最近以前にも増して活字中毒の病状が悪化している。以前は集中できないという理由で、電車移動の場合、長距離でもないかぎり本は読まないようにしていたのだが、今は気づくと本を開いている。





これは間違いなくブログをはじめたのが大きな原因だ。読書関係のグルっぽなどで知った、いろいろな方のブログを読むと、今まで自分とは縁のなかったジャンルの作家に興味が湧いて、1冊読んでおもしろかったらもう大変。

その作家の本が次々と増えていってしまうのだ。この作家もブロ友さんの影響で読みはじめた作家だ。







* 有川浩


「三匹のおっさん」





有川浩は、最初に読んだ「阪急電車」の印象がよく、気になる作家の一人だ。代表作のひとつ「図書館戦争」シリーズはまだ揃えていないので積ん読に待機したままだが、これは単発だしテーマが好みなので、購入してすぐに読みはじめた。



この小説を、まあ一言で言ってしまえば、大の有川ファンである解説(というかラジオ番組の起こし)の故・児玉清氏が書かれているように「三匹の侍」の現代版・爺いバージョンといったところだろうか……

還暦を迎えて閑職について暇をもてあましている、元悪ガキの剣道家のキヨ、居酒屋のオヤジ、柔道家のシゲ、三人のブレーン的な存在、メカに強いノリの三人が、町内で起こる事件を解決する、痛快爺い活劇。



まさにテレ朝でやっていた、痛快時代劇みたいなストーリー。違いは高橋英樹のような色男ではなく、あくまでもヒーローは爺いで、旅烏が悪代官を懲らしめるのではなく、痴漢や詐欺、学校内のイタズラなど、何処にでも起こりうる事件に立ち向かうことだろう。



そして最初はギクシャクした仲のシゲの孫・祐希との関わりが、段々歩み寄っていったり、祐希とノリの娘の恋愛などを絡めて、話は小気味よく展開する。これを読むと有川浩は上手いなあと、つくづく感じる。



気楽に読めて尚且つ軽くならない、なかなかの佳作だと思う。表紙と挿し絵の須藤真澄のイラストもイメージぴったり。

あまりにビジュアルにしやすい内容なので、そのうち日テレあたりがドラマ化しそうな話だ。







さて、次に紹介するのは……


どの書店でも平積みになっていたので、以前から気になっていたのだが、ブックオフに入荷していたので購入した……





* 山口幸三郎


「探偵・日暮旅人の探し物」



この名前“ひぐれたびびと”ではなく“ひぐらしたびと”と読ませる。旅人は、探偵といっても、いわゆる名推理を働かせるわけではない。ましてや、汚れた街の底を這いずり回る、ハードボイルドなタフガイでもない。この小説は、基本的にはハートフルな日常の謎解き系の内容だ。



旅人は、失せ物専門の探偵だ。そして失せ物を探す方法は、類い稀なる洞察力や推理力ではなく、旅人に備わっている特殊な能力を使う。といっても、それは超能力ではない(一種の超能力と言えないこともないが)。

旅人は五感のうち、視力以外を持っていない。その代わり音や匂い、味や感触、温度、重さ、痛み、など普通は目に見えない物を視ることが出来るのだ。





プロローグの一篇のあと、物語は保育士の山川陽子が、保護者の迎えが遅れた人形のように美しいが、こまっしゃくれた園児・百白灯衣(ももしろてい)を自宅まで送るところから始まる。

灯衣の自宅は、水商売の店が立ち並ぶ治安の悪い場所にあった。そして灯衣の父親が何故か名字の違う日暮旅人だった。



いくつかの探し物を通じて、陽子は次第に旅人に興味を引かれていくが、旅人には何かしら秘密めいた物が感じられ……

この旅人の秘密は、この作品の最後でようやく何かあると匂わせるだけで、まだ全貌を明らかにしていない。シリーズはまだ続いているので、読み進むうちに明らかになっていくのだろう。



あらすじも知らず(いわゆるジヤケ買い)、ほとんど期待しないで買っただけに、個人的にはかなり「当たり」の小説だった。しかも、こうあからさまに次に引かれると、つい次巻も読みたくなってしまう。

何か術中に嵌まったみたいで釈然としないが、仕方ないのでいずれ次の巻も購入予定に入れておこう。







と、またしても長文になってしまったので、今回はここまで。



━━と、ここで[積ん読本殲滅計畫]恒例の、古書自慢コーナーを無理矢理お届けします。まあ、興味ない方はスルーの方向で……



僕は雑誌が大好きで、中でもファッション誌は大好物。かつては、毎月何誌も購入していた。それは男性誌に限らず、女性誌もその例外ではない。

今はたまに「壮苑」と「2nd」(スナップに出たことあり。当然顔出し)を買うぐらいで、すっかり興味をなくしてしまったが、かつてほとんど毎号買っていた雑誌があった……



いつもならカビ臭い、業界用語で言ういわゆる“黒っぽい本”を紹介するのだが、今回は、その買っていたカラフルで華やかな雑誌を紹介しよう。







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ティーン向けのファッション誌「OLIVE」だ。オリーブは10年ほど前まで発行されていた、マガジンハウス社の女性誌だ。

オリーブは、ポパイの初の女性向け企画ではじまった(左側上)。その後、ポパイ増刊号オリーブという雑誌が出て、やがて独立した雑誌、オリーブとして創刊された。





オリーブの初期のころは、「ポパイを読む層の彼女が読む」という年齢設定(女子大生~OL)だったが、それだと同社が発行する「an・an」とかぶるためか、途中で年齢層を下げ、尚且つありがちなティーン誌とは違った路線を打ち出した。







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女性誌のテーマのひとつとして、異性にモテるという要素が占める割合は低くない(男性誌もだが)。ところが、オリーブの新しいところは、異性にモテるという要素はスルーして、女の子が本当に好きなテーマだけを女性視点で追求したところにある。



雑貨屋さん、パリのリセエンヌ、古着など、そこからは異性にモテたいという、今までのメインテーマだった部分が見事に排除されている。

少し前に“森ガール”や“ゆるふわ”といった、やはりモテ要素を排除した、女の子が自分が好きな物だけを追求するという流行があったが、それと同じようなオリーブのやり方は、当時はとても新鮮だった。







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女性誌というものは、やはりどうしても新製品カタログになりがちだ。今、本屋に並んでいる多くの雑誌を開けば、それは明らかであろう。ところがオリーブは、カタログとしての機能よりも、オリーブという、ひとつの世界観を作りあげることを優先していた。

中でも仲世朝子の絵本のようなかわいいイラストと、スタイルの参考にするというよりも、写真集を眺めるようなドラマチックな気分になる、近田まり子のスタイリングのページは、女性誌としては画期的だったと思う。



創刊号は1982年。現役では間に合わなかったので、最初の写真の初期の5冊は、古本屋を回って揃えたほどオリーブという雑誌が好きだった(今買うと結構高い)。だからこうして今でも捨てられず大切に保管している。



今でもオリーブを懐かしむファンは、業界を含めてたくさんいるので、いつかまた復活してくれたら嬉しいな。





†PIAS†