Dさんの母上は、とある病気で長らく入院されている。
コロナ禍には面会制限があり
父上もDさんもなかなかお見舞いに行けずにいた。
ひとりぼっちの病室でテレビも新聞も見ることが出来ない母上は
さぞ心細かったであろうと思う。
急に愛する人たちが、お見舞いに来なくなったのだから…
当時は病状も良くなかったと聞いた。
しかしコロナの面会制限が解除になり
父上は毎週、バスに乗ってお見舞いに通った。
都合がつけばDさんも一緒に母上に会いに行った。
すると、一時は呼吸の状態も悪く
父上のこともDさんの事も分からなくなっていた母上の顔色が徐々に良くなり
時々、笑顔を見せてくれるようになったという。
ある日、Dさんが母上の側で話しかけていると、笑いながら胸の辺りをさすってくれたのだそう。
『私だと分かっているみたいだったよ、、』と話すDさんは嬉しそうだった。
しかし私は母上に、お会いしたことはない。
母上がお元気だった頃は、私たちが出会う前で、Dさんのパートナーは元奥さまだった。
急に時空をこえて私が登場したら
『あんた誰っ?』と驚かせてしまう。
お見舞いの話を聞かせて貰う時
近頃いつも素敵だなぁとほほえましく思うのは
Dさんよりも父上に話しかけられた時の方が
母上がたくさん笑って嬉しそうにするという事。
80代になっても、お互い離れ離れでも
お二人はちゃんと繋がっている。
そんなお二人に愛情深く育てられたDさんは尊い、と思う。




