自分⑤
首吊り後、一度は無くなった意識が、何故か戻った。
戻った瞬間苦しさを感じて、首に巻いたネクタイを外した。
気付くと尿が激しく漏れていた。
この時、危なかった、という思いと、死に損なったという二つの思いが湧いてきた。
やがてゆっくりゆっくり、死ぬ事さえ出来ないダメ男か…とも思えてきた。
帰宅した妻に、自分がやった事を話した。
実は、自傷行為をしてしまう事は当時医師にも伝えていた。医師には、これ以上行為がエスカレートする前に入院を検討した方が良いと言われていた。
妻は僕の話しで、入院させる事を即決した。妻の立場で考えれば、またいつかやりかねない、僕の身の安全を片時も目を離さず見張るのは、過剰なストレスになる。
僕も入院に同意した。
翌日、通院先の医師に入院の意思を伝えて紹介状を書いてもらい、入院施設のある病院へ転・入院する事になった。
入院先で最初、妻と二人で担当医に状態を話し、また問診を受け、話しの途中から看護士に促されるままボディチェックを受け、体重・血圧を計測し、僕だけ病棟に案内された。
病室は個室で、部屋の真ん中にベットと荷物置き用の棚が一台置いてあるだけ、また窓は開けられず、ブラインドで外の様子が、分からないという、殺風景極まりない部屋だった。
さて、自室が分かったので医師と妻の所に戻るものと思っていたら、そうではなく、既に病棟からの外出は禁止という病院のルールに縛られた。
携帯・スマホなどの通信手段は持ち込み禁止、医師の許可が無いと電話や面会も禁止など、ガチガチのルールでがんじがらめの入院生活が始まった。