この話は、アホな女が「フランス」から「日本」へ帰国するはずだったのに、なぜか「中国」に入国していた物語 vol.2
 

少し時間が空いてしまったのですが、最後までアップしますね!

 

 

<第2部>


荷物を預け、いつもと違うターミナルを歩くと、予想以上に広い上、あちらこちらから誘惑してくる小さなエッフェル塔たち。

なぜか、いまだエッフェル塔を見ると欲しくなる。


お土産に買うか買うまいか散々悩んだ挙句、結局いつものように買わずに搭乗口へ。

 

 


 

10時50分発ヘルシンキ行き。
9時半を少し過ぎた頃、「あの、先ほど声をかけてくださった方ですよね?」と、突然声をかけられた。


「あっ、先ほどの……。
スムーズにチェックインされましたか?」


そう答えたところ、


「先ほどはありがとうございました。
ところで、メールは見られましたか?
大変なことになってるんです」


「メール??」
そういえば、気持ちのいい朝を優雅に過ごしていて、メールさえ見ていなかったことに気づく。

 


「見てください!
ヘルシンキー関空間がキャンセルになってるんです!」


彼女はスマホを差し出してきた。


「えっ!?ほんとだ!!」
まさか、私だけキャンセルじゃないなんて、あり得ないよね……。

 


「しかも、これを見てください。
私と息子、全く違うチケットになっているんです!」
母親はヘルシンキで1泊し、翌日のフライト。しかし!!息子さんのフライトを見てみると。


「Zhengzhou?どこだ?
Incheon?ソウル??Kansai……?
こ、これは、ひどい!」


そう言いながら、私も自分のスマホに目を落とす。


「あれ?もしかして、私も!?
Zhengzhon?中国……?」


すると、すぐ傍に座っていた日本人女性のうめき声が……。


「えっ!!ちょっと待って!
私、有給5日しかないのに。
1泊ヘルシンキ?あり得ない!!」


ショートのフランス女性は、
ざわざわとする声をかき消すかのように、顔を真っ赤にして立ち上がった。


「みなさん、ちょっと、落ち着いて。
今から文句を言いに行きましょう!」


優雅な朝は、一気に慌ただしくなり、
グランドスタッフに状況を説明してみるも、

 

「あぁ、KANSAIね」
温度を感じることのない能面のような表情を隠そうともせず、カタカタ、カタカタと、最もらしく、フライトスケジュールを見る(ふり)。

 


「メール見たら?
指示が書いてるでしょ?
ここでは、何にも言えないわ」

 


次から次へと集まる
怒りに満ちた人々を面倒くさそうに眺め、予想どおり、なんの解決策も与えることもなく、ヘルシンキへの搭乗が始まった。


「とりあえず、ヘルシンキで聞いてみて」
この時点で、2つしか選択肢はない。


「ヘルシンキ1泊、次の日同じ時刻の便。
もう1つは……、」


誰がどう見ても、ロストバゲージが
容易に想像できる、複雑怪奇なフライト。


【パリ⇒中国⇒韓国⇒関空】
 

はーん、これは絶対誰もこのルートは取らないな。
なめてるとしか思えない。


「絶対、空港でおちあってくださいね。
私たちのこと待っててくださいね」
不安そうに私のことを見上げる母と息子さんの姿に、


『そりゃあ、誰かにすがりたくもなるわね。』
 

心から気の毒に思い、2人が一緒の飛行機に乗れるよう交渉する約束をした。


シートに座ると、隣から、
「日本人の方ですか?私も関空なんです。」


悲愴な声が聞こえてきた。


落ち着いて辺りを眺めると、周りには不安そうな日本女性の顔がいくつも揺れている。


「絶対、ヘルシンキ1泊しかないな……」
ため息とともに、持ちあげたカップの中の液体が、悲鳴をあげるように、喉の奥へ流れていく。


「ヘルシンキか~。
時間的に余裕があるし、
1泊して街に出ても楽しいかな。


だけど、
中国、中国かぁ……。


この先、一生行かないだろうなぁ。


なんか拉〇されるかも。
ご飯食べたら危ないかも。
罵詈雑言を言われるかも。
でも、ちょっとだけ、興味あるなぁ……。


それにしても、1人旅って、
女性ばっかりだよなぁ……。
まぁ、1人ならなんとでもなるし。」


「中国、中国、パンダ、パンダ(私にとって中国といえば、パンダ)」と、意味のない呪文を繰り返し、甘ったるい濃紫の液体を飲み干し(ブルーベリージュース)、意識を手放していた。