突然の成り行きで、大型二輪免許を取りました。
ことの始まりは、7月の初め。
夫が突然、「バイクの免許を取ることにした」と言い出した。
中型から取って、大型まで取る、と。
……え?バイク?
21年一緒にいて、彼の口から初めて聞いた単語。
超びっくり。どういう風の吹き回し!?
「へぇぇぇ」と相づちを打ちながらも、私の頭の中は「なぜ」「どうして」でいっぱい。
思い当たるのは、数ヶ月前に受けた視力回復の手術。
保険の効かない、ドイツの高いレンズだか、なんだかを入れたらしく、その後は何もかもがキラキラと見えるらしい。
──それでか?
世界が美しくて、突然バイクに乗りたくなったのか?
さらに少し前、後輩を訪ねたら、ガレージが建っていて、バイクが2台並んでいるのを見たそう。
「それが、バイクに全然乗りそうにない奴なんだよ」と。
その後輩は、友人たち(全員50代)との飲み会で
「みんなで免許取ってツーリング行こうぜ!」と盛り上がり、結局その人だけが本当に教習所へ。
そこから夢中になったらしい。
……へぇぇ。
でも、動機としては弱い。
太陽も月も牡牛座の夫。牛みたいに、なかなか立ち上がらない人なのに。
「まあ別に、そいつに憧れたわけでもないんだけど」
聞いていると、やたら繰り返される言葉。
「お前も大型取ればいいじゃん」
「そういやお前も中免持ってるし」
…もしかして、
「さきこと一緒に乗りたい」のだろうか?
聞いてみても「いや別に」「そういうわけじゃない」と返ってくる。
私は20年以上バイクに乗っていないし、あまりにも突然過ぎてなかなか現実的になれず
「いや〜…たとえ乗るとしても、中型で十分です」
とかわしていた。
しかし、何度も何度も誘ってくる。
「乗らなくても、免許だけ持ってたらいいじゃん」
「俺が中型を取ったタイミングで、一緒に大型取りに行けばいいじゃん」
私は勝手に確信しました。
──これは絶対「さきこと走りたい」やつだ。
「でも!乗るとしても!中型で十分です!」
頑なに渋っていたのに、夫の教習が進むにつれて、記憶の蓋はどんどん開かれていった。
私の中から、出てくる、出てくる。
バイクの名前、パーツの言葉、エンジンの振動、マフラーの音、単気筒の排気ガスのいい匂い。東京のビルの夜景、東北の国道沿いの景色、北海道の畑の匂い……。
泉のように、キラキラキラキラ溢れてくる。
こういうカスタムがかっこよかった、
ああいうバイクに乗りたかった、
こういうのが流行ってた、
「私、めっちゃ喋るじゃん」
自分でちょっと引く。
もし、大型を取ったなら、このバイクに乗ってみたい。
そんな大型バイクの候補が、当時あったなぁ。
7月末、夫は中型免許を無事に取得。
「お前は中型免許を持っているから、大型免許は最短13時間で取得できる!」
「たった1週間行けばいいんだ!」
「パリ行く前には取れるから大丈夫!」
そう言いながら、大型のスケジュールを全部一緒に組み、なんと代理で入校手続きまで済ませてくれていた。笑
確かに、夫と完全に同じスケジュールで教習に通えるなんて、またとない機会。
(すぐに私は“乗り越し”でズレましたが😂)
予約やら何やら、面倒なことは全部やってくれそうだし、自分ひとりで大型を取りに行くなんて、絶対にない。
そんな気合も、エネルギーも、この先2度と湧かないだろう。こんなに成り行きで行けることなんて、2度とないだろう。
……というわけで、私は「臨時収入!」と「愛されてる!」にカウントし、連れられるがままに教習開始。
最新の教習車は足がつかず😂私の相棒は古いCB750
たまに黒煙も上がります
ちょうど車の免許更新も迫っていた。
どうせ大型取るなら、免許新しくなるから、面倒な更新しなくて済むかも?♡
そんな算段もあったし、(結局ギリギリで怖くなって更新し、たった3日後にまた書き換え、というダブル免許センター😂)
開講中の「幸せ撒き散らし系ビジネス講座」で伝えていた「私は実である」という言葉も背中を押した。
──バイクも、私の実。
すっかり抜け落ちていたものを拾えた気持ちだったのです。
とはいえ、実際にバイクを運転するのは20年ぶり。
仕事に加えて、小学生チームの夏休み、大学生チームの帰省(長女の彼氏付き)、お盆、Paris読書会、帰国後の手帳セミナー…
生理も2回きた。(ちなみに布ナプキンでバイク教習も全然大丈夫です♡笑)
そして灼熱の真夏。
途中でさっさと夫は卒業してしまい、結局一人で通いながら🤣
「なんで私、忙しい時なのに、こんなに転びながら、日焼けしながら、死にそうになりながら、ドSみたいなことやってるんだろう」
何度もそう思った。
一段階は大幅に8時間も乗り越して、夫より1ヶ月も遅れたけど、何度も転んでコツを思い出したおかげで2段階はスムーズに♡
卒検も一発合格!
昨日、免許証も交付されました!
編集担当の清水さんに「そんなにバイク好きだったんだね!」と言われたとき。
──好き?
いや、好きってわけじゃないんですけど……
でも、昔よく乗ってました。楽しいんですよね、気持ちいいし。
でも、好きってわけじゃないんですけど。
そんなふうに、わざわざ言い訳している自分に気づいた。
「好き」と言った瞬間に、責任を取らなきゃいけない。
「好きならできますよね?」と、能力や自立がセットで求められる感覚。
バイクなら、
「好きなら女一人でもガツガツ取り回せなきゃいけない」
「好きなら調整できなきゃいけない」
「好きなら技術も高いですよね?」
──女でも一人でできますよね?
これは「好きで産んだんでしょ?」と突きつけられる自己責任の圧と、どこか似ている。
昔バイクに乗っていた頃、確かに私自身も「ちゃんとできるようにならなくては」と思っていた。
女性は結構「乗るからには一人で頑張らなくては」「男顔負け」くらいになるのがカッコよさであり、正解、と思ってる人も多い。だから少しでもフラつくと「体格に合ったバイクにしなさい」「女がなぜバイクに乗るのか」と負けじとマウントを取ってくる男性も多い。
当時一緒にいた彼はHONDAのバイク屋で働いていて、今思えば、なんでもやってくれていた。
でも私はずっと、一人で完璧にできるようにならなくてはと思い込んでいた。
だから、あんなに楽しくて乗っていたのに、いつも張り合っていた。笑 そしてその彼と別れてから、バイクに乗るのをやめたのだった。
私は昔から、楽しむこと、感じることしかできなかったくせに。
この成り行き任せを許す感覚。
それが、実は心地よかったりもする。
「好き」に責任を背負わせなくてもいい。重くしなくていい。
とりあえず、「いい感じ」と思ったら、やってみたらいい。
これは結局、いつも私がパートナーシップや恋愛、ビジネスの悩みに答えていることと同じだった。
私は人生においてそれをとことん許してきた。
バイクも、そう言っていいことにしよう。免許はちゃんとあるんだし、その上で、頼れる相手がいることを、感謝して受け取ろう。
バイクも人生も、転んだら誰かに起こしてもらえばいい😂
感謝して、頼って。
人の力をありがたく「臨時収入🙏」で受け取って。
また、もっと軽く楽しめそうな気がする。
夫、成り行きで誘ってくれてありがとう🙏
あなたとは、出会った時からそんな感じ😆
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(手帳の4月のコラムにも書いています)
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