ひさしぶりの佐藤多佳子さんの作品!

ずいぶん前に『明るい夜に出かけて』を読んだときに

この作品の「だるさ」と「熱さ」の

絶妙なバランスに痺れたことを思い出して

ひさびさに手に取ってみました。

 

 

 

 

この物語にも

「だるさ」と「熱さ」が絶妙に混ざり合っていて、

学生の若さとか甘酸っぱさとかも相まって

懐かしい気持ちになりながら胸が痺れました。

 

 

物語の中心人物は

同級生の木島悟と村田みのり。

 

 

木島は母子家庭で、

甲斐性なしだった父親「テッセイ」の悪口を

母親から聞かされて育ちましたが

いざ「テッセイ」に会ってみると

彼が趣味として描いている絵に

無性に惹きつけられます。

 

 

村田は叔父に

絵で生計を立てている

「通(とおる)チャン」がいて、

家族や友達付き合いが上手でなかった彼女は

彼のアトリエで過ごすことに

いちばんの居心地の良さを感じていました。

 

 

そんな二人は

高校で同級生となり、

美術の授業ではっきりと

お互いを認識するようになります。

 

 

木島は村田の

裏表のない率直な態度に惹きつけられ、

彼女をモデルに絵を描いてみたくなります。

 

 

村田は木島が描く絵に

クセがあるけれど人の感情を揺さぶる

パワーがあると感じ、

彼の絵をもっと見ていたいと

思うようになります。

 

 

絵を通してふたりの距離は近づきますが

ひやかす周りの目をよそに

ふたりは健全な関係性のままで、

だけど特別な関係性を築いていきます。

 

 

ふたりは

「絵を描く人」「モデル」という

お互いの姿を通して

 

 

自分にとって絵を描くこと、

絵を見ていることは

どれほど特別なことなのか、

 

 

何かを「好き」になること、

「本気」になることの勇気と怖さ、

 

 

自分の中に渦巻く言語化できない思いに

向き合おうとするのです。

 

 

木島は絵のほかに

サッカーもやっていて、

幼少期からなんとなくはじめたサッカーに

「本気」になれず葛藤します。

 

 

村田は幼少期から

「好き」よりも「嫌い」の感情が多く

極端に揺れてしまう

自分の感情に振り回されています。

 

 

けれどふたりの関係がはじまってから

お互いに自分の課題に向き合い

乗り越えようとしていきます。

 

 

時にお互いの存在が

一歩前に出るきっかけになったり

自分の弱さを吐き出す居場所になったりして

どんどん特別さが増していくのです。

 

 

その「特別」という感情が

相手への好意になるのは時間の問題で・・。

 

 

だけどまっすぐなふたりは

特別な関係だからこそ

真剣に向き合ってしまい、

距離が縮んだり離れたりしてしまいます・・。

 

 

ふたりのまっすぐな思いが

もどかしいけれどまぶしくて、

「本気」の感情が胸を揺さぶりました。

 

 

わたしが学生のころ、

彼らのように「本気」になったことが

どれだけあっただろう・・

 

 

わたしの学生時代、

部活とか習い事とか

受験勉強とかバイトとかで

なんやかんや忙しくて、

「自分と向き合う」時間って

なかなか取れていなかったなと

振り返って思います。

 

 

時間をかけて、

自分が納得するまで

自分の思いときちんと向き合って

そして相手に誠実に向き合う。

 

 

「なんとなく」はじめたことにも

きちんとけじめをつけて、

失敗を恐れず本気でぶつかってみる。

 

 

なんやかんやと忙しい中で

こういう風に自分と向き合うのは

かなりエネルギーがいるし、

正解がないし、終わりが見えないし

 

 

物語前半の木島のように

落書き程度の絵を描いたり、

部活もヘラヘラ笑ってごまかしたり

しちゃっても仕方ないことだと思うんです。

 

 

だけど、木島は

「好き」「嫌い」がはっきりしている

率直な村田に出会って

絵を描きたくなる衝動に駆られ、

「本気」で向き合う決心をします。

 

 

そうして「本気」のきっかけをつかめた

木島はなんてラッキーなんだろうと

読みながら思いました。

 

 

そして自分が自分のためだけに

「本気」になれる時間は

意外とわずかしかないのではないかと思いました。

 

 

学生時代はなんやかんや忙しいし、

社会人は言わずもがな、

仕事が落ち着いたとしても

親や子どもや家族を支えるために

動かなきゃいけない

(自分をセーブしなきゃいけない)

時期もあって、

 

 

自分に「本気」で向き合う時間は

なんて貴重で幸せな時間なのかと

考えさせられました。

 

 

話は少しずれますが

齢1歳の我が子は

自我が芽生えはじめて

何に対しても全力に生きていまして。

 

 

目の前のことにいつでも真剣な

我が子のまなざしのまっすぐさに

毎回ハッとさせられていて、

その本気のまなざしを失わせないように

守ってあげたいと強く思いました・・。

 

 

読み終わってしばらく経っても

木島と村田のまっすぐで熱い思いが

余韻に残る、素敵な青春小説でした。

 

 

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