🏠🏠☕🏠🏠🏠🏠🏠🏠🏠🏠

 

 

 

 

 

 

 

☕ ⑪入山新道の消えてしまった土蔵と古民家 

 

 

 

 

 

かつての羽生の中心街だった松原通りから路地に入ると、そこにも出桁造りなどの古い商家が残っていた

 

その路地をしばらくゆくと散策を開始した当初に通った「羽生中央公民館」のある十字路に出る。交差している道もかつては商店街で公民館の向かい側には戦前型看板建築がズラリと並んでいたが、取り壊されて現在は更地になっていた

 

公民館からプラザ通りに向かうと右側に2階の格子窓が美しい出桁造り商家があったが、残念ながらかなり魔改造されてしまっており、店舗だった1階の部分はサイディングボードの安っぽい外装にされてしまっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

魔改造されてしまった出桁造り商家の少し先にも同様の出桁造り商家があったが、こちらも現在は使用されていないようで、安直なアルミサッシに改装された雨戸がすべて閉まっていた

 

このように羽生の町には、まだ素晴らしい古民家が残っているが、賑やかだった商店街はバイパス沿いの大型商業施設に客を奪われ瀕死の状態に陥り、建物は次々と取り壊されて無残な更地ばかりが目立つ空虚な町並みに変わってしまった

 

 

そのような状況なのに、羽生パーキングエリアには、「鬼平犯科帳」の舞台を再現したというパチもんの江戸の町を造り観光スポットとして売りにしている

 

そんな紛い物ではなく、こちらには本物の古い町並みがあったというのに、保護することもせず次々と取り壊し町の荒廃化に拍車をかける……あまりにも愚劣な行為に開いた口が塞がらないとはこのことだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その先、プラザ通りとの交差点のすぐ手前にもう1棟の出桁造り商家があった

 

この通りにあった古民家は、いずれも“やらんでいい”改装を施されてしまっていたが、こちらの物件は簓子下見板張りの戸袋や、木製の雨戸、そしてチラリと見える窓の一部から旧態をよく保っていることがわかる

 

これぞ正しい日本の古民家といった矜持を感じるが、すべて閉ざされた雨戸から、廃業してしまっているのかGoogleマップには一切の記載がなかった

 

 

軒先を見るとクラシカルな板の看板が出ていたのでアップで撮影すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

冠に「ホワイト印💠イスパタ本舗」とあり、その下には「川島製菓原材料有限會社」「製造元 小出ジャム株式会社 特約店」といった文字が確認できるので、どうやらお菓子の原材料を商う問屋だったようだ

 

「川島製菓原材料」でググると大阪に有名な同名の製菓会社があるため、そちらの情報ばかりがヒットしてしまい、この会社の現状を知ることはできなかった。ちなみにAIの回答も大阪に有名な同名会社が云々で役に立たなかった

 

 

さらに調べてみると小出ジャムは2021年に登記を閉鎖していて現在は存在していないようだ。ホワイト印の後ろにある「イスパタ」とは、饅頭などを膨らませるアンモニア系の膨張剤のことであろう

 

果たして営業している姿が過去のストリートビューに残っているのかたしかめてみると……2015年には半分雨戸が開いた映像が、そして2012年のものに

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく雨戸が全部開いた場面を確認できた。このキャプチャ画像を見るとやはり小売店ではなく菓子材料の問屋といった雰囲気であった

 

ここで、みぽぽん(以下敬称略)が「おかしいなあ……たしかこのへんに酒蔵みたいな建物があったはずなんだけど」と、周囲をキョロキョロしている

 

 

 

しかし、そこにあるのはプレハブ小屋みたいな建物と斬新なデザインの建て売り住宅のような建物ばかりで、酒蔵らしき建物は何処にも存在していなかった

 

「どうやら取り壊されちゃったみたい」と、みぽぽんは気落ちしていた。僕も見てみたかったので、帰宅後過去のビューを見てみたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たしかに黒漆喰仕上げの大きな土蔵と細長い塀も兼ねた倉庫のような建物、その奥には明らかに戦前物件だとわかる二階建ての立派な建物が2棟並んでいた

 

しかし、酒蔵ならそう簡単には潰れたりしないと思うので怪訝に思ってもよく地図を見ると、こちらの建物群の続きの土地、プラザ通りと面している場所には「入山乾商店」というRC構造三階建ての大きな酒屋があった

 

 

こちらの「入山乾商店」はググっても地図情報しかなく、まったく正体不明であったが、羽生市のPDFデータにようやくヒントを発見した

 

それによると僕らが通って来た公民館の前の通りは「入山新道」といって、遥か昔の入山乾商店の主人が敷設したものと判明。そして「入山」は名字ではなく屋号で主人の名前が「乾さん」だったというわけだ

 

 

かつての建物の規模やこのヒントから類推できるのは、かつてこの地で造り酒屋を営んでいた乾氏が商売のため新しい道を通したということ。そしておそらく造り酒屋をやめて普通の販売店になった……

 

といったところだろうか。これ以上詳しいことは地元の図書館なり郷土資料館なりに行って史料を繙くしかないだろう

 

 

それにしても、取り壊してツマラナイ建物に建て替えてしまったのが惜しまれる

 

 

 

 

 

 

 

 

「入山乾商店」の前に喫煙所があったので、そこで一服したあと、さすがに歩き疲れたので喫茶店で休憩することにした

 

しかし、駅前広場からすぐの場所にあった以前みぽぽんが入った喫茶店は定休日だった。果たしてこの羽生に他に喫茶店などあるのか、脳裏に一抹の不安がよぎる

 

 

というのも、埼玉県の宿場町シリーズで訪れるような昔は栄えていたのに、今では場末の町には、ドトールやタリーズなどは望むべくもないからだ

 

そして不思議によく見るのが廃業したモンテヤマザキの店舗跡で、かつては埼玉県で勢力を誇っていたものと思われるが、桶川や東行田で見た店舗は文字通り店舗跡だったし、埼玉県に現存するのは幸手だけではないだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前大通りはプラザ通りと同様に、ほぼ無意味に終わった区画整理事業により無駄に広い道路にされてしまっており、古い建物などは上に掲載した写真の1棟しか見当たらなかった

 

 

町を発展させる皮算用で拡幅したはよいが、集まって来るはずの客はみんなバイパス沿いのイオンモールやカインズホーム、その他の大型量販店に行ってしまい、残されたのはせっかくの素晴らしい町並みを根こそぎ破壊して造った日本全国どこにでもありそうなツマラナイ町並みと空虚な広い道……

 

なんという愚劣な行為だろうか

 

 

などと、ほとんど車も通らず通行人の姿のない空虚な道を見ながら虚しい憤りを感じていると

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前から徒歩2分ばかりの場所に「コーヒ TIME」という、ありがちな屋号の昭和な雰囲気の喫茶店を発見したので、入ることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとこれが大当たり。店内の雰囲気も見事に昭和のまま止まっており、フードメニューも充実した昔ながらの喫茶店であった

 

僕はこのあと夕食を摂る予定なのでチーズケーキとコーヒーを注文する

 

 

これで羽生の町並みの特徴的な箇所は、ほとんど見終わったものと判断し散策を終了しようかと考えていたら、みぽぽんから思わぬ提案があり散策は意外な方向に転がり出し、予期せぬ素晴らしい物件に導かれることになる

 

ーーなどとは、このときの僕は思ってもみなかったのである

 

 

 

その意外な方向とは……続く

 

 

 

 

 

 

 

†PIAS†

 

 

 

 

 

 

 

🏠🏠🏠🏠🏠🏠🏠🏠☕🏠🏠