少し前に、子どもの発達段階に焦点を当てて記事を書きました![]()
この記事を書いていて、そういえば動物のなかでなぜ人間だけこんなに成長に時間がかかるんだっけ?と、ふと思いました。もともと知っていたこともありますが、新たに少し調べ考えました。今日はこの問いに自答してみます。ちょっと堅苦しい内容ですが、よろしければおつき合い下さい![]()

人間は他の動物と比べて成長が著しく遅いです。多くの哺乳類が生後まもなく歩き数年で自立するのに対し、人間は成熟までに約二十年もの長い年月を要します。このことは無防備な期間が長く、一見すると生存に不利にも思えます。しかし生物というのは進化の過程で有利な「選択」をしますから、もちろんメリットがあってのことです。では、どんなメリットがあるのでしょうか?
まず、人間は巨大化した脳を持つ一方、二足歩行によって骨盤が小さくなったたため、完全に発達した脳をもつ胎児を出産することが困難となりました。そこで脳が未成熟な段階で出生する戦略をとったと言われています(産科的ジレンマ)。
しかし、未成熟で生まれることは脳の可塑性(柔軟に回路を形成できる性質)を最大化するという利点ももたらしました。この特性により、人間は言語や社会規範、技術、価値観といった複雑な文化を後天的に習得できるようになりました。つまり、人間は本能への依存を減らし、学習と文化によって環境に適応する戦略を選んだのです。
無防備な子どもを育てるには親だけでなく集団の協力が不可欠であり、その過程で共感や役割分担、長期的関係の維持といった能力が発達したとも言われています。祖母世代が育児を支援することで集団全体の生存率が高まったとする説もあります(おばあちゃん仮説)。
こう見てくると、人間の成長の遅さは弱さではなく、むしろ人類の文明を可能にした進化的選択だったと言えるでしょう。早熟ならよいというものでもないわけです。
中学受験段階ではどうしても早熟が有利、晩熟が不利という側面がありますが、あくまで途中経過です。人生、先は長いですから、とにかく嫌になってしまわないように、機が熟してから本人が自分なりに頑張れるように。それが中学受験なんてまだ頭の片隅にもなかった頃からの私の教育に関する大局観です![]()
人間の脳の可塑性(脳の再配線)は一生続くというのが現在の神経科学のコンセンサスです。私もまだまだ学び続けます![]()
Mr.Children / 進化論
空を飛び海を渡り 僕らの夢はまだ膨らむ
誰も傷つけない優しい夢を 素敵な夢を 君に引き継げるかな?


