードと会うと、脱いだジャケットとかをザックに入れろという。
なんて、気がつくのだろう。この人は。
帰りまでザックをもってもらい、それだけでもありがたいのに、脱いだジャケットまでも持っていただいてしまった。
そして、 私は人に荷物を持っていただき、空身のくせにとろとろと下っていった。このとろとろ下りに付き合ってくれるジャスティンにも申し訳ない。
しかし、下っても下ってもなんだか、ずっと砂地だ。
ジャスティンに、あとどれくらい時間がかかるか聞くと、2時間弱かなという。
ひー、まだ2時間も下らなくてはいけないのか。
しかし、よーく考えると約7時間かけて登ったところを下りるのだ。1時間程度で下りられるわけがない。
相変らずの砂地をずりずり滑っていく。
しばらく行くと平らな所にでた。なんだかポーターらしき人たちがわさわさいた。
なんとなく、荷物持ちを要求しているっぽい雰囲気だが、ジャスティンがしっかり守ってくれた。
こういうところを一人で歩いていたらどうなったんだろうと、考えるとちと怖い。
ジャスティンには、お迎えがきていたらしく、彼の荷物はお迎えポーターに渡された。そしてそのポーターについて、3人で私たちのキャンプまで戻った。
他の2人には本当に申し訳なかったのだが、もう何回も勝手な休憩をとり、とろとろとしか歩けなかった。
かすかな記憶の中に、何度も何度もジャスティンに
"No power left. I have used up today's energy ."
と言っていたような気がする。
そして、あのスパルタジャスティンが、
”君は今日はよくやった。バラフに戻って、少し休んで、ランチ食べたら大丈夫だ。回復するよ。”
とやさしく言ってくれた。
だがしかし、今の私はとてもそれだけでは回復しない。少なくとも10時間ぐらいの睡眠が必要だ。
バラフキャンプ内、私たちのテント近くに到着すると、コックのジャクソンが
”コングラチュレーション”
とオレンジジュースを持って迎えてくれた。
おお!
なんだかうれしい。
ジャクソンとも喜びのハグをして、冷たいオレンジジュースをかなりおいしくいただいた。
あのオレンジジュースはいったいどうやってあんなキンキンに冷えていたかいまだに疑問である。
そして、ランチタイムまで仮眠をして、ランチ後今日のキャンプ地ムエカに向かうぞと宣言された。
たしか私がテントに戻ってきたのは10;30ごろ、11:45からランチだった気がする。
テントに戻って、なんだか死んだように、ぶったおれて、爆睡した。
本当になんだかおかしくなりそうだった。なんだか、このサミットにいけた代償に、なにかがおかしくなるのではないかと思った。
そして、今日この後に、ムエカキャンプまで下る自信もなかった。
約1時間の仮眠からおきると、頭が割れるように痛い。まあこの高度で、起きたばかりなので仕方がない。
そして、テント内がめちゃくちゃ暑い。日がでてくるとこんなことになるんだ。
まずランチだが、ほとんど誰もまともにランチは食べれなかった。かろうじて、スープだけいただいた。
ふと気づいたのであるが、昨日の夜11時半から今まで、トイレにも言っていないし、ほどんど何も食べていなかった。自分の体の中の、水分、栄養分がすべて使われてしまった感じだ。
そして、私はまだパッキングもきちんとしていない。ここで最後の力を使ってはいけないのに、最後の力を振り絞って、パッキング作業をした。
いつもきちんと入る点とマットやシュラフが袋に収まらない。
もういいやと適当に収める。
いつも必ずつけていたザックカバーも見つからないので、もういいやとどうでもいい感じのパッキングとなる。
もうあと下山だけだし。なんとかなるだろうとなんだかすべてをいい加減な感じになった。
これから4時間の下りだという。
本当にこんな状態で歩けるのか。
けど歩かないと帰れない。
もしこれがジムなどであると疲れたからといって、途中でやめることができる。
しかしながら、山の中だとそうはいかないのだ。
相変らずほどんどの荷物をポーターに渡し、ムエカへ向けて出発だ。
みんなもかなりの疲労度らしい。
おまけになんだか、途中で吐き気がした。吐きそうになっていると、なんとKさんにもうつしてしまった。
ジャスティンが、何で今更、気持ち悪がっているんだと言っていた。
けどその後は、私はなんとか気力が戻り、ふらふらとジャスティン、Kさんの後をついていった。
エドワードは、なんだかバラフで、手続きをしているらしく、まだ来ない。あの人もそういう仕事をするんだとなんとなく思う。
この下りは道がそれほど広くないために、下る速度の圧倒的に速いポーターがくるとよける必要がある。
なんだか私たちがこのよける時間をジャンボタイム(ポーターたちにジャンボーというから)と言っているとエドワードもなんだか、ジャンボタイムと言って、ポーターが近づいてきたことを教えてくれる。
ムエカまでの道の途中で別のキャンプがあり、なんとそこではファンタが売っていた。
なんだか久しぶりに見た缶ジュースであった。 どうでもいい机の上に4,5缶だけ無造作に積まれていて、冷えていない缶ジュースを購入する意欲はそれほどわかなかった。
このキャンプがムエカまでのハーフウエイということ。はあ、またこの倍歩くのね。
そして、なんだか雨まで降ってきた。私は、ザックカバーがなかったので、ザックごと雨がっぱを着た。
もう見た目とかそんなことはどうでもよくなっている自分がいた。
よーく考えて見ると、実は私が一番足手まといだったかもしれない。山頂についたのも、山頂から下るのも私がびりだった。
ムエカに到着するといつも通り、ポーターが先に到着して、テントの準備をしてくれている。
ああ、今日でこのテントも最後か。となんだか感慨深くなる。
今日の私を一言で表現すると”ボロボロ”。自分を極限状態に追い込んだ。
けどこれは、自分一人の力ではできない。みんながいたから自分をここまで追い込むことができたのだ。
一人歩きでは達成できないことだ。
ディナーは確かこの日はジャスティンが来てくれたのではないか。
Yさんがみんなハッピーなのは、明日帰れるからだよねというと
”みんなが登頂したからだよ”
ということ。
うーん。そういうことにしておこう。
ありがとうジャスティン。
バラフキャンプ(4673m)
ムエカキャンプ(3068m)
時間が刻々と過ぎていくのに、なんだかまだネバーエンディングジグザグの途中だ。
そしてこの登りで、はじめてストックを使った。 この砂地の登りは、ストックがないとかなりしんどい。
普段はストックは使わない私だが、この登りにストックは必須であった。
なんだかどんどん寒くなり、ペットボトルのポカリスエットもどんどん冷たくなる。飲むと、胃に冷たい液が入るのがなんとなくわかる気がする。
だがまだ凍らないので、今日は比較的寒くはない日なのではないか。
私はいつもこのような登りの日は、お菓子を食べまくるのであるが、なぜか今回はお菓子を食べる気力がなかった。
今回なんだかつらかったのは、登山中に栄養補給がきちんとできなかったからではないかと思う。
せっかく大量にチョコ、キャンディを持参したのに、1個も食べれなかった。
この延々と続くのぼりには、みんなやられていたらしい。
この登りの途中、なんで自分がこんなアフリカくんだりまで来て、こんな苦しい思いをしているのか、自分の行動が理解できなくなっていた。
何かの拷問のようであった。
けれどもここまで来たからには、やはり頂上に行きたいという気持ちだけが、体を動かした。
そして、キリマンジャロに行くと言いふらしてきた人たちの顔もなんとなく浮かんでくる。
なんだかまわりが明るくなってきた。
おお!夜明けが近い。
今まで暗闇を登ってきて、周りの暗闇に飽きてきていたので、この変化はうれしいと誰かが言っていた。
おまけになんだかむちゃくちゃきれいだ。
雲海の境目がうすら赤くなってきている。
周りがなんだか明るく判別できるような状態になったら、なぜかみんながヘッドライトを消してくれた。
これは何か一つの儀式か。とRちゃんが言っていた。
そして、エドワードがステラポイントまであと15分、頂上までは50分くらいと言った。
この時ばかりは、彼の言葉が神の言葉のように聞こえた。
眠さ、疲れ&わけわからない感じになり、記憶もところどころないが、この最後の砂地の登りで、Rちゃんがストックを1本貸してくれた。
わたしは、よっぽどひどい登り方をしていたのだろう。
なんだかジグザグ登りが終わっている!
おお!ここがステラポイントか!
空が真っ赤になり、近くにマウィンジーの山が見える。
そして頂上へと続く道も。
だが、頂上へ続く道は、今までのジグザグに比べるとそれほどきつくはなさそうだ。
だが、もうエネルギーのほとんどを使い果たしているので、この緩やかな道すらもなんだかきつい。
他のみんなが先に行ってしまったのに、それについていけずに、とろとろ歩いていた。
記憶がさだかではないのだが、誰かが背中を押したり、引っ張ってくれている。
おお、ありがとう。なんだかとてもありがたい。これはたぶんマイコではない方のポーターだったのだと思う。
そして、周りの景色が死ぬほどきれいなのに、カメラを取り出す気力もない。
たぶんこれを撮らなかったら一生後悔するだろう景色なのに、もういい、と思った。
とすると、エドワード登場である。わたしのザックからカメラを出してくれた。
けどシャッターを押す元気がない。
”エドワード、、お願いだからこの景色撮っといて。”
と彼にカメラを託して、歩くことに専念することにした。
頂上までの道は、ものすごい景色の連続であった。
まず朝日がこのうえなくすばらしい。そして、巨大な氷河たち。
いろんな国でいろんな氷河を見てきたが、実は氷河にはそれほど感動を覚えることはなかった。
だがしかし、ここの氷河はすごかった。こんな氷河は初めてみた。
歩いているときは、極度の疲労と眠さで、わけわからなくなっていたのであるが、朝日に輝く氷河が、この世のものと思えない神々しい美しさを放っていたのはなんとなく記憶に残っている。
こんなすごい景色の中にいながら、写真なんてどうでもいいと思ったのは、初めてだ。
”あの氷河は7年くらい前までは、この道ぐらいまであったんだ”
とかなり遠くの氷河を指差し、エドワードが言ってたような気がする。
そうか、どこでも変な気象で、氷河が後退しつつあるんだ。
それにしてもこのステラポイントから頂上までの道は、すばらしかった。ぜひこの時間に、元気のある状態で歩きたかった。
この時間帯の記憶は、本当に定かでないのだが、たぶん頂上への到着はわたしはかなり遅いほうだったと思う。
やはり記憶が定かでないが、やったー!とみんなでハグしたのをなんとなく覚えている。
そして、写真も撮った。
いろんなWEBサイトでみたウフルピークの写真だ。
これで、もう今日1日のエネルギーを使い果たしてしまった。
本日のエネルギーを使い果たしたにも関わらず、これからまずバラフに戻り、それからまた別のキャンプに行くのだ。
今思い返すとウフルピークからステラポイントまでの道のりの記憶がない・・・。わたしはどうやってステラポイントまで戻ったのだろう。
ステラポイントからは、登ってきた道とは別の下り専用の道を行く。
ジャスティンが、マイコに続け~と叫んでいたのをなんとなく覚えている。
この下りもかなり曲者だった。ものすごい砂地の下りだ。
それなのに、なんだかみんなものすごいスピードで下っていく。
取り残された私には、ジャスティンがついてくれた。
そしてしばらく下ってから、みんなで休憩をした。ポーターがジュースとお菓子をくれる。
なんだかこのマンゴージュースが本当においしかった。
それからまた砂地の下りになるのであるが、なんだかどうしてもみんなのスピードで下りることができない。
おまけに寝てないので、なんだかふらふらする。一歩間違えると、体ごと転がりそうなので、もういいやと思い、自分のペースで下りることにした。
そしてジャスティンは、私の後についてくれた。
せっかくなので、何か話しながらでも下りたいのに、話しかける元気も残っていなかった。
無言で、ひたすらこのひどい砂地をとろとろ滑り下りた。
日が昇ってきてからは、気温も上がり、なんだか暑い。まずマフラーをはずし、ダウンを脱いで、ザックはまだエドワードが持っていたので、自分の体に巻きつけたりしていた。
そして、下りている最中エドワードと会うと、脱いだジャケットとかをザックに入れろという。
なんて、気がつくのだろう。この人は。
帰りまでザックをもってもらい、それだけでもありがたいのに、脱いだジャケットまでも持っていただいてしまった。
そして、 私は人に荷物を持っていただき、空身のくせにとろとろと下っていった。このとろとろ下りに付き合ってくれるジャスティンにも申し訳ない。
しかし、下っても下ってもなんだか、ずっと砂地だ。
ジャスティンに、あとどれくらい時間がかかるか聞くと、2時間弱かなという。
ひー、まだ2時間も下らなくてはいけないのか。
しかし、よーく考えると約7時間かけて登ったところを下りるのだ。1時間程度で下りられるわけがない。
相変らずの砂地をずりずり滑っていく。
しばらく行くと平らな所にでた。なんだかポーターらしき人たちがわさわさいた。
なんとなく、荷物持ちを要求しているっぽい雰囲気だが、ジャスティンがしっかり守ってくれた。
こういうところを一人で歩いていたらどうなったんだろうと、考えるとちと怖い。
ジャスティンには、お迎えがきていたらしく、彼の荷物はお迎えポーターに渡された。そしてそのポーターについて、3人で私たちのキャンプまで戻った。
他の2人には本当に申し訳なかったのだが、もう何回も勝手な休憩をとり、とろとろとしか歩けなかった。
かすかな記憶の中に、何度も何度もジャスティンに
"No power left. I have used up today's energy ."
と言っていたような気がする。
そして、あのスパルタジャスティンが、
”君は今日はよくやった。バラフに戻って、少し休んで、ランチ食べたら大丈夫だ。回復するよ。”
とやさしく言ってくれた。
だがしかし、今の私はとてもそれだけでは回復しない。少なくとも10時間ぐらいの睡眠が必要だ。
バラフキャンプ内、私たちのテント近くに到着すると、コックのジャクソンが
”コングラチュレーション”
とオレンジジュースを持って迎えてくれた。
おお!
なんだかうれしい。
ジャクソンとも喜びのハグをして、冷たいオレンジジュースをかなりおいしくいただいた。
あのオレンジジュースはいったいどうやってあんなキンキンに冷えていたかいまだに疑問である。
そして、ランチタイムまで仮眠をして、ランチ後今日のキャンプ地ムエカに向かうぞと宣言された。
たしか私がテントに戻ってきたのは10;30ごろ、11:45からランチだった気がする。
テントに戻って、なんだか死んだように、ぶったおれて、爆睡した。
本当になんだかおかしくなりそうだった。なんだか、このサミットにいけた代償に、なにかがおかしくなるのではないかと思った。
そして、今日この後に、ムエカキャンプまで下る自信もなかった。
約1時間の仮眠からおきると、頭が割れるように痛い。まあこの高度で、起きたばかりなので仕方がない。
そして、テント内がめちゃくちゃ暑い。日がでてくるとこんなことになるんだ。
まずランチだが、ほとんど誰もまともにランチは食べれなかった。かろうじて、スープだけいただいた。
ふと気づいたのであるが、昨日の夜11時半から今まで、トイレにも言っていないし、ほどんど何も食べていなかった。自分の体の中の、水分、栄養分がすべて使われてしまった感じだ。
そして、私はまだパッキングもきちんとしていない。ここで最後の力を使ってはいけないのに、最後の力を振り絞って、パッキング作業をした。
いつもきちんと入る点とマットやシュラフが袋に収まらない。
もういいやと適当に収める。
いつも必ずつけていたザックカバーも見つからないので、もういいやとどうでもいい感じのパッキングとなる。
もうあと下山だけだし。なんとかなるだろうとなんだかすべてをいい加減な感じになった。
これから4時間の下りだという。
本当にこんな状態で歩けるのか。
けど歩かないと帰れない。
もしこれがジムなどであると疲れたからといって、途中でやめることができる。
しかしながら、山の中だとそうはいかないのだ。
相変らずほどんどの荷物をポーターに渡し、ムエカへ向けて出発だ。
みんなもかなりの疲労度らしい。
おまけになんだか、途中で吐き気がした。吐きそうになっていると、なんとKさんにもうつしてしまった。
ジャスティンが、何で今更、気持ち悪がっているんだと言っていた。
けどその後は、私はなんとか気力が戻り、ふらふらとジャスティン、Kさんの後をついていった。
エドワードは、なんだかバラフで、手続きをしているらしく、まだ来ない。あの人もそういう仕事をするんだとなんとなく思う。
この下りは道がそれほど広くないために、下る速度の圧倒的に速いポーターがくるとよける必要がある。
なんだか私たちがこのよける時間をジャンボタイム(ポーターたちにジャンボーというから)と言っているとエドワードもなんだか、ジャンボタイムと言って、ポーターが近づいてきたことを教えてくれる。
ムエカまでの道の途中で別のキャンプがあり、なんとそこではファンタが売っていた。
なんだか久しぶりに見た缶ジュースであった。 どうでもいい机の上に4,5缶だけ無造作に積まれていて、冷えていない缶ジュースを購入する意欲はそれほどわかなかった。
このキャンプがムエカまでのハーフウエイということ。はあ、またこの倍歩くのね。
そして、なんだか雨まで降ってきた。私は、ザックカバーがなかったので、ザックごと雨がっぱを着た。
もう見た目とかそんなことはどうでもよくなっている自分がいた。
よーく考えて見ると、実は私が一番足手まといだったかもしれない。山頂についたのも、山頂から下るのも私がびりだった。
ムエカに到着するといつも通り、ポーターが先に到着して、テントの準備をしてくれている。
ああ、今日でこのテントも最後か。となんだか感慨深くなる。
今日の私を一言で表現すると”ボロボロ”。自分を極限状態に追い込んだ。
けどこれは、自分一人の力ではできない。みんながいたから自分をここまで追い込むことができたのだ。
一人歩きでは達成できないことだ。
ディナーは確かこの日はジャスティンが来てくれたのではないか。
Yさんがみんなハッピーなのは、明日帰れるからだよねというと
”みんなが登頂したからだよ”
ということ。
うーん。そういうことにしておこう。
ありがとうジャスティン。